失敗しない資産運用の目標設定のルールとは?
貯蓄目標から投資をするのは危険
子どもが産まれたとき?家を買いたいとき?電車の中吊り広告で「老後破産」や「老後貧乏」などのキャッチコピーに目が奪われたとき?でしょうか。
ライフプランを考えて資産運用に取り組もうとすると、多くの人は貯蓄目標額を決めて投資を始めます。「自分が定年を迎える20年後までに、5%の利回りで運用しながら3000万円の老後資金を準備したい」といったふうに考えます。
退職時期など将来のライフイベントを考えて資産運用に取り組むのはもちろん大切なことです。しかし、この発想には問題があります。殖やすことばかりに頭がいってしまうと、無理な運用につながる可能性がありとても危険なのです。
「早く、少しでも多く資産を増やしたい」、「老後はゆとりある生活がしたい」、など、この誰もが持つあたり前の願いが資産運用においては実に危ないのです。高い目標を掲げると、どこかに無理のあるプランを策定してしまいます。
自分のバラ色の未来図になんとか近づけようと、価格変動の大きい資産を中心にポートフォリオを組んでしまいがちです。高い目標を達成しようとして、株式などの投資比率が高くなりリスクを取りすぎてしまうのです。
金融商品を販売することが目的となっている金融機関の営業担当者からすれば、こういった発想を上手く利用することで、営業がしやすくなります。
「ゆとりある老後のために、○歳でいくらあるといいですよね。この目標を達成するために、多少リスクはありますが、こちらの商品で運用していきましょう」と勧められると、「じゃあ、それでお願いします!」となってしまうのです。
また、資産運用の専門家のなかにも、目標金額から必要利回りを計算してポートフォリオを決定するようアドバイスをする人もいます。でもそのやり方では、過度なリスクを取って資産を運用してしまうことになりかねません。
では、そうならないためにはどうすればよいのでしょうか?
それは、ズバリ、「逆転の発想をすること」です。
どのぐらいの損失に耐えられるかで投資額を設定
「どれくらい儲けたいか」ではなくて「どれくらい損失に耐えられるか」から考えることです。自分が許せる最大損失額を頭に置きながら各資産への配分比率を決めていきます。そうすれば、きちんとリスクをコントロールしながら資産運用に取り組むことができます。もちろん、耐えられる損失の大きさには個人差があります。年齢や性格、家族の状況や、投資経験など、よく考えた上で、目標利回りを決めます。その結果、「○歳までに○○万円に」という目標に届かないのであれば、リスクをとってお金を殖やすことを考えるのではなく、資産運用にこれから回す金額を増やすしかありません。
投資において、取り返しのつかない失敗をしてしまわないためにも、バラ色の未来を想像するのではなく、「自分がどれくらい損失に耐えられるか」を冷静に判断したうえで、資産運用に取り組むようにしましょう。
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