文学と坂道とネコ、広島県尾道市

文学と坂道、そしてたくさんのネコたち。

大林宣彦監督の作品をはじめとする様々な映画の舞台にもなり、「瀬戸内しまなみ海道」の本州側の起点でもある尾道市は、広島県の東部、瀬戸内海に面する海辺の街。広島で一度は訪ねてみたい観光地ですね。
尾道のネコたちは、人によく懐いていて、とても愛くるしい姿を見せてくれる

尾道のネコたちは、人によく懐いていて、とても愛くるしい姿を見せてくれる


今回は、そんな尾道で「猫の細道」や「文学のこみち」を歩きながら千光寺山の頂上の展望台を目指し、最後に、名物の「尾道ラーメン」を食べる、小さな旅を楽しみます。

ノスタルジックな気分になる、尾道の路地

尾道へは新幹線で、新大阪から1時間20~30分くらい。山側にある新幹線の「新尾道」駅から、海辺にある在来線の「尾道」駅まではバスで15分ほど。
JR尾道駅の南はすぐ海に面している。尾道水道(海峡)の向こうに見える向島(むかいしま)や因島(いんのしま)も尾道市だ

JR尾道駅の南はすぐ海に面している。尾道水道(海峡)の向こうに見える向島(むかいしま)や因島(いんのしま)も尾道市だ


千光寺山へ登るには、途中の「長江口」バス停が最寄りで、バス停から路地に入るとすぐに、千光寺山ロープウェイの乗り場があります。

今回は、途中にたくさんのネコたちがいるという坂道歩きを楽しみたいので、ロープウェイには乗らずに、乗り場に向かって左の路地を奥に進みます。

その先の角を曲がると、さらに細い路地が続きますが、現在アラフォー以上くらいの人は、こういう景色を見ると、「なんだか懐かしいな」と思うのではないでしょうか。
尾道は、迷路のような細い路地が多い。路地を歩いていると、どこか懐かしさを感じる

尾道は、迷路のような細い路地が多い。路地を歩いていると、どこか懐かしさを感じる


どこにでもありそうだけど失われつつある……、忘れていたけどしっかりと心の隅に残っている……、そんな「昭和の風景」。

尾道の路地の坂道沿いには、まだまだ、古い家々が残っていて、歩いているだけでノスタルジックな気分になり、子供の頃の「あの日」の思い出が蘇ってくるようです。

「猫の細道」を歩く

路地をさらに進むと、上り坂の路地はますます道が狭くなります。

右手に神社の境内が見えるこの辺りから先は、「猫の細道」と名付けられていて、約3,000体の招き猫が見られる「招き猫美術館」をはじめ、猫グッズのショップ、アートの展示スペースなどが集まっています。
尾道市を拠点として活動するアーティスト、園山春二氏によって生み出される「福石猫」は、日本海の荒波にもまれて丸くなった石に描かれたネコ

尾道市を拠点として活動するアーティスト、園山春二氏によって生み出される「福石猫」は、日本海の荒波にもまれて丸くなった石に描かれたネコ


「猫の細道」では、「福石猫」と呼ばれる石にペイントされた猫や、擬人化された猫の看板など、様々なネコたちが訪れる人を出迎えてくれて、なんだか童話の世界に入り込んだような気分になります。
様々なネコたちが出迎えてくれて、まるで童話の世界!

様々なネコたちが出迎えてくれて、まるで童話の世界!


そして、なんと、小さなお社にまつられている神様までがネコ!
神様もネコ

神様もネコ


もちろん、本物のネコもウロウロしています。ネコ好きにはたまらないですね!
「招き猫美術館」の前では、子ネコたちが集まってきた

「招き猫美術館」の前では、子ネコたちが集まってきた


もう少し、登って行くと景色の開けた場所があり、天寧寺の三重塔の向こうに尾道の街並みが広がって見えます。
平山郁夫画伯の「しまなみ海道五十三次」のスケッチポイントになった場所。天寧寺の三重塔の向こうに尾道の街並みが広がって見える

平山郁夫画伯の「しまなみ海道五十三次」のスケッチポイントになった場所。天寧寺の三重塔の向こうに尾道の街並みが広がって見える


この場所は、日本画家の故・平山郁夫(ひらやまいくお)氏が写生をした場所だそうです。平山画伯といえば、シルクロードの絵や壁画などが有名ですが、広島県瀬戸田町(現・尾道市)の生まれだそうで、尾道には「平山郁夫美術館」があります。
広場に集まるネコたち

広場に集まるネコたち


この付近の広場では、近所の人がエサを持ってくると、たくさんのネコたちが集まってきました。
石段の途中にたたずむ黒ネコ

石段の途中にたたずむ黒ネコ


基本的に野良猫なのだそうですが、人によく懐いていて、とても愛くるしい姿を見せてくれます。

「文学のこみち」を歩いて展望台へ

さて、もう少し坂を登ると、千光寺というお寺の境内に入ります。お堂の裏手から展望台方面への石段が続いており、少し歩くと「文学のこみち」に出ます。
文学のこみち

文学のこみち


風光明媚な尾道の風景は、古くから多くの文人たちに愛されてきました。

「文学のこみち」には、『放浪記』などで知られ、小学校から高等女学校を卒業するまでを尾道で過ごした林芙美子や、尾道に半年ほど暮らし、代表作『暗夜行路』で尾道の風景を描いた志賀直哉をはじめ、多くの文人の文学碑が立てられています。

「文学のこみち」を上り詰めたところに頂上展望台があり、海と山に挟まれ細長く広がる尾道の市街地や、尾道水道(海峡)を隔てた先の向島(むかいしま)の造船所などを一望できます。
尾道市は、"尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市"として日本遺産に登録された

尾道市は、"尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市"として日本遺産に登録された


尾道は、よく"箱庭"に例えられることがありますが、こうしてみると、限られた空間に様々なものがギューっと凝縮された街並みは、まさに"箱庭"のようです。

尾道ラーメンとは、どんなラーメン?

山を下りたら、ランチタイムにしましょう。尾道といえば、ご当地ラーメンの「尾道ラーメン」が有名です。
「尾道ラーメン」に明確な定義はないようだが、これなどは割とオーソドックスな「尾道ラーメン」のイメージではないだろうか

「尾道ラーメン」に明確な定義はないようだが、これなどは割とオーソドックスな「尾道ラーメン」のイメージではないだろうか


尾道はラーメン激戦区で、街を歩いていると、そこかしこにラーメン店があります。

さて、ここで困るのが店選び。そして、当たり前の話かもしれませんが、店ごとにスープや麺に特徴があり、調べてみたところ、これが「尾道ラーメン」というような定義はなく、老舗の店は単に「中華そば」といっており、「尾道ラーメン」とはいっていないようです。
次に入った店では、チャーシューの代わりにもち豚の角煮が乗っていた

次に入った店では、チャーシューの代わりにもち豚の角煮が乗っていた


また、スープのダシも、鶏ガラや豚骨、魚介類など組み合わせはそれぞれ。麺も、尾道ラーメンは、「平打ち麺」というイメージがありますが、必ずしもすべての店がそうとも限らず、具材もチャーシューの代わりに豚の角煮を乗せる店などもあります。

これはもう、事前に調べて、自分の好みに合いそうな店を探すしかなさそうですね。

さて、今回の散歩は、これでおしまいですが、このほかにも尾道には、レンタサイクルを借りて、橋を渡りながら「瀬戸内しまなみ海道」を四国まで走ってみたり、映画のロケ地めぐりをしてみたりと、様々な楽しみ方があります。

ぜひ、尾道の旅、満喫してください!

■瀬戸内しまなみ海道振興協議会
瀬戸内しまなみ海道でサイクリングを楽しもう!

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