DC(確定拠出年金)は、自分の年金資産を自分で運用する
DC(確定拠出年金)の最大の特徴は、「自分の年金資産を自分で運用する」ことです。ところが「自分で運用しろと急に言われても困る!」「どうやって商品を選んでいいのか分からない!」というのが正直なところではないでしょうか。しかし、安心してください。実はDCでの資産運用は難しくありません。自分自身で一から資産運用に取り組む事とは比較にならないほど簡単なのです。
資産運用というと、「いつ」「いくら」「何に」投資するか考えることになります。しかし、DCにおいては、「いつ」「いくら」投資するかを考える必要がありません。企業型の場合は会社が決めた金額を毎月積立形式で投資していくだけだからです。個人型の場合も無理のない範囲で毎月の積立金額を決めるだけです。
あとは、「何に」投資するかを決めるのですが、運用する商品の選択肢が限られている分、これも難しくありません。
ここからは、商品選択のプロセスを3つのステップに分けて、詳しく解説していきましょう。
最初に資産配分(アセット・アロケーション)を考える
まず資産配分(アセット・アロケーション)を考えます。なぜなら、最終的な投資成果の8~9割は「資産をどういう配分に投資するか」というアセットアロケーションで決まると言われているからです。長期での資産運用においては、投資タイミングや投資対象の選択よりも、投資する資産をどのような配分で分散するのかが圧倒的に重要だということです。
その際、自分自身のリスク許容度から資産配分を考えましょう。リスク許容度とは、「どのくらいの損失に耐えられるか」。例えば、株式投資信託であれば、金融危機などが起こった際は4割くらい価格が下落する可能性があります。
DCで100万円の資産を株式投資信託に預けていた場合、一時的に40万円の評価損が発生する覚悟ができているか、ということです。これは本人の年齢や性格、家族の状況、投資経験などの違いによって耐えられる損失の大きさは違ってきます。
リスク許容度と言われると難しく感じるかもしれませんが、ここでは資産の配分について厳密に考える必要はありません。株式と元本確保型の預金・保険をどういうバランスにしておくかという程度でOKです。
資産の配分を考える際にもう1つ大事なポイントは、国内資産と海外資産のバランスです。こちらについては、多くの人の給料や年金の受け取りが日本円だけであることを考えると、投資対象は海外資産中心で考えても問題ありません。
DC以外の資産も把握して、DCの利用方法を決める
次に個人資産全体におけるDCの位置付けを確認し、DCでどのように運用するか決めます。まず自身の全資産を把握し、DC以外にも老後資産の準備は出来ているのか、退職金を受け取る予定はあるのか、確認しましょう。
その上で、DCの具体的な活用法を考えます。例えば、保険商品で老後資産の準備は始めている人の場合、DCは株式中心に積極運用します。貯蓄ゼロで何も準備出来ていないという方の場合は、株式と元本確保型(預金・保険)をバランスよく運用します。つまり個人資産全体として、バランスのとれた資産形成をすることがとても大切なのです。
商品の選び方
最後は、いよいよ商品の選択です。その際に重要なのは手数料を意識することです。長期にわたる運用で、将来のパフォーマンスは不確実ですが、コストは必ずマイナスの影響を与えます。同じような成果が期待できる商品でもコストが違うということはよくあります。コストが安ければ良いとは限りませんが、投資信託の優劣の判断は専門家でも非常に難しく意見も分かれるところです。コストが安い商品を選ぶことで、確実にリターンは改善しますので、商品選択の判断要素としては重視すべきでしょう。このように、DC(確定拠出年金)で運用を始める際は、いきなり商品を選ばず、個人資産全体の資産状況を考えて、その中でDCの活用方法を決めます。資産配分(アセット・アロケーション)を意識することで、投資で成功する確率が格段に上がります。商品の選択はそれから最後に行いましょう。