列車で気軽に一人旅。米原~長浜~彦根へ1泊2日プラン
琵琶湖北岸の湖北エリア(米原~長浜~彦根)は、交通アクセスも良く、しかも素朴でのんびりした空気が流れ、一人きままに旅するのにぴったり。静かな里山へ、絶景や美しい観音様、ご当地の味を求めて1泊2日の一人旅プランをご紹介します。
初日は米原にほど近い、中山道の宿場町からスタート
JR東海道新幹線米原駅から在来線に乗り換えてまもなく、中山道の宿場町として栄えた醒井宿に到着。ここはヤマトタケルが熱病に倒れた際、体毒を洗い流した霊水と伝わる「居醒の清水」が湧く名水の里。この清水を源とした地蔵川が中山道に沿って流れ、地域の生活用水となっています。こちらの川は全国的にも珍しい「梅花藻」が咲くことで有名。水温が年間を通して14℃前後に保たれているそうで、大変珍しい「ハリヨ」という淡水魚も生息しているとか。訪れた時期には、白く小さな花が澄んだ水面に浮かび上がり、とてもきれい。この辺りは地元のボランティアガイドに案内していただくこともできます。
醒井の中心部からバスを利用して、養鱒場近くの川魚料理専門店「醒井楼」で昼食を摂ることに。こちらは創業60余年。松尾寺の住職が醒井養鱒場で育てられたニジマスやビワマスなど地元の食材を使い、料理を提供しています。ビワマスとは琵琶湖にのみ生息する固有種なので、この辺りでしか食べることのできない希少な淡水魚です。
板前おまかせますコース料理(3000円~)は、ビワマスの刺身や卵、炭火で焼いたニジマスの塩焼、朴葉味噌焼きなど、マス料理づくし。清冽な清水で育まれているので川魚独特のくさみもなく、身が柔らかで脂がのり、とても美味です。コース料理のほか、ニジマス三食丼など気軽に味わうこともできます。
「醒井楼」
住所:米原市上丹生2054(醒井養鱒場隣り)
TEL:0749-54-0120
営業時間:11:30~17:00
定休日:4~11月は不定休、12~3月は木曜
交通:JR東海道線醒ケ井駅から養鱒場行きバスで約8分、終点から徒歩3分
【周辺のビワマス料理が味える店】
「活料理 美ます」
TEL:0749-54-0180
「養鱒センター きたがわ」
TEL:0749-54-0318
オーナーがこだわり抜いたイングリッシュ・ガーデンを観賞
醒ケ井駅から電車とタクシーを乗り継ぎ、次に訪れたいのは、本格的なイングリッシュ・ガーデン「ローザンベリー多和田」。専業主婦でガーデニング好きだったというオーナー・大澤恵理子さんが、長年の夢をここに結実。採掘場跡の約4万坪の敷地を利用して、既存の木や植物を生かしつつ、8年の歳月をかけて完成させました。1万3000平方メートルのイングリッシュ・ガーデンは、デザインの素晴らしさもさることながら、英国製レンガや職人手作りのロートアイアンなど細部に至るまで本物を追求し、さながら英国のガーデンに迷いこんだかのよう。300種1000株以上のバラや宿根草が植栽されるほか、ブドウ園や野菜畑などもあり、季節ごとの収穫体験も可能です。
レストランやカフェ、ショップも併設され、こちらは入場無料なので地元のマダムで平日も大賑わい。ショップではバラや多肉植物の苗、ガーデニンググッズのほか、オリジナルジャムやお菓子、レトルト食品などが揃い、友人へのお土産に喜ばれそう。
北部エリアには、2018年春の完成を目指して「妖精と暮らす村 フェアリーガーデン」を開発中。妖精たちの村やコッツウォルズを思わせる街並みが誕生する予定。開発中の村を覗かせてもらいましたが、童話の世界のような可愛らしさ! ガーデン内にはSLも走るそうで、こちらは2017年4月の試運転とあって、今から楽しみです。
「ローザンベリー多和田」
住所:米原市多和田605-10
TEL:0749-54-2323
営業時間:10:00~17:00(12~3月は~16:00) ※レストランは11:00~15:00
定休日:火曜(祝日の場合は営業)、年末年始休 ※12~3月はレストラン、カフェ、ショップのみ営業
入園料:大人600円 ※レストラン、カフェ、ショップは入園無料
交通:JR北陸本線坂田駅からタクシーで約15分
夕陽を待ちながら、地元の惣菜をお買い上げ
日が傾いてきたら「日本の夕陽百選」に選ばれた奥琵琶湖の夕陽スポットへ。夕陽が望める絶景スポットの目の前には「道の駅 湖北みずどりステーション」が。サンセットタイムまでの時間、ここで買い物をしながら待つのも良いでしょう。地元の採れたて野菜や果物、鮒寿司といった特産物が揃うのはもちろん、注目はぜいたく煮と呼ばれる、地域の伝統惣菜の数々。種類が豊富なだけでなくリーズナブルで小腹を満たすのに最適! 鯖そうめん、エビ豆煮、小鮎の天ぷらなど、関東では見かけない惣菜ばかりで探すのが楽しい!
買い物に熱中するうちに、いよいよサンセットタイムに。湖畔の道路に出てみると、水草やススキ、遠く竹生島がシルエットになり、冬季には水鳥も飛来して、息を飲むほどの美しさ! 幸運にも燃えるような夕陽に出合えたら、湖北の旅のいい思い出になるでしょう。
「道の駅 湖北みずどりステーション」
住所:長浜市湖北町今西1731-1
TEL:0749-79-8060
営業時間:9:00~18:00(レストランは~17:00)
定休日:第2火曜
交通:JR北陸本線河毛駅からこはくちょうバスで20分、水鳥ステーションバス停からすぐ
昔懐かしい古民家の宿で手作りの料理になごむ
夜は琵琶湖の最北端、賤ヶ岳のふもとでの宿泊はいかがでしょう。賤ヶ岳はかつて羽柴秀吉と柴田勝家が対決したことで有名な地。そのふもとに佇む「想古亭 源内」は、茅葺きの二階家と別館に客室はわずか8室。1日4組限定の宿なので、静かにゆったりできそう。私が宿泊した本館2階の「温古の間」は、二間続きの和室に賤ヶ岳の戦いの絵画が飾られ、内装や床の間の造りが洒落ていて、レトロモダンで何とも落ち着く雰囲気。
夕食は「北近江ヌーベル」と称し、近江牛の熟成肉のステーキや現当主が考案した鮒のみそむしなど、北近江の伝統料理にアレンジを加えた創作料理。オリジナリティがあり、地酒との相性も抜群です!
お風呂は石段を下った茅葺きの建物の中に2つあり、貸切利用できます。こちらの湯は、放射性元素を含む光明石を泉源体として使用した人工温泉。肩こりや冷え性に効能が期待できます。広々とした湯船の隣には五右衛門風呂も! 独り占めするとじんわりと体が温まり心地良いですよ。
翌日の朝食は、奥様手作りの家庭的な味でほっこり! 自家製の飛竜頭やポーチドエッグの葛餡かけ、土鍋炊きご飯など、どれも美味しく、お腹一杯いただけます。朝食を目指して訪れても、きっと満足できるはずです。
「想古亭 源内」
住所:長浜市木之本町大音1529-1
TEL:0749-82-4127
宿泊料金:1人利用で1泊2食付き1万9440円~
交通:JR北陸本線木ノ本駅から車で約5分(送迎要予約)
【周辺のひとり泊可能なホテル】
湖畔の美しい風景を眺めつつ、のんびりくつろぎたいなら、奥琵琶湖畔に湖を見下ろすように佇む「ロテル・デュ・ラク」への宿泊がおすすめ。
わずか15室のオーベルジュで、審査基準の厳しい世界的ホテルブランド「Small Luxuary Hotels of the World(SLH)」に加盟する、日本で10件あるホテルのひとつ。4万坪の敷地にはプールやテニスコートのほかライブラリーもあり、思い思いの時を過ごせます。
ホテルの魅力のひとつが、湖畔のレストラン「ル・ベイザージュ」でいただく料理。バームクーヘンで育てたバームクーヘン豚やビワマス、鮒寿司の飯を使ったりと、近江の幸を生かした料理が味わえます。ディナーでは、ソムリエ・田崎真也氏による料理とワインのマリアージュを楽しむことも。
朝食は好きなものを好きなだけ選べる、ユニークなオーダービュッフェスタイル。近江牛のミニステーキやオリジナル朝カレーまであり、朝からボリューム満点なのが嬉しい!
「ロテル・デュ・ラク」
住所:長浜市西浅井町大浦2064
TEL:0749-89-1888
宿泊料金:1人利用で1泊2食付き3万8940円~(フレンチディナーの夕食は6万4900円~)※税サ込
交通:JR北陸本線近江塩津駅、湖西線永原駅から無料送迎あり ※要予約
2日目はリフトに乗り、歴史的古戦場跡からスタートしました。