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最近話題のIoTとは? 家電のあり方を変えるその可能性

最近よく耳にする“IoT”。すべての「モノ」がインターネットによってつながることを状況を指す言葉ですが、このIoTが家電と組み合わさることで、いままでの“家電の常識”がガラリと変わるかもしれません。

滝田 勝紀

執筆者:滝田 勝紀

家電ガイド

IoT=すべての「モノ」がネットで繋がる状況

“IoT”(アイオーティー)という言葉を最近よく耳にするようになったと思いませんか? IoTとはInternet of Thingsの略、“モノのインターネット”なんて定義付けされていますが、これでもまだちょっと不親切ですよね?

もう少しイメージしやすく噛み砕くと、“IoT”とはスマートフォンやパソコンなど、元々が情報通信機器である端末だけでなく、すべての「モノ」――例えば家電やクルマなどが代表例ですが、そういったすべてがインターネットに繋がることで、より便利になり、生活やビジネスなどに役立つような状況を指します。
クラウド上にデータを収集することなどもIoTでは可能になる

クラウド上にデータを収集することなどもIoTでは可能になる


さて、そんなよく耳にするキーワードであり、世の中では一応、2015年、もしくは2016年が“IoT元年”なんて言われていますが、ほとんどの人にとっては、どこか自分には関係ないものと思っていないでしょうか?

その理由は意外とシンプルで、インターネットに繋がっている多くのIoT製品を眺めてみると、多くは“スマートフォンと繋ぐことがゴール”になっているように見えるものがほとんどだからだと思います。

一部のアーリーアダプターを除いて、ごく普通の人たちにとっては必要ないというか、それらを実生活で使っているシーンがあまりイメージできないからです。


IoT化が孕む問題点と目指すべきゴール

“スマートフォンと繋ぐことがゴール”となっているIoT製品の多くは、本来簡単にできることをかえって難しくしているように思えます。例えばスマートフォンでオンにできる照明を例にとってみましょう。これらのアイテムは照明をオンにする際、スマートフォンでアプリを立ち上げて、アプリの画面に切り替わって、それで画面上にあるボタンなどを操作することで、ようやく照明をオンにできるものがほとんど。

でも、そんなことをしているぐらいなら、自分で部屋のスイッチをオンにした方が断然早いですよね? たしかにその先には使いこなすことで非常に便利な機能が多数備わっているのは事実なんですが、入り口がこうも面倒で、頑張って使いこなさないといけないものだと、一般の人に浸透していくことは難しいと断言できます。
ただインターネットにつながるだけのIoTでは、むしろ不便に感じることも

ただインターネットにつながるだけのIoTでは、むしろ不便に感じることも


IoTを理解するうえで勘違いしないで欲しいことは、IoTはスマートフォンに繋ぐことがゴールではありません。冒頭でも書いたように、インターネットに繋がることで、自分の生活がより便利になることがゴールなのです。


シロモノ家電の宿命に対して、IoT化が果たす役割とは?

さらに、シロモノ家電の目線からもう少し掘り下げてみると、IoTには実はそれ以上に大切な価値が存在することが分かります。それはインターネットに繋がることで、常に製品が最新製品に生まれ変わり続けるということです。

この意味については、シロモノ家電のガイドとしてもう少し丁寧に説明しましょう。シロモノ家電、つまり生活家電というものは、一度高いお金を出して購入すると最低でも4~5年、長いものでは10年ほど使う物がほとんどですよね? 空気清浄機、加湿器、エアコン、冷蔵庫、洗濯機……なんかを思い浮かべてみれば、だいたいその枠に当てはまることと思います。

一方、それらシロモノ家電というのは、もちろん例外もありますが、通常どのジャンルもだいたい1年ごとにモデルチェンジを繰り返します。これまで、例えば自分が新モデルだと思って買った掃除機なのに、数ヶ月後にすぐその後継機種である新製品が登場した、なんていう経験をしたことはないでしょうか? 

ということは、せっかく高いお金を出して購入しても、1年でなんとなく古くなり、5年もする頃には、とても便利な新機能が搭載された新製品が数多く登場してしまい、自分の持っている家電たちがなんとなく古めかしく感じられてしまう、というのが現状のシロモノ家電が抱える宿命なのです。
家電を買い換えるタイミングは決して多くありません

家電を買い換えるタイミングは決して多くありません


実はIoTにはそのシロモノ家電の宿命を覆す力があります。スマートフォンをお使いの方は、ひとまずそちらでイメージすると分かりやすいかもしれません。iOSでもAndroidでも、使用期間中に何度もOSのアップデートがなされますよね? これによりそれまで使えなかった便利な機能が備わったり、それまで使えなかったアプリが加わったり、スマートフォン自体を買い替えなくても、その都度最新の製品に近いものへと生まれ変わっていきます。

つまり、シロモノ家電がIoT化することで、スマートフォンと同じように、常に最新のソフトウェアにアップデートされれば、シロモノ家電も常に最新製品に近いものへと生まれ変わるのです。これにより例えば1年前に製品を購入した人でも、つい最近、新製品を購入した人と同じような機能を使える可能性が大きく高まり、ひいては1年後に購入した人と同じような価値を享受できるといえます。

長期的に使うことが多いシロモノ家電だからこそ、常にソフトウェア上で最新製品に生まれ変わってくれることは、実はスマートフォンと繋げて云々という話よりも、よほど大きなメリットだと言えるのです。


IoTで最新製品に生まれ変わる――『Dyson 360 eye』の場合

より具体的な製品でご説明しましょう。例えば、ダイソンのロボット掃除機『Dyson 360 eye』の場合。

ダイソンのロボット掃除機は2014年に発表されて、その後1年ほどの開発期間を経た後、2015年にようやく世に出てきました。とはいえ、そこで登場した製品というのは、これまでロボット掃除機市場を席巻しているアイロボットのルンバシリーズと比べると、吸引力は高かったものの、総合的な性能では明らかに劣るものでした。

だが、ここで大事なポイントですが、ダイソンのロボット掃除機は最初からIoT製品として、世の中に登場したという点です。IoT製品は先ほど書いた通り、インターネットに繋がることで、常に製品が最新製品に生まれ変わり続けるのが大きなメリットです。

現にダイソンのロボット掃除機はその後、リアルな空間で使用した動作データなどを、インターネットを通じてフィードバック。それを新たなソフトウェア開発に生かすことで、ユーザーの声なき不満までも解消してきました。
Dyson 360 eyeではアップデートを推奨している(画像はDyson 360 eye公式サイトより引用)

Dyson 360 eyeではアップデートを推奨している(画像はDyson 360 eye公式サイトより引用


この8月にもダイソンのロボット掃除機は再びソフトウェアアップデートを完了。ここでは、基本的な動作性能が高まっただけではなく、本体の動作音が静かになる“静音モード”や、バッテリーの残量がスマートフォン上で常に分かるようになる機能が追加され、より使い勝手の良いロボット掃除機へと変貌しました。


ユーザーの動作データを収集、最適なモーターの回転数を把握

これまでダイソンの製品を使用したことがある人なら、一度は感じたことがあると思いますが、ダイソン製品は非常に性能はいいものの、どの製品も使用している時の音が国産の類似製品と比較して、大きく感じるものが多いです。

だが、発売してから約1年、実際にユーザーたちの動作データなどをフィードバックすることで、ダイソンのロボット掃除機のモーターであるDDM V2(ダイソンデジタルモーターV2)をMAXまで回転させなくても、十分掃除できる環境が多いこともわかりました。

そういった環境において、DDM V2をMAXまで回転させることは、メリットよりもデメリットが多く発生します。騒音が大きくなる点はもちろん、バッテリー消費が早まるため、稼動時間がどうしても短くなってしまうからです。
新たに静音モードが追加された(画像はDyson 360 eye公式サイトより引用)

新たに静音モードが追加された(画像はDyson 360 eye公式サイトより引用


ユーザーにとって、ソフトウェアアップデートで静音モードが使えるようになったことは、とても大きなメリットではないでしょうか? すでにダイソンのロボット掃除機を以前に購入している人でも、その新しいモードを新製品に買い替えることなく使用でき、それはこれから新製品を購入して静音モードを使う人とまったく同じ体験ができることを意味します。バッテリーの消費が減ることで、これまで以上に長時間しっかりと部屋を掃除できることも同じことが言えます。


家電の本格的なIoT化が、家電の常識を変える

シロモノ家電は昔から家に存在する身近な道具であり、買った後はどんどん機能が古くなり、壊れたら新製品に買い替えるというのがこれまでは普通のことでした。

でも、IoT化されることで、このシロモノ家電への考え方は180度変わるかもしれません。常に最先端の機能をソフトウェアでアップデートすることで、一度購入した製品が機能的にも新製品に劣ることなく、使い続けることができるからです。

さらに、仮に本体であるハードウェアが壊れてしまったとしても、ソフトウェアやクラウド側で使用したデータ履歴を引き継げるということは、これまで使った製品を新たに購入することで、いきなり過去製品の体験をインプットした新製品という状態で使用することができることを意味します。

これはiPhoneなどのスマートフォンではなんとなく当たり前の感覚ですが、シロモノ家電でもまったく同じことが言えます。まるで一度亡くなってしまった人の記憶や体験を、新しい身体でそのまま引き継げるようなイメージであり、それが家事などの優位性においては、いかに価値のあることかは、説明しなくても感覚的に分かってもらえるでしょう。

これまでだったら、シロモノ家電が壊れて新製品を購入する場合、せっかくだからこれまで使っていない別のモデルを買おうと思うのが普通だったかもしれませんが、IoT化することで、あえてこれまで使っていた製品を再び買うことが普通となる。シロモノ家電のIoT化はそんな消費行動にも大きく影響を与えるかもしれません。

シロモノ家電への古い常識は捨てましょう。IoT化することで、その常識は確実に変わります。いや、変えるべきなのです。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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