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ジャガー初のSUV「F-PACE」の完成度は期待以上!

ランドローバーというSUVのスペシャリストを抱えているジャガー・ランドローバーから登場したジャガー初のSUV「F-PACE(Fペイス)」。ジャガーならではの走りを得ているのかが最大の注目点だ。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

ジャガー初のSUVはランドローバーとどう違う?

ジャガーF-PACE

ジャガーF-PACEのボディサイズは全長4740×全幅1935×全高1665mm。写真は3.0LガソリンのV6スーパーチャージャーを搭載する「35t R-SPORT」で価格は849万円


ジャガー・ランドローバーからリリースされたジャガー初のSUV「F-PACE(Fペイス)」が日本でも発表され、7月下旬からデリバリーが開始されている。

ジャガーのSUVはどんな出来か気になるところだが、ランドローバーを擁する同社だけに、開発陣や駆動方式(イヴォークやディスカバリースポーツはFFベース)が異なるとはいえ、「ランドローバーのSUVとどう違うのか?」というやや懐疑的な先入観で試乗を迎えることになった。

懐疑的とはいっても、ランドローバーのSUVは世界最高峰の完成度を得ていると評価している自分にとって、性能面では何の疑いはない。ジャガーというブランドにふさわしいスポーツ性を身につけているか、という一点が気になっていたのだ。

オンロードでのスポーツ度は濃厚

ジャガーF-PACE

「イタリアンレーシングレッド」のボディカラーがよく似合う。試乗車はオプションの20インチタイヤを装着していたが、その割には乗り心地もほとんど犠牲になっていない。なお、F-PACE(カタログモデル)の価格帯は639万~981万円


走り出しからいきなり良い意味で期待は裏切られた。最近のジャガーXEやXFの完成度からすると予想できたはずだが、「SUVのカタチをしたスポーツカー」というのがF-PACEの第一印象。

通常走行時は基本的に後輪を駆動するFRベースらしく(最大で50%フロントアスクルに駆動力を振り分ける)、自在にノーズを向けるのがたやすく、コーナーを攻めていってもトルクベクタリングの威力もあってかあっけなくクリアしていく。

しかも、ボディの動きはSUVとしてかなり抑えられている印象で、コーナーの大小を問わず安定したボディコントロールを披露してくれるシャーシの出来の良さが光る。

乗り心地も基本的には合格点を与えられるもので、あえていえば舗装状態が悪い所では、プラットフォームを共有するXEやXFよりも微振動を伝えてくる。セダンよりも重量を増しているバネ下重量の影響を感じさせるシーンも散見された。

気持ちがいいのは断然ガソリン車

ジャガーF-PACE

3.0LのV6ガソリンエンジンをスーパーチャージャーで過給し、340ps/450Nmというアウトプットを得ている。同じ3.0Lガソリンスーパーチャージャーで「S」向けの380ps/450Nmという高出力版もある


パワートレーンの完成度も文句なし。試乗したのはガソリンの3.0L V6スーパーチャージャーを搭載し、340ps/450Nmを発生する「F-PACE R-SPORT」、180ps/430Nmの2.0L直列4気筒ディーゼルターボを積む「20d Prestige」。なお、トランスミッションは全車にZF製の8ATが組み合わされている。

気持ちがいいのは断然ガソリンエンジンだ。SUVというとトルクフルなディーゼルエンジンとの相性が良く、F-PACEのディーゼル車も例外ではないが、スポーツ度が高い同車の場合は、中低速域から十分なトルク感と高速域のパンチ力、伸びやかさを満喫できるガソリン仕様とのマッチングが絶妙に感じた。

アルミを80%、マグネシウムを2%使うなど、徹底した軽量化が図られているF-PACEは、サイズ以上に軽く感じさせるフットワークを得ているため、エンジンも気持ちよく回るガソリンの方がキャラに合っているのだ。

燃費はガソリンが10.1km/L、ディーゼルが15.8km/Lとランニングコストはもちろん、車両価格もガソリン車の方が高いためイニシャルコストでもガソリン車の方が掛かるが、スポーティなF-PACEをせっかく指名するならガソリン仕様にしたいところ。

なお、3.0LのV6スーパーチャージャーには、より高出力の380ps版(最大トルクは同じ450Nm)もあって、こちらには試乗できなかったが、22インチタイヤを履くこちらはよりハードな走りにも対応してくれるはず。常識的には乗り心地は辛そうだが、迫力ある見た目も得るなら選択する手もあるだろう。

ディーゼルエンジンの音振動対策も万全

ジャガーF-PACE

XF、そして最新のXEと同様にタッチ操作が可能なインフォテイメントシステム「InControl Touch Pro」を採用。10.2インチのワイドなディスプレイにSSD式ナビ画面などが映し出される


ガソリン車の気持ちよさが印象的だったが、ディーゼル仕様も決して悪くない。音振動面の遮断は、日本で買えるクリーンディーゼルでもトップレベルにあり、BMWの4気筒ディーゼルより洗練されている。

トルク感は430Nmにしてはもう少しという感じもするが、ディーゼルしか乗っていなければ十分に魅力的に感じたはず。F-PACEのロングノーズ、ショットデッキというジャガーのSUVらしい外観、軽快なハンドリングは価格面も含めて、ライバルに対しても十分以上の競争力を備えている。

開発陣がライバルに掲げたというポルシェ・マカンとまさに甲乙付けがたい仕上がりで、「初出」となったジャガー初のSUV「F-PACE」。ハンドリングの切れ味や安定感は、人により好みが分かれそうだが、どちらを選んでも走りを存分に楽しめるのは間違いないだろう。また、快適性と走りのバランスに秀でていて、オフロードの走りにも重きを置いているランドローバーとの住み分けも巧みで、ジャガーらしさを感じさせるのにも感心させられた。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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