W不倫は増加傾向? 既婚男性に聞いてみた

同じ立場だからこそ等身大で、対等に……ひとりの人間として恋愛できるという意見も。

同じ立場だからこそ等身大で、対等に……ひとりの人間として恋愛できるという意見も。

紅白に出場したミュージシャンと、お笑いタレントの妻(当時)のW不倫が世間を賑わせたことがあった。タレントの妻は「つきあっている人がいる」と離婚を申し出て、その後もミュージシャン男性とつきあい続け、彼女は妊娠。それを機に、ミュージシャンの男性は、妻に他に付き合っている女性がいることを打ち明けた。

結果、ミュージシャン側の夫婦は離婚せず、彼は生まれてくる子を認知することに。妻には「しっかり謝ってきなさい」と背中を押されたとも明かし、養育費についても責任をもって支払うと話したという。

実際、組み合わせとして激増しているW不倫だが、最終的にどうなっていくカップルが多いのだろう。そして、世のW不倫経験者の男たちは、どう思い、どう行動したのだろうか。


W不倫激増の背景とは?

あ

同世代の既婚者同士の恋愛が増えている背景とは。

かつては独身女性と既婚男性という組み合わせが圧倒的に多かった「不倫」だが、5~6年前からだろうか、ともに結婚しているW不倫が激増しているという実感がある。

W不倫が増えたのは、主に男性側の意識が変わったからではないだろうか。

実質的に給料が上がらない、小遣いは減る一方で、若い女性を高級レストランに連れていくこともままならない。若いだけの女性を連れ歩いて楽しいとは思えない……そんなふうに嘆く男性が多い。バブル崩壊とともにへこんだ男性のプライドは、リーマンショックで完全に潰されたようだ。

同時にSNSの流行もあって、かつての同級生や元恋人と再会するチャンスも増えた。会ってみると、若かった頃の自分に戻れる。同世代だから話も合う。かくして、W不倫が増えていったのだと思われる。


恋愛として大事に育むが、一緒になるつもりはない

非日常だからこそ、純粋な恋愛関係でいられる?

非日常だからこそ、純粋な恋愛関係でいられる?

かつての同級生と1年間ほどつきあっている、タカヨシさん(仮名=以下同・42歳)は、こう話す。

「お互いに結婚しているから、立場が対等でしょ。お互い家庭を優先しようと話しているから、夜や週末は連絡は取りません。不倫はいけないのはわかっているけど、配偶者は家族だから、もう恋愛やセックスの対象ではない。うちも彼女のところも、セックスレスですしね。それは男女とも同じなんじゃないかな」

ただ、彼女とつきあうようになってから、妻に対して寛大な気持ちになっていると彼は言う。お互いに家庭の愚痴を言い合うことで、配偶者への思いやりがもてるようになったり、男としてバランスが保てるのかもしれない。

「いつか一緒に暮らせたらいいね、という話を漠然としたことはあります。ただ、お互いにそれが現実になるとは思っていない。“いつか”というのは、離婚するか配偶者が亡くなるかのどちらか。もちろん、僕はどちらも願っていない。それに、現実的に一緒に暮らしたら、また“ただの日常生活”になることが目に見えているわけだし……」

それなら、恋愛は恋愛として、大事に育てていきたいと彼は話した。


W不倫のバランスが崩れるとき

夫と離婚して、結婚したい――対等な恋愛関係だったバランスが崩れるとき。

夫と離婚して、結婚したい――対等な恋愛関係だったバランスが崩れるとき。

W不倫ではお互いが制御しながら、恋愛は恋愛として成立させようと強い意志を持ちながら、関係を深めていく。つまり、どちらかが暴走したら、バランスのとれていた関係は一気に崩壊する。

「1年半、W不倫でつきあっていた彼女が、いきなり『夫と離婚する』と言い出したときは、正直言って焦りました。小中学生の子どもたちをどうするつもりなのか、パート勤めの彼女の経済力では、子どもを育てることさえままならない。『私はあなたを愛してしまったから、もう夫と暮らすのは限界なの』と泣く彼女を見て、うれしい半面、困ったなぁと思っていた」

そう話してくれたのは、ミツオさん(42歳)だ。彼女は、「あなたには迷惑をかけないから」と言っていたが、ミツオさんは彼女の離婚を止めた。

「彼女が離婚しても、僕は離婚するつもりはない。僕が彼女や子どものめんどうを見るのは無理、うちにも子どもがふたりいますしね。現実を見たほうがいいと言うしかなかった。最後は、『私たちの関係って、そんな薄っぺらいものだったのね』という彼女の言葉を背中で受けながら別れました。僕は『恋愛は恋愛』として考えていたけど、彼女は僕との恋愛の延長線上に結婚を考えていた。そこが合わなかったんでしょうね」


不倫相手の妊娠で、修羅場に……

ピルを飲んでいるから妊娠しないと聞いていたのに……と言っても後の祭り。

ピルを飲んでいるから妊娠しないと聞いていたのに……と言っても後の祭り。

「私は、つきあっていた女性が本当に妊娠してしまい、どうにもならなくなって妻に洗いざらい話し、謝り倒しました」

冒頭の芸能ニュースと近しいのがマコトさん(46歳)の例かもしれない。彼は、話しながらも、3年ほど前の修羅場を思い出したように顔をしかめた。

彼が会社に来ていた派遣社員の女性と親しくなったのは、その1年前。5歳年下の既婚者だった。

「夫とは離婚を前提に別居している、という話でした。だから、今日は子どもが修学旅行だ合宿だと言われると、いっしょに遊びに行ったりしていた。でも、実は夫は単身赴任だったんですね。7ヶ月ほど経ったとき、『妊娠しているかもしれない』と言われました。どきっとしましたね。彼女はピルを飲んでいると言っていたのに……うっかり飲み忘れたと、しれっと言うんです。一緒に病院に行ったら、本当に妊娠していて。産みたいと言われたけれど、ちょっと待ってとしか言えなかった

マコトさんは数日悩んだ末、妻に打ち明けた。自分だけで処理できる問題ではなかったからだ。黙って聞いていた妻は、いきなりマコトさんを平手打ちしたという。

「妻の顔は、怒りを必死に押さえ込んでいるように見えた。あれほど怒りに歪んだ表情を初めて見ました。私は黙って土下座するしかなかった

妻は努めて静かに、「離婚したいの?」と言った。マコトさんは必死に首を振った。

子どもに罪はないわね、と妻が言ったのを覚えています」

その後は急転直下。不倫相手の女性の夫が、単身赴任先から帰ってくることになり、そこで初めて、彼女が言っていた「離婚を前提に別居」がウソだとわかった。彼女を問い詰めると、どうやら妊娠中の子どもの父親も、マコトさんなのか夫なのかわからないという。

「妻と一緒に彼女に会ったんです。妻は『まずはご主人にすべて打ち明けてください。話はそれからです』と言い切りました。そして、子どもの父親のDNA鑑定などをするなら協力するとも告げました。彼女は泣いていました。ちょっとかわいそうだったけど、立場上、これ以上は深入りはできないと思いました」

結局、彼女とは別れた。子どもが産まれたという報せは来たが、父親云々の話はまったく出ず、真相はわからないという。彼女は今も、夫と暮らしているのだろう。

「不倫はバレるものですね。不倫はもうこりごりです」

マコトさんは、今も妻には頭が上がらない。妻の寛大さを感じれば感じるほど、うしろめたさが増すらしい。


ともに結婚しているからこそ、対等な恋愛が成立する。お互いにそう考えていれば問題はないが、どちらかが相手を独占したくなったら、W不倫は破綻する。

不倫は純愛なのか、はたまた裏切りの悲劇しか残さないのか――不倫に関する男性たちの見解も末路もさまざまだ。いずれにしても、W不倫は当事者ふたりの意識の違いによって、取り返しのつかないことになりかねない。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。