株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

時価総額世界5位となったFacebook何が凄いのか?

フェイスブックは現在時価総額世界5位。しかし、まだまだ高成長を続けており、2020年代初頭には100兆円を超えている可能性も充分あると思います。アマゾン(AMZN)と共に長期に追いかけて行きたい銘柄です。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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時価総額世界5位となったフェイスブック(FB)

ネット業界の巨人FACEBOOKは時価総額で世界5位となりました。一体同社の強みは何なのでしょうか?今回はその秘密を探ります

ネット業界の巨人FACEBOOKは時価総額で世界5位となりました。一体同社の強みは何なのでしょうか?今回はその秘密を探ります

2012年5月にフェイスブック(FB)が華々しく上場した直後、このような記事が出ていました。上場直後の同社時価総額は900億ドルに達し、当時の従業員数3,500人で割ると、一人当たり2,500万ドルを超える価値にもなるというものでした。これは当時アップルの3倍、グーグルの4倍、マクドナルドの100倍以上となるもので、破格の高額価値は将来の成長を期待したものと見られる一方、つまづけばバブルだったという事になりかねないという警笛でした。時価総額の力を利用して上場直前にインスタグラム社を10億ドルで買収し、さらにその後14年には設立僅か3年、売上20億円、従業員55名のベンチャー企業、WhatsApp(ワッツアップ)を190億ドルもの巨額資金で買収し、「この会社は大丈夫か?」と心配される時期もありました。

その後、ワッツアップ買収直後の株価70ドル近くだった所から、強気に見る大勢のアナリストの目標価格に引っ張られるように時価総額を拡大させてきました。現在、時価総額は世界5位に前進して3,555億ドルです。ほぼ同じ時価総額規模であるアマゾン(AMZN)とフェイスブックは、最終的に一体どこまで大きくなるのか、計り知れない可能性を持っていると感じます。2020年代初頭には両社とも100兆円を超えている可能性も充分あると見て、長期に追いかけて行きたい銘柄です。

ネット広告は今後も力強く成長していく見通し

世界の広告市場規模は、推計でおよそ世界経済規模の1%近くに相当する60兆円あたりとみています。ご存知のようにテレビ、新聞、雑誌をはじめとする旧媒体での広告需要は伸びていません。一方、インターネット、特にモバイル端末に表れる広告は高成長を続けています。広告主にとっては、漠然と不特定多数に自社製品を表示するよりも、個人のスマホに直結して、趣向に合わせた広告を送る方が効率的です。洗練されたインターネット技術が費用対効果を高めてくれています。今後ますますマーケティングの主役はネット広告になって行くでしょう。中でもフェイスブックは極めて有効なツールであり、多くの広告主がそれに気付いていくものと思われます。
ネット業界の巨人FACEBOOKは時価総額で世界5位となりました。一体同社の強みは何なのでしょうか?今回はその秘密を探ります

ネット業界の巨人2社の売上は今後も力強く伸びていく見通し

1兆円クラス以上のネット広告企業は世界にグーグルとフェイスブックしかなく、3位以下に大差をつける断トツの存在です。特にモバイル広告に限っては2社で大半のシェアを取ります。2社とも売上のほぼ全ては広告収入ですので、2社の売上を合体させれば、ネット広告市場の急成長ぶりを垣間見ることができます。(なお、フェイスブックとグーグルが禁じられている中国では、バイドゥ、そして近年急速に伸びているテンセントなどがネット広告市場を席巻していますが、2つ合わせてもフェイスブックよりかなり小さな広告収入規模です)。

2015年一年間だけで、世界の企業はこれら2社に約10兆円もの広告料を払いました(日本のTV等を含む全広告メディア市場規模はGDPの1%に相当する5兆円台です)。4年前は3.5兆円ほどでした。そして2019年には20兆円もの広告費が2社に向かう見込みです。グーグルはすでに巨大になり、この所は10%台半ばの売上成長ペースです。一方フェイスブックの売上は今年3兆円に迫る見込みですが、約50%前後の成長ペースを崩すことなく続けており、まだまだ非常に高い成長が続くとみられます。グーグル検索も有効な広告ターゲットですが、企業がフェイスブック広告の高い効果を認知してきている事が高成長を確たるものにしています。

洗練されたフェイスブックの広告機能

フェイスブックの月間アクティブユーザー数は17億人を超え、うち11億人が毎日フェイスブックを見ます。そして、その全員に対し、同社は詳細なプロフィール属性やネットでの閲覧履歴を掴んでいるのです。この事実はもの凄いことです。フェイスブックによって企業は一人一人の個人のスマホと繋がることができ、広告対象を正確に絞り込んだ上で、ニュースフィード部分に動画を含む関心のありそうな広告を配信し、仲間が広告に「いいね」を押してくれることもあります。

広告主は、予め数種類用意した広告につき、どの広告がどのターゲット層に良い反応だったかを分析することができます。そして年齢、性別、或いは国ごとに流す広告コンテンツを変えて行きます。また自社のウェブサイトに「コンバージョンピクセル」を設置して訪問者を追跡することもできます。素通りしてしまうだけの訪問者に、「ウェブサイトカスタムオーディエンス」機能でリターゲティング配信を行って再考を促し、そして有効であれば「類似オーディエンス」機能によって、良い反応を示した人と近い属性を持つ他のフェイスブックユーザー層にも広告を配信し、効率的に誘導を図ることも可能です。これらの新機能がフェイスブック広告に登場してから、同社の売上は飛躍的に伸びてきました。膨大なユーザーベースと、詳細な個人情報を洗練された広告技術で駆使することで、他のインターネット広告の何割増しもの効果を上げることも可能です。

実際、これらの新機能を使いこなすことで売上が何割アップ、何倍にもなった、他の広告媒体に比べて圧倒的に費用対効果が高いといった成功例が出ています。例えばワインの販売で、月間売上が費用の6倍超となり、2,000万円の大広告キャンペーンによって1億2,000万円以上の販売に繋がった事例もあるようです。またサイト訪問者にリターゲティング配信を行った時のコンバージョン率が、他のオンライン広告の1.7倍に増えたとする報告もあります。

企業によっては広告で物やサービスを直接売るより、「リード」と言って潜在見込み客リストを作成したい、無料の会員登録数を増やしたいというニーズもあります。そうした際にもフェイスブックを使ったモバイル広告は有効で、上記のようにターゲットを繊細に絞り込んでアプローチできるほか、大きな障害であるスマホで個人情報を打ち込んでもらう面倒もなく、ワンクリックで元々(フェイスブックに)登録されている情報が画面に表れて簡単に送信できます。実際にフェイスブック広告を使用することでリード獲得単価が下がり、従来の数倍ものリストを入手できた例も多くあります。今やフェイスブックのシステムが最良の営業マンとなって、世界進出すら手伝ってくれるのです。例えばアジアからの訪日客ブーム需要を取り込もうとするスタートアップ起業が、宿泊予約サイト運営やお土産物販売でフェイスブック広告を利用した結果、予約が激増した、海外販売が数十倍になったという事例も見られます。
フェイスブックの売上、利益は上場後も劇的に拡大してきた

フェイスブックの売上、利益は上場後も劇的に拡大してきた

こうしてフェイスブックの売上、利益は上場後も劇的に増えてきました。現在同社従業員数は13,598人に増え、直近12ヶ月間の売上高は上場年の4倍近い200億ドルとなり、一人当たり売上高はグーグルに近い145万ドルです(グーグルは121万ドル)。ただ一人当たり時価総額は上場時とあまり変わらず、2,590万ドルと他社より遙かに高額です。これはさらに成長余地が大きく残っていることを示唆しているのではないでしょうか。

同社PERは現在も30倍を超えてグーグルなど同業他社と比べて割高ですが、成長率が極めて高いため、両者を対比させたPEGレシオは0.98倍(5年予想成長率を使用)と、逆にグーグルの1.27よりも低くなっています(=成長率に対してPERは割安)。

同社粗利益率は80%を超える高さですが、営業利益や純利益額はかなり割り引かれたものとなっています。現金ベースだと、純利益額の2倍以上も稼いできました。例えば昨年の純利益36.7億ドルに対し、営業キャッシュフロー利益は86億ドルでした。この差は現金支出を生まない多額の費用計上があることにより、具体的には10~20億ドルもの減価償却費や、20億ドルを超える株式ベースの報酬(研究開発費の半分を占める)などです。これらは会計上費用となりますが、現金支出が発生せず、キャッシュフローとしては利益に残ります。

こうして同社にはどんどん現金が積み上がり、直近では現金と、いつでも現金化できる有価証券(国債など)を合わせ、計233億ドルものキャッシュを有します。巨額買収をしてきたのにすでに負債は殆どなく、自己資本比率は9割を超えます。緻密に設計された同社システムが、広告主にとって完璧なユーザー基盤に乗り、日々多額のお金を生み続けている様子です。このようなビジネスモデルは、グーグル以外他に類をみないものと思います。

全ての指標が上向き

2016年第2四半期の利益額は過去最高を記録

2016年第2四半期の利益額は過去最高を記録

4-6月期売上は64億ドルでした。うち62億ドルが広告収入で前年同期比+63%増でした。広告単価もアップし、北米、アジア太平洋地域が強い伸びを示しました。広告収入のうち、モバイル広告はすでに84%を占め、伸びも依然+81%増と急成長ペースを維持しています。総費用は37億ドルで、+33%増と売上以下の増加率に抑えました。費用のうち、8億2,500万ドルが株式ベースの報酬でした。営業利益は正式な会計ベース(GAAP基準)と、非現金項目である株式報酬等を除いたNon-GAAP基準ともに過去最高を記録しました。

最終的に調整後一株利益は+94%増の0.97ドルで、市場予想平均を19%超えて着地し、株価も過去最高値更新で反応しました。この数年、同社は一貫して市場予想を超える四半期決算を続けています。

粗利益率、ROE、ROICなどの収益性を示すどの指標も伸び上がってきており、規模の急速拡大と収益性向上が同時に見られます。月間アクティブユーザー数は17億1,000万人で+15%増、うちモバイルは+55%増の9億6,700万人と、ユーザーベースも拡大を続けています。基本的にはコンピューティングシステムが(殆ど原価も掛からず)無限に売上を作ってくれるビジネスであるため、他業種や一般的なIT企業よりも高い利益率が残り、現金ベースの利益の溜まり方は半端でありません。04年にハーバード大の一室で起業した時にこのような姿になるとは想像もできなかったことでしょうが、世界中の人が繋がるということを突き詰めて行けば、こうした結果に繋がるのだと思います。

時価総額100兆円が一番近い企業

ユーザー1人辺りの広告収入など、成長余地は多分にある

ユーザー1人辺りの広告収入など、成長余地は多分にある

同社の今後の成長余地は多分にあります。ユーザー一人当たりの広告収入を見ると、突出した広告大国である北米が13.74ドルと突出し、次いで欧州の4.61ドルとなります。広告収入の75%は欧米市場から稼いでいるのです。

しかしながら、同社のユーザー構成を見ると、デイリーアクティブユーザー数(10億3,300万人)全体の62%が、欧米以外からとなっており、ここではまだ殆ど広告収入を稼いでいません。しかし、徐々にこちら側の存在感が増しつつあり、発展の余地は大きいものです。先に上げたようなより効果的な広告ツールの開発によって先進国市場を深掘りし、そして徐々に人口・ユーザー数のより多い新興国でもネット広告が普及しようとしていることから、アマゾンと一緒に2020年代時価総額100兆円が一番近い企業と思います。

参考:米国株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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