実は接戦!?ギリギリまで分からない米国大統領選挙
クリントンなら大波乱回避で安堵感も、株式市場へのインパクトはあまりよくない・・
米国では様々なメディアが世論調査を行っており、全般にクリントン氏優勢となっています。しかしメディアごとの差はあまりに大きく、どれを信じて良いのか分かりません。6月のブレグジットの際もそうでしたが、決定的な大差が付いていない限り、事前の世論調査は当てにならないものです。50%対38%や、48%対37%など比較的大きな差でクリントン氏優勢とする世論調査も大手TVネットワークより出ています。一方、有名な新聞社からは46%対40%とする調査結果も同じタイミングで出ており、これくらいの差だとブレグジットの経験からひっくり返ることもあり、予断を許さないと思います。
IBD/TIPPによる合同調査結果
大手メディアを含む11社の世論調査の中で、過去3度の大統領選挙で最も正確な数字を挙げてきたIBD/TIPPによる合同調査結果によると、20日時点でトランプ氏 41.2%、クリントン氏 40.2%と、逆にトランプ氏が1ポイントリードしています。19日の討論会を経ても数値は動いておらず(毎朝更新されます)、討論会自体は互角だったと思われます。むしろ上のグラフ推移を見ると、討論会が進むごとにトランプ氏優勢となってきている点に不安を覚えます。上の調査には他のマイナーな2候補も含まれており、クリントン・トランプ両氏だけのマッチレースとした場合だと、クリントン氏 42.6%、トランプ氏 40.5%と、僅かにクリントン氏優勢と変わります。また同じ調査で、自分がどちらに投票するかでなく、結果的にどちらが勝つと思うかを予想してもらうと、クリントン氏が52%、トランプ氏は20%でした。そして接戦に付き、どちらが勝つか分からないという人は21%も居り、この部分が鍵を握ると思います。いずれにせよ現在接戦か、ごく僅かにクリントン氏優勢かという微妙なところと思います。このあたり、あたかもクリントン氏勝利でほぼ決まりという訳でないことを注意したいところです。
クリントンなら大波乱回避で安堵感も、株式市場へのインパクトはあまりよくない
ここでクリントン大統領が誕生した場合の株式市場へのインパクトを考えてみましょう。今回の大統領選は政策論争より誹謗中傷合戦となり、「史上最も醜い討論会」とも揶揄されており、あえていば、どちらがより好ましくないかという投票とも言えると思います。現職のオバマ大統領自身も「史上最悪の大統領」とのレッテルを貼られるほど、米国の求心力は8年間に大きく失われました。そのオバマ政権の元閣僚で、同じ政党のクリントン氏が後を継いだとしても、株価的にプラスとはならないでしょう(むしろ、富裕層や投資家への増税など、株式市場に厳しい側面が多い)。
強いて言えばトランプ氏が大統領になるより、不透明感や波乱要因が少ない事が精一杯のプラス面と言え、インドの首相交替時や、安倍政権が生まれた時のような、「停滞感からの開放」というプラスのイメージはありません。ただクリントン氏の方がゆっくり停滞を続けて行く程度の悪いイメージで、トランプ氏の大崩壊をもたらすような危うさに比べ、安堵感があります。
参考:日本株通信
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