相続の話を円満に進めるための、タイミングや話のしかた

親に相続があった時のことを心配して、年末年始などの家族が集まる機会に相続の話をするとよい、という話をよく聞きます。ですが実際の現場では少々違うようです。これがもとでトラブルになり、話がこじれてしまった、という話を相談者からよく聞きます。相続の話を円満に進めるには、タイミングや話のしかたにコツがあるのです。

 
相続の話は別の機会で

相続の話は別の機会で

 

家族が集まる時のほうが相続の話がしやすいのでは?

親の相続はもちろん家族全員が関係する話ですから、確かに家族が集まる機会に話をするのもひとつです。ではなぜこの時に相続の話をするとトラブルになることがあるのでしょうか?それは、集まっているのが「家族」だけでなく「親族」までいるということです。
 

親族がいると相続の話はしたくない?

親にしてみれば、自分の配偶者や子どもとは相続の話はすることはあっても、子どもの配偶者や孫の前ではしたくない、ということがあります。正月の席で「こんな時に縁起でもない」とか「孫のいる前で親の財産をあてにするなんてみっともない」など、親のご機嫌を損ねてしまうと、一度こじれたものはなかなか元に戻らないものです。
 

相続の話をするタイミングはいつ?

親から積極的に相続の話が出る家庭なら問題が起きることは少ないでしょう。ですが子どもから話をしたい時は、自然と相続の話ができるような機会を作ることが大切です。ポイントは、別の機会に他の親族は連れて行かずまずは自分だけで行くことです。「たまたま近くまで来たから」とか「もうすぐ誕生日だよね」といった理由で構いません。子どものほうもそれなりの年齢になれば、親と子だけで会って話すことも少ないでしょう。親子水入らずで話せる時間というのは本当にかけがえのないものなのです。
 

さっそく相続の話をしてもいい?

いくら相続の話ができる機会が作れても、単刀直入に相続の話をするのはいけません。というのも相続税や遺産分割の話というのは、結局は子どもが自分自身の心配をしているということなのです。これでは親は自分の心配をしてくれていないと思ってしまいます。「相続」という言葉は子どもからは出さずに、話の流れで親から「相続」の言葉が出るのを待ちましょう。
 

どうやって相続の話に持っていくの?

特に子どもが家を離れて暮らすと、親は昔のことを思い出すことが多くなります。離れてしまったからこそ近づくことが大切です。まずは子どもから自分の小さかった頃の思い出話をするところからです。きっと笑顔で色々な話をしてくれます。親にしてみれば自分の子どもは何歳になってもかわいい子どもなのです。ひと通り話が出たら、次にその前、つまり先代の話も聞きましょう。自然と代々どうやって受け継がれてきたかといった話になっていきます。
 

相続の話、子ども自身のことは二の次で

相続の本題に入る前に、まずは子どもが親のことを第一に考えることが大切です。心配事がある親は自分のことが優先ですからその後の相続のことなどは考えられません。健康のことはもちろんのこと、お父さんが亡くなった後のお母さんの生活のこと、何かやっておきたいことが無いか、それを一緒に手伝えないかなど、色々な心配事や希望を聞いてみて下さい。親は高齢になるほど、なかなか自分からは動かないものです。やっぱり頼れるのは自分の子どもだと実感するようです。
 

希望を聞くことが結果として相続対策になる

心配事や希望は人それぞれです。それらを叶える方法それぞれが結果として相続対策になっていくものです。いくつか紹介します。
  • ひとりになってしまう妻が生活しやすいようにしたい → リフォーム・バリアフリー改修など。
  • 金融資産が多いので相続税が心配 → 一時払い終身保険に加入する。一定の金額までは相続税がかからない。
  • 土地の境界が近隣ともめている → 測量・境界確定をやっておく。将来かかる費用は、生前に払っておくと間接的に相続税の節税になる。納税のためにその土地を売りたい時もスムーズ。
  • 遺産分割でもめないで欲しい → 遺言を作成する。自分の思いの通りに受け継がせることができる。
  • 一番お世話になった長男の嫁に財産を与えたい → 遺言で遺贈する。本当の子どもとして養子にして相続させる。
特に自分が相続で苦労した経験を持つ親は、子どもには苦労させたくないと思うものです。親と子が協力して、親が「自分のことで子ども達に苦労させなくて済む」と安心してもらえることは、子どもとしては一番の恩返しになると思います。財産だけでなく、そういった思いも代々受け継いでいきたいものですね。

 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。