レトロな駅舎と、ここにしかない見どころ
車窓から見えるレトロな駅舎も、わたらせ渓谷鐵道の特徴です。他の駅にはない、味のある駅舎や沿線の風景の特徴などを紹介しましょう。まず、大間々駅の先にある上神梅 (かみかんばい) 駅は、大正時代の開業当時の雰囲気を伝える古い木造駅舎が人気です。風情ある駅舎は、映画やドラマのロケ地になることもあるそうです。
渓谷にそって蛇行しながら走るわたらせ渓谷鐵道は、国道よりも一段低い場所を走っているため、列車に乗らないと見られない独特の渓谷美が特徴です。なかでも、列車からしか見ることができないという滝もあります。「汽車見 (きしゃみ) の滝」と呼ばれる滝のそばまで来ると、列車を徐行運転してくれます。
花輪駅のホームには、うさぎと亀の象があります。童謡 「うさぎと亀」 を作詞した石原和三郎氏が、この花輪地区の出身であり、駅の近くにある旧花輪小学校 (すでに廃校) の校長を務めた経歴があることなどから、その記念としてホームに象が建てられました。石原氏は他にも童謡 「金太郎」 や 「花咲爺」 など多くの童謡を作詞しており、童謡の父とも呼ばれています。花輪駅は童謡 「うさぎと亀」 の発祥の地にちなみ、列車が接近したり、到着したりすると 「うさぎと亀」 の曲が流れるようになっています。
駅の中のレストランと人気駅弁
日帰り温泉施設が駅に併設されている珍しい水沼駅を過ぎると、続いて神戸(ごうど)駅が見えてきます。ここには、東武鉄道で実際に走っていた急行列車 “けごん” の車両を改装したレストラン 「清流」 があります。ゆば列車は停車しませんが、各駅停車の列車で旅をする際には、ぜひ立ち寄ってほしいスポットです。地元特産の舞茸を使った “天ぷらうどん” や、きのこを使った “きのこカレー” などの定番メニューのほか、ここでは名物駅弁 (予約制) も食べられます。
特におススメなのが、 「やまと豚弁当 (税込1030円) 」 です。群馬産のやまと豚にオリジナルのタレがしみた焼肉弁当で、包み紙の裏側には沿線の観光情報をイラスト入りで紹介した観光マップが描いてあるほか、お弁当にはオリジナルの手ぬぐいが付いてきます。温泉駅でもある水沼駅の日帰り温泉施設で使ってもらえるように手ぬぐいが付いたユニークな駅弁です。
観光ポイントごとに車掌さん自らが解説してくれる車内アナウンスに、見どころを通過するときにゆっくりと徐行運転してくれる運転手さんなど、普通に列車に乗る時には体験できないようなアットホームなおもてなしが印象的でした。大自然のなかを走るだけに、時には鹿が線路を横断することもあります。そんなときも、手前で止まって鹿が通過するまで列車を止める、そんなおおらかさも旅のエッセンスです。開放的な列車に乗りながら、ヘルシーでおいしい料理を堪能する 「トロッコわっしー号で行く 京風ゆば料理列車」 は、週末や祝日が対象の運行日は一日一往復で、このあと3月まで運行されています。
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わたらせ渓谷鐵道株式会社
住所 : 群馬県みどり市大間々町大間々1603-1 (本社)
電話 : 0277-73-2110
FAX : 0277-73-3121
※土日祝日を除く 09:00 ~ 17:00
トロッコわっしー号で行く 京風ゆば料理列車リーフレット