自動運転車の本命銘柄:モービルアイ(MBLY)

自動運転者の本命銘柄の1つモービルアイ(MBLY)

自動運転者の本命銘柄の1つモービルアイ(MBLY)

イスラエルのモービルアイ(MBLY)は単眼カメラによる先進運転支援システム(ADAS)開発で先頭を走る企業です。14年8月の上場当初から将来期待先行で非常に高値で買われておりましたので、株価は上場時からあまり変わらない水準です。ただ2015年の売上高僅か2億4,100万ドル(約241億円)に対し、時価総額はすでに100億ドル(1兆円)を超えています。古くからGMの部品メーカーとしてあるデルファイ・オートモーティブ(DLPH、1999年にGMより分離独立)の売上規模は150億ドル(1兆5千億円)もありますが、時価総額はモービルアイの1.7倍となる170億ドルに過ぎません。

非常に高い時価総額・株価を支えているのは、高い業績成長と、2020年以降に来ると見られる自動運転時代に対する高い期待があります。実際、同社の四半期決算は、上場以来、強い成長を見せてきました。

上場以来破格の成長を続ける

同社の四半期決算は、上場以来、強い成長を見せてきました

同社の四半期決算は、上場以来、強い成長を見せてきました

2015年通期の売上高は、2014年に比べて+67.7%増え、調整後一株利益は+128.6%増でした。2016年に入っても第1、第2四半期の各売上高は+65.0%増、+58.0%増で、一株利益は+87.5%増、+70.0%増と舞い上がっています。上場以来、全ての四半期決算で市場予想平均を上回ってもきました。株価の方は年初来+13.2%高で、S&P500指数の+6.59%を上回ります。しかしながら上場時から高すぎた株価は、過去最高値を捉えるまでに到っていません。

同社製品は単眼カメラで取り込んだ情報を独自開発ソフトウェアによるアルゴリズムで処理し、衝突や車間距離、車線逸脱、歩行者などの危険を察知して警報を鳴らすシステムです。また自動パーキングやブレーキにも応用されます。このシステムの核となるのは「EyeQチップ」と呼ばれる半導体製品で、他の先進運転支援システムよりもレーダーやセンサーなどを使わないために安く、直近四半期の平均単価は44.5ドルでした。EyeQチップは継続的にアップグレードされており、前年同期の平均単価は43.7ドルでした。現在世界27社の有名自動車メーカーが同社システムを運転支援に採用しており、4ー6月期だけで149万個のEyeQチップを販売しました(+45.4%増)。

売上の多くはOEMによって自動車各メーカーの車体に初めから組み込まれるものですが、既存の車に後から取り付けられるよう「アフターマーケット」にも対応し、専門の販売店を通じて売っています。4ー6月期の同社売上8,350万ドルのうち、77%がOEM向けで、残りがアフターマーケット販売となります。

完全自動運転へ向けて前進

米自動車部品大手のデルファイと完全な自動運転システムを共同開発すると発表

米自動車部品大手のデルファイと完全な自動運転システムを共同開発すると発表

現在の同社製品は完全な自動運転に対応したものでなく、自動駐車や車間距離制御などの先進運転支援システムです。あくまで運転を支援するものなのですが、この技術だけでも今後も高い成長が予想されています。そして2020年代を見据え、8月23日に米自動車部品大手のデルファイと完全な自動運転システムを共同開発すると発表しました。

モービルアイは「EyeQチップ」を持ち、独自ソフトウェアによる視覚認知システムや、運転環境をリアルタイムでマッピングする技術、データ分析、ディープラーニングなどを提供すると見られます。デルファイも近年自動運転分野に投資を行っており、センサー技術やハードウェアを提供するものと思われます。詳細は不明ですが、両社は今後数億ドルかけて開発を共同で行い、17年の家電見本市(CES)でこの新システムを展示し、19年には量産の準備に取りかかるとのことです。この自動運転システムはSAE(米国自動車技術者協会規格)が認定するレベル4/5に準拠するものになるとのことです。

大手自動車メーカー各社も「独自」に自動運転システムの開発に動いています。2020年代には自動運転技術が自動車メーカーを差別化する知的財産になると思われるからです。米フォードは完全自動運転車を2021年までに開発する予定です。同社はLiDARと呼ばれるレーザー光を使ったレーダー(光検出。測距)に多額の投資を行ってもいます。また、ライドシェア(相乗り)を手がける米配車サービス大手、ウーバー・テクノロジーズもボルボと3億ドルの共同開発で合意し、米国で自動運転車の走行テストを開始します。ライドシェア・サービス各社にとって、自動運転は人件費を大きく下げる革命的な技術になります。GMも自動運転関連の企業買収や提携を続けており、グーグルはすでに300万キロ近い自動運転車の公道走行試験を行ってきました。そしてBMWも(上記のデルファイとは別に)モービルアイと半導体大手インテルと共同で、2021年までに自動運転車を完成させる計画です。

元々単眼カメラによる低価格運転支援システムに強みを持つモービルアイは価格競争力を持ちます。恐らくデルファイと開発する自動運転システムも、他社が目指す高価なLiDAR技術を多用しないもので、比較的低価格になると思われます。そして幾つかの大手は独自技術で自動運転システムを開発するため、モービルアイ/デルファイの共同開発製品は、大手以外の資金力のあまりない自動車メーカーに採用されて行く可能性が高いと見られます。こうしたメーカーにとっては自社で開発するより、先行する自動車部品大手2社の共同開発システムを購入した方が効率的です。

モービルアイはこのように販売先をすみ分けすることで、BMWとは独自システムを開発し、中小自動車メーカー向けにはデルファイと組んで価格競争力のあるシステムを並行販売して行けると思います。2020年代に向けて自動運転を巡る開発は、業界全体で加速してきている模様です。

2020年以降、実際の業績でデルファイを超える巨大企業になる可能性も

40%以上の売上成長と高い利益率で成長を続ける

40%以上の売上成長と高い利益率で成長を続ける

現状販売している運転支援システムの方は、今後も主要製品として順調に成長していく予定です。2016年、2017年と連続して売上・利益とも+40%台以上の成長が予想されています。そして同社の高い株価を支えるもう一つの要因として、高い粗利益率が挙げられます。直近4ー6月期の粗利益率は75.5%でした。そこから研究開発費と販売管理費がそれぞれ20%弱掛かり、営業利益として36.9%残ります。同四半期のGAAP基準による最終純利益額は2,690万ドルでしたが、株式ベースの非キャッシュ報酬を除いたNon-GAAPベースだと4,120万ドル(前年同期比+74.2%増)となり、純利益率は49.4%にもなります。6月末時点の現金残高は5億4,310万ドルです。

50%近い純利益率で高成長を続けている事が同社の高い株価の根拠ですが、上場来の週足チャートは広い範囲で往来を繰り返してきたのみです。テスラ社との提携中止報道で下がりかけたこともありましたが、直近の株価は持ち直しています。現状の高成長ビジネスに加え、上述の自動運転システムは同社の業績を大幅に上方修正させる可能性ありますが、実際に業績に表れてくるのは2020年以降になりそうです。

それまで株式市場がずっと堅調推移するものであるなら、この高い期待も崩れずに維持できると思いますが、株式市場とは必ず崩れるものです。経済などの理屈ではなく、コロコロと変わる人の気持ちで値段の付いているものだからです。相場が崩れた時、67倍というPERは許容できなくなるはずであり、そういった場面で長期目的で購入したい銘柄と思います。上場から2年間の相場も大きく揺れ動きましたが、この中で同社株価は25ドル~65ドルという広い振り幅ともなってきました。同社の株価を形成しているのは期待という泡のようなものです。しかし2020年以降、実際の業績でデルファイを超える巨大企業になって行く可能性があり、長期では注目できる銘柄と思います。

参考:米国株通信

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