スーパースポーツからツアラーまで揃うNinjaブランド
1980年生まれの私にとってカワサキのニンジャと言えばGPZシリーズです。1984年1月に全世界で発売されたGPZ900Rは多くの国で性能が賞賛され、北米使用のGPZ900Rは「Ninja」というペットネームが与えられました。
国内ではGPZ900RをボアダウンしたGPZ750Rがリリースされ人気となりました。カワサキはニンジャブランドを徐々に拡大させ、Ninja ZX-6RやNinja ZX-10Rに代表されるスーパースポーツジャンルやNinja ZX-14などのメガツアラー。
そして多くのエントリーユーザーの支持を受けたNinja250Rなど、現在Ninjaブランドは多岐に渡ってラインナップされています。基本的にはフルカウルを纏ったデザインを採用していますが車両によって得意とするステージは違いエントリー向けからスーパースポーツ、メガツアラーまで幅広く用途をカバーしています。
今回試乗インプレッションをお送りするのはNinja1000です。Ninjaシリーズの中でもNinja250、300、400、650、1000の5台はシーンを選ばずに使えるモデルという印象がありますが、最大排気量のNinja1000の使い勝手はどうなのか?一週間通勤で試乗してインプレッションをお届けします。
まずNinja1000の装備チェック Ninja1000の燃費は?足つき性は?
Ninja1000にはライダーのライディングをサポートするさまざまな機能が搭載されています。まずはアシスト&スリッパークラッチ。排気量の大きいモデルはクラッチレバーも重くなってしまいます。アシスト&スリッパークラッチはクラッチレバーの操作感を軽くスムーズにさせるというもの。
実際に使ってみるとカワサキのZ800と比べてもクラッチレバーは軽い感触でした。またアシスト&スリッパークラッチにはもう一つ機能があり、急激なシフトダウンや間違ってシフトダウンしてしまった際にエンジンブレーキが効き過ぎてリアタイヤのスリップを防ぐというものがあります(ただし、この機構は2016年式のNinja1000から採用されているので中古車を購入する場合には搭載されていない可能性もあります)。
また、Ninja1000のライディングをサポートする機構としてトラクションコントロールとパワーモードコントロールがあげられます。トルクコントロールはリアタイヤに掛かる駆動力を制御することが可能な機構です。Ninja1000のトルクコントロール機構【正式名称はKTRC カワサキ・トラクション・コントロール】は三段階の調整が可能でモード3は雨天時を想定したモード、さらにトラクションコントロール機能をオフにすることも可能です。
公道での加速に関していえばリアタイヤがホイルスピンするほど全快で加速することはありませんが、濡れた路面を走行する際や砂利が浮いている道などを走行する際に不意にリアタイヤがスピンすることを避けてくれるため運転時の安心感が増します。
またパワーモードはノーマルモードと出力を70%まで絞ったローパワーモードを選択可能です。実際に街中を走ってみるとノーマルモードでもスムーズに走行することが可能であるため、特に必要性を感じることはなかったのですが、試しにローパワーモードにしてみたところ600cc程度のバイクに乗っているような感覚になりました。
多少アクセルをラフに操作してもノーマルモードに比べて滑らかに加速するので雨天時などはトラクションコントロールとローパワーモードにすることでNinja1000の制御を楽にしてくれるでしょう。
個人的にNinja1000に搭載されている装備で非常に気に入ったのはサウンドチューニングされているという吸気音です。昔乗っていたターボ付のスポーツカーの加給音を彷彿させるエキサイティングな音がエンジンの加速時に聞こえてくるので、不必要にエンジンの回転数を上げてしまいました。ライディングプレジャーを感じるこのような機構は歓迎したいところ。
快適に街中を走るためには大切なシート高は820mm。身長165cmの筆者だとつま先立ちという感じですので足つき性は良いとは言えませんが、ごわごわしたオーバーパンツを履いていなければストップ&ゴーの多い街中の走行でもあまり気になりませんでした。
燃費は15.25km/Lで、19Lと比較的大きい燃料タンクを備えていますので、今回のように街中のみを走行した場合でも連続航行距離は289.75kmです。高速道路を使ったツーリング時などは高いギアを使って低い回転数で走行することで大幅に燃費が向上するため連続航行距離も伸びそうです。
それでは次ページでは実際に街中でNinja1000に試乗したインプレッションをお届けします。