家やモノにはその人の価値観が表れる
家は住む人のポートレートです。例えばモノもそうでしょう。購入する瞬間、瞬間に自分で判断して決断しています。そのモノ自体や購入に至るまでには物語があり、意味のあるものです。さらにそのモノはずっと持ち続けたり、時には処分することもあります。これらを含めて、購入するモノすべてがその人の価値観を表わしています。そういった中で人間は生活を営み、日常を暮らしています。だからこそ家づくりは人生観や家族観の考え方がとても重要になってきます。家づくりは人生観、教育観、家族観を問うこと
家を建てる、又は手に入れる平均年齢は40歳前後です。その際自分のスタイルをイメージして家を手に入れたり、つくったりすることができる人は案外少ないのではないでしょうか。それは、まだモノも人間関係も仕事も経験も、次々と新しい関係を築いていったり増えたりする時期だからです。そういった時期に家をつくることで、これからの自分の人生に対してスタイルの核をつくることができるのが住まいづくりの醍醐味でもあるのです。例えば家を求める時、誰もがこれからの夫婦のあり方、または子どものこと、両親のことなどすべてを含めて将来像を考えるでしょう。つまりそれは夫婦のお互いの人生観、倫理観、職業観、教育観、家族観、を問うことでもあるのです。
家づくりはにじみ出てくる豊かさが大事
自分の家をつくるプロセスはこのように夫婦にとって将来を考える、またとない研修の場、ある意味“スタイル”を考える場となるのです。予算の都合上、多額の住宅ローンを借りるかもしれません。それは夫婦として覚悟して生きていくための通過儀礼にもなるでしょう。家づくりが研修の場であれば、当然その研修が活かされなければなりません。それは満足した家ができ上がった時ではないのです。むしろでき上がった時は研修が終わった時の心境と同じで、やれやれとホッとするくらいでしょう。
研修はもっと後になって深いところからにじみ出るようにやってくるのが本物の成果です。それは、妻と意見が合わなかったけど、やはり使い込んでみたら良かったとか、逆に、やはりあそこは妻の意見に従うべきだったとか、反省もふまえてそういった小さなことが自分の記憶にとどまり、それは後になって自分をとても豊かにしてくれることを知るのです。
情熱年齢がある限り家づくりはいつでも
家をもつ平均年齢が40歳前後というのは住宅ローンの返済のこともあるでしょう。しかし夫婦での研修となると意見の対立やもめることもありますので、お互いを受け止める心と気力も必要です。そう考えると家をつくる時には情熱も必要です。情熱年齢は人によって違いますが、もし自分に家をつくる情熱がないと感じたら、建て売りの住まいを買ったほうがラクです。家をつくることと買うことのプロセスは全然違うのです。
いろいろな事情があり家をつくることが無理で建て売り、または中古住宅を買う人もいるでしょう。それでもやはり家や土地は動産ではなく不動産です。夫婦で研修を受ける覚悟をもって家を購入して、豊かなモノに包まれて生活を楽しんでほしいと思います。