トランプラリーでなぜ株価は騰がり続けるのか?
トランプラリーで米国株や日本株は大きく上昇しています。トランプラリーの胆は金利上昇にあり、それは将来の物価予想の上昇と同意語です。トランプ新大統領の打ち出している大規模減税やインフラ投資拡大で米国景気が過熱すると見られている一方、財源確保のために国債を発行する必要があるとみられており、そうなれば国債価格は下がり、長期金利が上昇すると見られているわけです。ともあれ、これによってドルや金価格(ドルで測られ、ドルが上がれば下がる商品)、そして銀行や保険会社の業績予想にも大転換が生じているのです。物価予想を見る物差しとして、通常の国債と物価連動債の利回り差を見ることができます。通常の国債は物価が上昇すれば債券価値も低下しますが、物価に価値を連動させる仕組みの債券が物価連動債です。たとえば、将来物価が2倍になるとわかれば、元本の額面が固定されている通常の国債は価格が暴落し、利回りはその分、急騰します。一方、同じような状況でも物価に連動する仕組みを持つ物価連動債は元本の額面自体が物価に応じて上昇します(表面利率は一定)。したがって、通常の国債と物価連動債の利回り差は将来予想されている物価上昇率になるという計算になるわけです。
将来の物価上昇が織り込まれつつある局面
将来は物価が上昇すると予想されてきている・・・
そしてそれぞれの利回りを見ると、通常の10年国債が2.359%となっているのに対し、物価連動債の方は0.45%で、その差1.909パーセンテージポイントの差が開いています。この差はトランプラリーによってどんどん拡大して大きくもなっているのですが、前述のように、これを「ブレークイーブンレート」と呼んで物価の予想値として見ることが出来ます。つまり債券投資家は、今後10年間に年率1.9%の物価上昇を見込んできており、それはどんどん上昇してきているのが最近の現象です。
仮に米国の物価上昇率が2%台に戻るとすれば(2%はFRBのターゲットでもあります)、モノの価値は年2%ずつ上がっていくことになりますので、ここ2年18,100~18,600ドルで止まっていたダウは、(ROEや成長率が全く同じでも)10年後に22,000ドルを軽く超えていくことになります。こういう見方に大変化したから毎日ダウが上がっているのですが、さらにトランプの刺激策で米国企業のROEや成長率が高まればもっと上昇できますし、そこにバブル心理が加われば、たとえば普段PER15倍で買われていた証券が20倍超で取引されるようになるなど、更に高値を目指せることになります。
もっとも、期待感が先行して株価が上昇している事実はあると思います。したがって、トランプが大統領に就任し、実際の政策が明らかになる前後では、噂で買って事実で売るの格言通り、調整する局面もあると思います。しかしながら、米国や日本の足もとの経済指標を見ると、その調整を乗り越えて、更に株価が上昇していけるのではないかと思えるところでもあります。
参考:日本株通信
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