ミシュラン2つ星フレンチレストランのパティシエが提案する「ESqUISSE CINq(エスキス サンク)」
「東急プラザ銀座」のスイーツの中でも、特にファッション性の高さを感じ取ることができるのが、4階の「ESqUISSE CINq(エスキス サンク)」。同じ銀座にあり、ミシュランガイド2つ星を獲得し続けるフレンチレストラン「ESqUISSE(エスキス)」による新業態のサロン・ブティックです。
そのアシェット デセール(皿盛りデザート)をいただくために、日本はおろか世界中からファンが訪れるというほど、独自の世界観を持つシェフ・パティシエ 成田一世(なりた・かずとし)氏。そんな成田シェフが手掛けるデセールは、これまではレストランのフルコースの中でしか味わえませんでしたが、ここではデセールのコース仕立てで楽しむことができるのです。(アシェット・デセールは2016年4月20日現在、プレデセール、グランデセール、ミニャルディーズの構成で、ドリンク付き税込4,100円、ドリンク無し税込3,500円。)
サロンは、カウンター席とテーブル席、合わせて約30席となっています。
(※アシェット デセールの内容は季節ごとに変わります。同じお皿でも一部変更になることもあり、画像は一例となります。)
季節ごとに代わる3種類のグランデセールを、好きなコンビネーションで選ぶことができますが、たとえば、成田シェフのスペシャリテのデセールといえばこちら。
成田シェフは、2004年に恵比寿の「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」のシェフ・パティシエに就任して以来、世界各国のロブション氏の店のシェフ・パティシエを歴任しましたが、こちらはシャトー時代に創作したデセールの一つです。
金色の飴細工のボールをパリンと砕くと、黒トリュフの泡やマスカルポーネのムース、アルマニャックのグラニテなどが流れ出します。皿の上にはアングレーズソースや赤いフルーツ味のキャラメルソース、黒トリュフ、蜂蜜やハーブ、スパイスが添えられ、それらを絡めながら、様々な味わいと香りを楽しむ一皿。もともとは、黄金色にキャラメリゼされたクレームブリュレのイメージからアレンジしたという品ですが、成田シェフ独自の発想と感性の豊かさが感じられます。
飴のボールの中身やソースなど、組み合わせる素材も、今後、様々なものになっていきそう。まずはぜひ召し上がってほしいグランデセールです。
これ以外に登場するのは、“スフレ”のグランデセール。
通常、スフレと言うと、ココット容器などに入ったものを思い浮かべるかと思いますが、このスフレは焼いた器から既に外されていて、カップケーキ程の小さめサイズでやや背も高い、ちょっと意外な形。その独自のふんわり軽やかな食感を、ぜひ確かめてみてください。
写真のデセールは、シンプルなアーモンド味のスフレに、エレガントな香りのバニラアイスや、赤いフルーツ類を様々な形に仕立てたデクリネゾン、ピスタチオなどが添えられています。同じ香りの要素を持つ素材同士を合わせている点や、白と赤とグリーンの色彩バランスも計算された一皿です。オープニングでは、ショコラとのマリアージュとなったスフレのデセールが登場しました。
ショーケースには、テイクアウト用のプティガトーやマカロンなどが華やかに並びます。これらは、フランスの伝統菓子に成田シェフならではの新たな解釈とタッチを加え、現代風に蘇らせたもの。
たとえば、「ミルフィーユ」や「モンブラン」に、「オペラ」に「タルトレット・キャラメル」、「ババ」や、フランスで「リ・オ・レ」と呼ばれるライスプティングなど、おなじみのフランス菓子がベースとなっているので、最初の入口として入りやすく、これまでに食べたことがあるものと比較するにもわかりやすいでしょうと、成田シェフ。
またタルトタタンは、「りんごが採れる場所では、さとうきびは作られない」という考え方から、キャラメルを先に作って後からりんごを加えるという作り方はせず、時間をかけてじっくりとりんごそのものに火入れすることで、本来持つ酸味や甘みを凝縮させるやり方を採用。さとうはほとんど加えず、それだけ味が凝縮されても甘みが強くなりすぎない、酸味のしっかりあるりんごを使っているそう。そのりんごだからこそ、これだけ濃厚なカラメル色となるのだそうです。
グラス入りのベリーヌも4種類揃い、私が特にお勧めしたいのは、発酵生地を使った「ババ」をアレンジした新作。シロップには、ラム酒の中でも、アグリコール・ラムと呼ばれる格上のものを使用。これは、サトウキビの搾り汁から砂糖を精製した残りを原料とするのではなく、搾り汁をそのまま原料にして醸造酒を造る方法で作られるもので、いかにもお酒が効いているというのとは一線を画し、乳酸発酵したような品のよい熟成感が感じられるものとなっています。パイナップルのみずみずしさや食感がしっかり残るソテーは、タイムも加わった爽やかな香り。まろやかなクレーム、弾力あるババ生地と共に楽しめます。
緑と赤の対比が色鮮やかなのは、フランスでも定番の相性とされるピスタチオのクレームにチェリーのソースを合わせた、なめらかな食感のベリーヌ。昔から王道とされている組み合わせをひも解き、杏をはじめチェリーや桃などのバラ科の植物が、種に杏仁の香りを持っていることに注目。それらと共通の香り要素を持つピスタチオとの組み合わせを再現しています。
多くの品に、エディブルフラワーを砂糖がけのクリスタリゼにしたものなどが、飾りに使われていますが、伝統菓子をモチーフにすると、どうしても、色彩が少ないものになってしまいがち。スイーツは、ファッションと同じで見た目の色彩の華やかさも大事なので、意識的に差し色としているそうです。
たとえば「オペラ」には、黒に白と紫という独自の色彩が使われていますが、これらは日本の伝統色として私達の意識下にあるもの。表面のグラッサージュは、味が薄く感じられてしまうココアパウダーを使ったものにしたくないと、あえて竹炭を使い、黒々と漆塗り細工のようなややマットな仕上げにしてあります。確かに、パリのオペラ座をイメージし、金箔を飾ったフランス流の「オペラ」とは異なる、日本独自の、成田シェフらしい作品と言えます。
さらに、薄く延ばしたやわらかなチョコレートでできた、まるで布のように見えるカバーに金糸銀糸を結んだデザインが印象的な一品「パピヨット」は、実は「ティラミス」をベースとしたもの。中身がどのようになっているか、食べて確かめてみてくださいね。
「ESqUISSE CINq」という店名の中で、「q」の文字だけが小文字になった表記にも、意味があります。「esquisse」という単語自体はフランス語で「素描」、「cinq」はフランス語で「5」の意味ですが、この特別な表記がレストランの名称であり、ブランドネームであることを示しています。
「5」というのは、ここ「東急プラザ銀座」が銀座5丁目にあるということに由来しますが、これは宇宙を表す数字でもあります。東洋には、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素から成るという考えがあり、全ての「モノを創る原型」。店名ロゴの上に配された5つの点が、これらを示しています。スケッチも点の集合体であるということから、エスキスの原点である「点」のモチーフをシンボルマークにしているそうです。
レストランのランチやディナーのデセールとも掛け持ちで、大変お忙しい成田シェフですが、空き時間のどこかで、なるべくこちらの店舗にも顔を出すようにしたいと仰っているので、ファンにとっては嬉しいですね。
<ショップデータ>
「ESqUISSE CINq(エスキス サンク)」
東京都中央区銀座5-2-1 「東急プラザ銀座」4階
電話 03-5537-7477
営業時間 11:00-21:00(L.O.20:15)
定休日 東急プラザ銀座 施設に準ずる
次のページでは、ニューヨーク発の人気店で、関東初出店のスイーツ&カフェのショップをご紹介します。「東急プラザ銀座」内の3-5階の一部に展開する「HINKA RINKA(ヒンカリンカ)」内に入るお店です。