トランプ新大統領誕生で予想外のドル高・株高へ
予想外のトランプ新大統領誕生に加え、予想外の株高。今後はどうなるのでしょか?
結局、選挙翌日の米国株は予想外の大幅高となり、そこからさらに上昇し、ニューヨークダウは史上最高値を更新する流れとなっています。選挙前はトランプ新大統領誕生となれば、一時的に金融市場が大荒れになると予想されていただけに、急落が非常に短期的なもので収まり、ニューヨークダウが史上最高値を更新する展開となるのは、まさに予想外の展開だったと思います。
トランプ新大統領の政策関連銘柄が上昇を主導
では、どうして米国株が上昇する流れになったのでしょうか? 1つは前述に書いたように選挙後の会見でトランプ新大統領はプロンプターを使い、スピーチライターの書いた内容を読む形での穏やかな内容のものでした。このため、大統領選挙中の過激発言は、炎上商法的なものであって、大統領らしい大統領になったのだなということが印象付けられ、市場に与える負の見方が弱まったことがあると思います(たとえば、中国やメキシコに大規模な関税を課すなど極端な保護貿易政策で、これらの国が報復関税を打ち出すなどして、世界的な不況に陥るといったような状況にはならないと思われた)。そしてその一方で、トランプ新大統領が打ち出している、規制緩和や大幅減税、大規模なインフラ投資拡大などに注目が集まり、関連銘柄が上昇。加えて、銀行セクターの規制を強化しようとしていたクリントンではなくなったこと、大幅減税やインフラ投資拡大には大規模な国債の発行が必要との観測や、大規模減税やインフラ投資によって景気が米国経済が加速すること、またドルの資金回帰を見込んで長期金利が上昇したことなどから、恩恵を受ける銀行株や保険株、資産運用関連が上昇しています。
実際のところ、上の表が11月9日のS&P500のセクター別の騰落率(前日比)の上位リストですが、トランプ関連銘柄が優勢となっています(鉄鋼については鉄鋼を再び米国の屋台骨にするとコメントしていることなどが評価。また、バイオ・医薬品セクターは医薬品価格の高騰を抑える方針に動いていたクリントンではなくなったことに対する反動)。
では、今後どうなるかですが、当面はトランプ新大統領の新政策への期待感から関連銘柄を中心に堅調な株価推移が続くに推移する可能性があると思います。ただ、その反面、期待感が高まる中で、トランプ新大統領が打ち出している政策が実際にどこまで出来るのかによっては、その内容次第で、期待感の剥落によって失望売りとなる恐れがあるので注意も必要と思います。
たとえば、10年間で6兆ドル規模の減税(もともとは10兆ドル規模だったが、共和党の3兆ドル案に寄せる形で下方修正されています)や10年間で1兆ドル規模とも言われるインフラ投資を行う場合は財源がどうなるのかが、今ひとつ不明瞭な部分があります。国債で賄うとしても、議会の承認が必要ですので、トランプ新大統領が共和党の本流とどのように渡りをつけていくのか。2兆5000億ドルとも言われる米国企業の海外留保利益に一時的に税金をかけ、米国本国に環流させる案などがありますが(これで2004年の本国投資法のように米ドル高、また米国内に資金が環流して景気が活性化するとみられる材料にもなっていますが)、実際にどこまで実現されてくるのかを確認していく必要があると思います。
参考:日本株通信
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