トヨタC-HRはハイブリッドの方が人気
1.8L+モーターのハイブリッド仕様(2WD)、1.2L直噴ガソリンターボ(4WD)を設定するトヨタC-HR。発売1カ月からの受注台数は約4万8000台に達し、ハイブリッドが約3万7000台、ガソリン仕様が約1万1000台を受注しているという。
ハイブリッドにプリウスのように後輪モーター駆動のE-Fourがないのは、プリウスよりも重量が重くなる分のモーターの出力(容量)不足とのこと。ガソリンに2WDがないのは商品企画上の戦略だろうが、欧州向けには2WD(MTも)あるそうなので、2WDに関しては今後に期待というところだろうか。
4WDのガソリン仕様は、1470kgという車両重量に対して116ps/185Nmというスペックで、こちらはオーリスの1.2L直噴ターボと同値だ。オーリスの同エンジンはプレミアムガソリンを指定するが、C-HRはレギュラーガソリン仕様になっている。
直噴ガソリンターボの素直で「分かりやすい」走りも魅力
ただし、JC08モード燃費はオーリス(2WD)の1.2L直噴ターボが19.4km/Lなのに対し、オーリス「120T」よりも170kgも重いC-HR(4WD)は15.4km/Lにとどまる。なお、トランスミッションは、オーリスの「120T」もC-HRもCVTで、減速比が変更され、C-HRの方がローギヤード化されている。
まず、ガソリン仕様のC-HRを走らせると、驚くようなトルク、パワー感はないものの、純ガソリンエンジン仕様らしい素直(昔からお馴染みの)な加速フィールを味わえる。しかも、ハイブリッドよりも若干フットワークも軽く感じるし(重量は2WDのハイブリッドの方が少し軽い)、ターボラグも多少感じられるが、普通に走らせる分にはパワー不足は抱かせない。オーリスよりも170kgも重いことを考えると、実用域では納得できる動力性能といえそう。
ただし、直噴ターボということでスポーツ性を期待するとやや物足りなさを覚えるのも事実。スポーツモードにすればより高回転域に張り付き、パワステの手応えも増すなどより活発な走りを引き出せる。山岳路などを走らせる際など、イザというとき重宝する走行モードといえそうだ。
一方のハイブリッドは、モーターアシストによる滑るような加速感、そしてエンジンが始動した際の「エンジンブースター」による力強さが印象的。30.2km/LというJC08モード燃費は、直噴ターボの約2倍に達する。しかもハイブリッドは2WDのみだから、先述したように重量的にはガソリン仕様よりも30kg軽くなっている。
コンパクトSUVではトップクラスの乗り心地、静粛性
C-HRの美点で見逃せないのが静粛性、乗り心地の良さ。ハイブリッド、ガソリン仕様を問わずボディの揺れが少なく、路面からの入力に対しても立派なフロントシートが減衰してくれる。
後席に乗ってもフラットライド感は薄れず、静かさも保たれたままだ。両パワートレーンに設定されている17インチ、18インチタイヤを乗り比べると、後者の方が中低速時にやや揺れを感じさせるものの、後席に小さな子どもを乗せるファミリーユースでも十分に許容できる範囲といえそうだ。
カタログ燃費はもちろん、EV走行が可能な点や静粛性の高さなどのハイブリッドの価値を考えると、こちらが売れるのが分かる。さらに、2WDで十分というニーズにはハイブリッドで応えているという現状を考えるとなおさら。
個人的には直噴ガソリンターボに2WDが設定され、4WDよりも大人1人分くらいダイエットされればさらに軽快感が増すはず。スピード感のあるスタイリングが魅力のC-HRだけにさらに魅力が高まるのではないだろうか。