作業服専門店「ワークマン」がバイク用レインウエアを販売!
今回私が着ているのは、作業着の専門店ワークマンが新たに発売するバイク用レインウエア「バイカーズ」です。衝撃的な価格でバイク用防寒ウエア「イージス」を販売しているワークマンは、またしてもコストパフォーマンス抜群な高機能製品に仕上げてきたのでしょうか?
気になるお値段は、上下セットで5800円(税込み)。バイク用というくくりで見てしまえば、一般的にバイク用品メーカーが販売しているレインウエア(カッパ)は8000円~15000円程度なので、やはり手に入りやすい価格に抑えています。
しかし、バイク用レインウエア(カッパ)は一般的なレインウエア(カッパ)以上に様々な機能が求められるもの。ただ安いだけでは、楽天やアマゾンで販売されている輸入物の格安レインウエア(カッパ)には勝てません。先に発売されたイージスも、安いとは言え価格以上の防寒性能を持っているからこそユーザーに受け入れられてきました。
では、バイカーズはお値段以上の価値があるのか?今回は6月の販売開始に先駆けて実物をお借りできたので、雨天時に試着し、走行してみたインプレッションをお届けします。また、初めてバイク用レインウエアをリリースするワークマンの商品部担当の方にお話を伺ったので、その製作秘話もお伝えしましょう!
レインウエア「バイカーズ」の驚異的な防水性・防寒性
サンプル品をお借りして雨の日を待つこと3日。待望の雨が降ったので、事務所から自宅までの1時間の道のりでバイカーズを着てみました。まず、ぬれることは皆無!安価なレインウエアだと縫い目や前のジップ部分から雨が入ってきますが、バイカーズの防水性能は問題無さそうです。
それもそのはず、耐水圧はワークマンのレインウエア史上最強の15,000mm(イージスは10,000mm)。1万円台のバイク用品メーカーのレインウエアでも10,000mm程度が平均ですから、これは驚異的な数値です。
構造的にも一番雨が進入しやすい前タテの部分が二重構造になっており、雨の進入をガッチリと防ぎます。前タテ全体にマジックテープが配置されているのもポイント。更にウエストや二の腕部分にはアジャスターがついているので、風によるバタツキを防ぐこともできます。
膝パッドや長めの裾など、細かな配慮が好印象
また、パンツには最大の特長とも言える膝パッドが入っています。雨天時だけでなくオーバーパンツとしても使って欲しいという狙いでしょうか?バイク用品メーカーのレインウエア(カッパ)でも入っている製品はほとんどありません。私が冬場に使っているバイク用品メーカーのオーバーパンツにはまっすぐな板が膝パットとして入っていますが、バイカーズの膝パットはきちんと膝の形に丸くなっているのが好印象でした。
パンツの裾部分はマジックテープで調整可能になっておりブーツなどを履いたままでも着用することができそうです。
ちなみに今回ワークマンのアクアゼロ防水セーフティーシューズも一緒に使いましたが、地面から6cmの防水設計になっており、お値段なんと2900円(税込み)。見た目は一般的なブーツなのであわせて使っても良いでしょう。
パンツの裾部分は一般的なバイク用レインウエア(カッパ)と同様に長くなっており、足の上げ下げをしても濡れにくくなっています。また、そのおかげでブーツの上から雨が進入することもありませんでした。
熱気のこもりとパンツの着心地には課題も
ジャケット、パンツどちらも内側にはメッシュが貼られているので、汗をかいたときに張り付くのを防ぎ、夏場の蒸れを緩和させる効果がありそうです。しかし、透湿素材を採用しているレインウエアと比べれば、やはり熱気がこもる印象。
また、パンツが立体裁断で作られていないので、乗車時や信号待ちの際の足の上げ下げで突っ張ってしまいストレスを感じることもありました。スクータータイプなどで使うには良いかもしれませんが、シート高が高いオフロードバイクなどで使うとストレスになる可能性があります。この点は、次回生産時にはぜひとも修正して欲しいポイントです。
ただ、こうした課題があるといっても、やはり全体的に見てこの価格であれば非常にコストパフォーマンスに優れた製品。またしてもこうした製品を実現できたのはなぜなのか?ワークマン東京本部へ伺い、商品部担当の方にお話を聞いてみました。
今後バイク用品メーカーを脅かす存在になるか?ワークマン担当者を直撃
――ワークマンの製品は全て自社で企画して生産するPB製品と、生産を他社へ委託するOEM製品があるかと思うのですが、今回のバイカーズはどちらでしょうか?
「今回は一から企画したPB製品です。結果として5800円という価格になりましたが、求めた機能を全て盛り込んだ結果7800円になってしまっても仕方がないと思って作りました」(八木氏)
――前回取材させて頂いたイージスはバイクにも使える作業着でしたが、バイカーズは機能を見る限りバイク用という印象を受けました。実際、どうなのでしょうか?
「私たちは作業着メーカーです。そのため作業現場で使うことが出来ない製品を作ることはできません。ですが、バイカーズに関しては新しいユーザー層を意識していないか?と言われれば嘘になります。ただ、例えば膝パッドにしても、作業現場では膝を付いて作業をすることもあるので付属しています。バイク・作業現場どちらも意識した製品と言えます」(中村氏)
――イージスの取材の際にも足の上げ下げでズボンが突っ張ってしまうことを指摘しましたが、バイカーズにも同じ問題を感じました。この点は今後改善される可能性はありますか?
「実は2016年モデルのイージスでは大幅に改善される予定となっています。今まではマイナーチェンジでしたが、今回のイージスのアップデートはフルモデルチェンジの予定なんです。相京さんのご指摘はもちろんですが、インターネットでの書き込みなども常に気にして見ていますので、指摘された点は出来る限り改善していく予定です」(柏田氏)
――今回レインウエアの開発に当たって、特にこだわった点を教えてください。
「一言で言えば『最強』です。ワークマンのレインウエアのラインナップ中で最強の位置づけのレインウエアを意識しました。耐水圧15,000mmは弊社のレインウエアの中で最強ですし、素材の強さにも自信があります」(八木氏)
――雨の日に使うにあたって、アクアゼロ防水セーフティーシューズと同時に着用すると効果的だと思ったのですが、他に御社製品で組み合わせると快適性が増すものはありますか?
「他にはインナーにアイスアシスト肌サラシリーズ、クールシールドNEOフルレギンスを着用すると快適だと思います。肌サラシリーズにはポリプロピレンという素材を再考したのですがサラリとした感触を体感して頂けると思います」(中村氏)
「バイク乗りの立場で言うと高価な防水グローブを使っていても徐々にしみてくるようになってしまうので、格好は悪いですがゴム手袋を薄手のグローブの上につけるのがお勧めですね。弊社のラインナップの中には透湿・防水ゴム手袋テムレスシリーズがあります。それと頭の蒸れを防ぐヘルメットインナーもお勧めです」(八木氏)
――今後さらにバイク用の用品を作っていく予定はありますか?
「まだ企画段階のものばかりで発表できるようなものはないのですが、グローブはやりたいと思っていますね。今もバイクでも使えるグローブはあるのですが、より特化した製品が出来ればいいかなと」(八木氏)
バイカーズは確実にお値段以上の価値がある
以前私が使っていた某バイク用品メーカーのレインウエアは1万円以上しました。見た目は良かったのですが、透湿素材を採用していたわけではなく、バイカーズのように裏メッシュ構造で立体裁断も採用されていませんでした。5800円で1万円以上のクオリティを感じさせる今回のレインウエアはさすが“コストの鬼”だと感じました。ワークマンが作る製品は現場の作業員が毎日使うもの。そのため製造コストや販売価格に関しては、他の企業と比べても力を入れている印象があります。
そのワークマンが販売価格を気にせずに開発をスタートしたというだけあって、性能面は素晴らしいものがありました。
個人的には膝パッドやレインネックガードはいらないので、パンツにもう一工夫をしてほしかったところですが、今回も確実にお値段以上の価値がある製品!イージスのフルモデルチェンジに追随した、今後のアップデートにも期待したいところですね。
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