主要成長株の決算が良くないのに、なぜ株価が騰がり続けるのか?
企業業績が良くないにも関わらず株価が上昇している背景には長期金利の下落がある
ナスダックの上昇がリードする相場は「質の良い上昇相場」と言えます。なぜなら、それは投資家が成長性や利益率を追いかけ、貪欲にリスクを取る姿(良い株を最高値付近で買ってさらに高値で売ろうとする意気込み)が見えるからです。しかし、現在の上昇局面はそうなっておらず、逆にファンダメンタルのあまりよくない銘柄が上昇を牽引している様子です。
実際、ニューヨークダウやS&P500が最高値付近にあるにも関わらず、過去1年の高値を更新する銘柄数は異常な少なさを示し続けています。つい先日までは、数年来の最安値を更新したような銘柄群が上昇しているものの、それらはまだ過去1年の高値からは遠い状況です。
企業決算が良くないにも関わらず株価が最高値を更新を目前としている背景には長期金利の下落
4月22日(金)はグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)とマイクロソフト(MSFT)がそれぞれ▼5~7%台の大幅安となりました(上の図表の丸印)。両社とも増益だったものの、市場予測を14年半ば以降初めて下回り、久々の失望決算となったのでした。4月26日(火)にはアップル(AAPL)が決算発表を迎えますが、こちらは10四半期ぶりの減益が予想されています。主力株のチャートはこうしたファンダメンタルズを素直に反映しています。そもそも、現在発表が続いている米国企業の2016年第1四半期決算は3四半期連続となるマイナス成長となる見通しです。逆に言えばそのような状況の中で、ニューヨークダウやS&P500は史上最高値を目前としている状況なのです。
企業業績が悪いにも関わらず「なぜニューヨークダウやナスダックが最高値更新に迫っているのか?」ですが、やはり先進国の超緩和的金融政策による影響が大きいと思います。2015年末にFRBは歴史的な利上げに踏み込みました。しかし利上げにも関わらず、一般の金利は2016年初から下げ続けています。10年国債利回りを長期金利の目安と考えると、過去5年間の最低付近に近いところまで下がってきました。2011年~12年にかけても3%から1.5%という水準に金利は急低下した事がありました。これには日本や欧州が量的緩和政策を続けており、米国に資金が流入していることが背景にあると思います。
ともあれ、「利上げで金利が下がる」という想定外の事態に、買い戻しや、低品質銘柄に急遽買いを入れる動きも拡がったのでしょう。緩和時代に逆戻りしたことで、商品相場やエネルギー株、新興国株が息を吹き返したという様子です。
ただ、最高値更新を目前として市場の雰囲気も少しずつ変わってきたように思います。いままでは「予想よりも悪くない(だから株価が騰がる)」でしたが、現在は「最悪とは言えないけれども、やはり悪い」という雰囲気に徐々に変わってきているように思います。これは高値が不安になってきた市場心理を表しているのでしょう。もう少し株価の上昇は続くかもしれませんが、米国の6月とみられる利上げなどをキッカケとして風向きが変わる可能性がある点には注意が必要だと思います。
参考:日本株通信
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