人気のローカル鉄道のイベント列車

イルミネーション

冬季限定 (2月下旬まで) の名物でもある駅舎を彩る わたらせ渓谷鐵道のイルミネーション (写真提供:わたらせ渓谷鐵道)


わたらせ渓谷鐵道では、冬季シーズン限定で様々な内容のイベント列車が走っています。年末年始を挟んで2月いっぱいまで運行されている 「イルミネーション号 (週末は往復運賃とお弁当がセットになったお得なツアーもあり) 」 では、イルミネーションで飾られた沿線の各駅舎を見ながら、終点の栃木県日光市の間藤(まとう)駅までの往復2時間強の旅を楽しめます。

そして今回紹介するのが、地元の天然水から作られた “ゆば” や “豆腐料理” を懐石風弁当で味わいながら、沿線の景色をゆっくり楽しめる「トロッコわっしー号で行く 京風ゆば料理列車」です。

開通は大正時代 ! 歴史あるローカル鉄道

わたらせ渓谷鐵道は、群馬県の桐生駅を出発し、栃木県 (日光市) の間藤駅までの約44キロを、1時間半かけて走るローカル線です。県境の山間部を走る列車は、車窓からの風光明媚な景色やトロッコ列車などが人気で、年間を通して大勢の観光客に利用される人気の地方鉄道です。

その歴史は古く、今から100年ほど前に足尾銅山から採掘された銅を運ぶための足尾鉄道として開通しました。大正7年には国有化され、国鉄足尾線からJR足尾線として運行。銅山が閉山したあとは輸送量が減り、廃線の危機もありました。その後、近隣住民の働きかけもあり、1989年からは第三セクターの “わたらせ渓谷鐵道” として再スタートし、スタッフや地域の皆さんの努力もあり、駅舎周辺の整備も進み、アイデアいっぱいのイベント企画や名物駅弁など、地域一体となって乗客をもてなすアットホームなローカル鉄道としても話題になっています。

わたらせ渓谷鐵道の名前から、地元では “わ鐵” の愛称で親しまれています。もともと足尾銅山にゆかりのある路線ということもあり、特に人気があるのが週末を中心に運行されるトロッコ列車の「わっしー号」と、「わたらせ渓谷号」です。


人気のトロッコ列車とコラボしたグルメ列車

トロッコ列車 「わっしー号」

のどかな雰囲気の大間々駅とトロッコ列車 「わっしー号」

トロッコ列車に乗るには、乗車券のほかにトロッコ整理券が必要なため、景色が美しい春から秋のハイシーズン期間中は切符が入手しにくいこともあります。そんな人気のトロッコ列車に確実に乗れ、美味しいものが食べられるという穴場のコースが、今回紹介する 「トロッコわっしー号で行く 京風ゆば料理列車」です。

トロッコ列車の車内

夏は開放的に、冬は窓にガラスが付いて暖房も完備されているトロッコ列車の車内


冬場のオフシーズンですが、沿線の景色も冬ならではの情緒がありますし、また混雑せずにゆったりと乗車できます。しかも美味しいものが食べられるとは、一石二鳥ならぬ一石三鳥の嬉しいイベント列車です。桐生駅、相老駅、大間々 (おおまま) 駅の3つの駅から乗車できますが、大間々駅には駅併設の駐車場もあり、ゆば列車に乗車する人は無料で置けるため、車で現地へ来る人にはとても便利です。


梅の花が見える沿線

2月~3月にかけては梅の花が見ごろを迎える鉄道沿線

午前10時31分に桐生駅を出発した列車は、乗車駅以外の途中の駅には停車しませんが、その分人の乗り降りもないため、落ちついて食事が楽しめます。列車は12時23分には足尾銅山への最寄駅でもある通洞 (つうどう) 駅、そして12時32分には終着駅の間藤 (まとう) 駅へ到着します。通洞、足尾、間藤の各駅の中から、好きな駅で一度下車して周辺を自由散策できる時間もあります。

通洞駅周辺には、 「足尾銅山観光」 があります。江戸時代から400年続いた銅山の様子を再現した歴史スポットで、トロッコに乗って坑道の中まで見学できるコースもあり、とても興味深い場所です。終着駅の間藤駅周辺よりも立ち寄る場所があるため、通洞駅で途中下車する人が多いようでした。あっという間の2時間弱の散策時間も過ぎ、帰りは13時56分に間藤駅、14時04分に通洞駅を出発し、15時29分には大間々駅、15時49分には桐生駅へと戻ってくる半日コースです。

地元の名水と国産大豆を使って仕上げた絶品ゆば料理

ゆば料理

まさに “ゆばづくし” の京風ゆば料理のお弁当

列車に乗り込んで、しばらく景色を楽しんでいると、立派な2段重のお弁当が配られます。桐生市にある、とうふと京風ゆば料理の 「若宮」 の、ゆばづくしのメニューです。桐生は京都の西陣と並ぶ織物産業で栄えた土地です。織物を通して職人や商人の行き来もあったでしょうから、京都が本場である “ゆば” が桐生で見られることもうなづけます。

ゆばさし

新鮮でトロトロ感に思わずうなる “白和え” や “さしみゆば”

群馬名産のこんにゃくや季節の野菜を豆腐であえた “しらあえ” のほか、“ごま豆腐”、“ゆばシューマイ” とメニューも多岐にわたりますが、なかでも普段あまり食べる機会がない “さしみゆば” は、わさび醤油でさっぱりといただきます。 “さしみ” とつくだけあって、とにかく新鮮で、口の中に入れるとすぐに溶けてしまうほどまろやかでした。

また、おいなりさんのように見えるのは、“ゆば寿司” で、薄く透けて見える巻きゆばの中には、す飯と大葉、梅肉が入っていて、こちらも食べたことのない新鮮な食感でした。

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