日本のプロ野球とは異なるメジャーのクラブハウス事情
球団の措置に激怒した選手が突然引退を発表した。
これを受けて、選手側がフロントに猛抗議したことで、強化責任者であるケニー・ウィリアムス上級副社長がクラブハウスから出入り禁止処分となる異常事態に発展している。
日本のプロ野球は、クラブハウス(ロッカールーム)を報道陣に開放していない。しかしながら、メジャーリーグでは、クラブハウスのマネジャーがOKを出せば、試合前と試合後に立ち入ることが可能となる。試合開始の30分前まで取材できるし、試合後はその選手が帰るまで話を聞くことも可能となる。
そのクラブハウスでよく見かける光景が、選手の家族、とくに子供たちが自由に出入りし、お父さんのロッカー近くで遊ぶ姿だ。メジャーリーグの多くの選手が家族のクラブハウスの立ち入りを契約書に盛り込んでいる。ラローシュもその1人だった。14歳の息子ドレイクくんがクラブハウスにいることは、「ホワイトソックスと契約する以前から、自分にとって一番大事なこと」だったのである。息子専用のロッカーがあるくらいだから、推して知るべしだろう。
これに対してウィリアムス氏がクラブハウスで子供と過ごす時間を大幅に削減するようラローシュに言い、さらに「最終的には一切連れてこないように言われた」という。これに頭に来たラローシュが、年俸1300万ドル(約14億5000万円)の1年の契約期間を残しながらも引退を発表したというわけだ。
チームのエースも球団に激怒し、調査を依頼
この球団側の対応に選手側も激怒した。3月16日(日本時間17日)のオープン戦でボイコット寸前まで事態は紛糾し、ロビン・ベンチュラ監督が何とかなだめて試合開始にこぎつけている。それでも選手の怒りは収まっておらず、とくにエースのクリス・セール投手はウィリアムス氏の行動に激怒。「彼は選手には監督がドレイクについて文句を言っているといい、監督には選手から苦情が出ていると話し、ここに来てオーナーからの苦情だと言う。息子を連れてくることを禁止すること以上に、こっちのほうが深刻な問題だ。自分たちが信用すべき人物が、見え透いた嘘をついているんだから」とウィリアムス氏を糾弾すると、選手会にも今回のラローシュ問題の調査を依頼した。ウィリアムス氏にすれば、昨季、打率.207、12本塁打、44打点だったラローシュの低迷原因は子供のせいでは、と考え、奮起を促す意味合いもあったかもしれないが、契約上認められていることに口をはさむのは、ご法度のはず。いったいこの顛末はどういうものになるのだろうか。
ホワイトソッツクスのオーナーであるジェリー・レインズドルフ氏は、「これは球団内部の問題であり、選手や職員、フロント陣らとの話し合いの場を設けている。そのため、すべてが解決するまではコメントを差し控えたい」という声明を発表した。