株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

iPhone発売10周年! アップル、株価ブレーク成るか?

2016年9月期は、iPod登場以来初となる減収減益を記録。2017年はiPhone誕生から10周年という節目で、2017年に発売予定のiPhone 8で成長力と株価は再加速できるでしょうか?

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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カップ型ベースの上限付近にまで来ているアップルの株価

カップ型ベースの上限付近にまで来ているアップルの株価

カップ型ベースの上限付近にまで来ているアップルの株価

アップル(AAPL)の株価は16年10月に直近高値をつけた後、大統領選に向けて下がりだし、そしてトランプ勝利でさらに下げ加速しました。しかし、下げが一巡するとここ数週は戻し基調となって、カップ型ベースの上限付近にまで来ています。フェイスブック(FB)やアマゾン(AMZN)なども同じようなチャート形状となっています。

これらのグローバルIT企業は、余剰利益の多くを節税のために税率の低い海外に滞留させています。トランプはこれを米国国内に環流させて国内で企業に投資を促そうとしていますが、いずれにしても米国経済にとってプラス、アップルを含めたグローバルIT企業の株主にとってはマイナスであり、このことがトランプラリーでグローバルIT企業が下落したことにつながっています。

しかし、業績や将来の成長性は悪くなく、ここらで巻き返しを期待できるはずと思います。鉄鋼や石炭、インフラ機械、銀行株といったトランプ業種株の伸びが一巡しており、小さなローテーションがナスダック主力株に来るかもしれません。特に最大手のアップル株がベース上限を上抜けるかに注目します。

中国戦略と自社株買いで上昇も再び成長力鈍化

カップ型ベースの上限付近にまで来ているアップルの株価

カップ型ベースの上限付近にまで来ているアップルの株価

アップルのここ数年の動きを振り返ると、2016年9月期は、iPod登場以来初となる減収減益を記録しました。iPhoneが登場した2007年から10年近く経過し、新鮮さもなくなりつつあるところです。当初世界の多くの人にとって「ライフチェンジング」となったこの製品によって、アップルの業績は高成長を続けました。しかし2011年にスティーブ・ジョブズ氏が亡くなるとマンネリ化が訪れ、13年には成長率も鈍化、利益は減少しました。

ここで後任のティム・クック氏は新たな株価対策・成長戦略に踏み出しました。まず、それまで解禁されてこなかった中国通信最大手のチャイナモバイルにiPhoneの販売を許可しました。次に巨額の余剰資金を配当と自社株買いに充てることにしました。その結果、同社の発行済み株式数は、12年9月期の65.44億株をピークに減少を続けてきました。直近四半期では53.93億株にまで減少しています。

キャッシュフローベースでも同社の前期利益は縮小しましたが、ただ、依然としてもの凄いキャッシュフロー利益を稼いでおり、それを原資に大量の自社株買いと配当に回すことができています。過去5年間に積み上げたフリーキャッシュフローは30兆円を超えます。アップルは世界最大・最強のフリーキャッシュフロー製造マシーンであり続けており、大量の余剰現金(国債含む)を抱えているからこそ、莫大な自社株買いができているわけです。

ともあれ、これらの施策によって中国の販売が激増し、株価も再び上昇してきたのでしたが、その中国でのブームも一巡し、2017年初めの時点では2013年のような状態になっています。株価も概ね成長率に沿って動いてきました。

iPhone発売10周年! iPhone 8 への期待

iPhone 8への期待感で株価はブレーク成るか!?

iPhone 8への期待感で株価はブレーク成るか!?

iPhone がスマートフォンにおける最上位機種であることに変わりありませんが、格安のアンドロイド端末も年々進化・洗練され、価格差を考えるとiPhone の優位性は薄れてきているように感じます。ここで再び成長を加速させるには、新たな優位性が必要と思われます。

2017年はiPhone誕生から10周年という節目にあたります。そろそろマイナーチェンジの域を大きく超える斬新な何か(初代iPhoneのような人々を驚かせる何か)が出てきて欲しいところであり、アップルも10周年の来年を意識して、「iPhone 8」の特別な開発を進めているのではないかと思います。

iPhone8には4つの価格モデルを企画中とのニュースもあります。そして高画質で折り曲げることもできる有機ELディスプレイ(OLED)や無線充電を新規採用との噂もあります。もっとも、これらは想像の範囲であり、他社もすでに出している技術です。何か想像外の技術も搭載されるべきであり、実際にそうならなくとも、そうした期待先行で株価がベースを上に抜けて行く可能性は充分あると思います。

参考:米国株通信

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