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2015年、フィギュアスケート界を振りかえって

2015年もいろいろなことがありました。今年フィギュアスケート界でインパクトのあったことをいくつか、振りかえってみます。

執筆者:長谷川 仁美

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2015年。今年も、フィギュアスケート界でいろいろなことが起こりました。

秋のシーズンスタートから春先までが1つのシーズンとして捉えられるフィギュアスケート界では、年末で一区切りという感覚はあまりありませんが、全日本選手権も終わってひと段落の今、2015年という年を振り返ってみます。


2014-15シーズンの世界選手権の結果

3月末には上海で、シーズンをしめくくる世界選手権が開催されました。メダリストの6名と6組を振り返っておきましょう。

男子シングル
1位 ハヴィエル・フェルナンデス(スペイン)
2位 羽生結弦
3位 デニス・テン(カザフスタン)

女子シングル
1位 エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)
2位 宮原知子
3位 エレーナ・ラジオノワ(ロシア)

ペア

1位 メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード(カナダ)
2位 ウェンジン・スイ&ツォン・ハン(中国)
3位 チン・パン&ジャン・トン(中国)

アイスダンス

1位 ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン(フランス)
2位 マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ(アメリカ)
3位 ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ(カナダ)

羽生、宮原以外の日本人選手は、12位・小塚崇彦、16位・無良崇人、6位・本郷理華、7位・村上佳菜子、19位・高橋成美&木原龍一、22位・キャシー・リード&クリス・リード。

この結果によって、2016年の世界選手権の日本人の出場枠は、男子2、女子3、ペア1、アイスダンス1となりました。


休養していた選手たちのカムバック

ソチ五輪シーズンの世界選手権で優勝したのち、競技会に出場せずに休養していた浅田真央が、5月半ばに競技への復帰を発表しました。

当時は「うまくいけば試合に出られるかもしれないし、出られないこともある」とコメントしていましたが、グランプリシリーズで優勝と3位となり、グランプリファイナルにも進出。全日本選手権では3位となって、シーズンを折り返しています。

浅田選手と同じく、ソチ五輪後の1シーズンを休養にあてていたパトリック・チャン(カナダ)が、10月上旬のジャパンオープンで競技会に復帰しました。その後はスケートカナダで優勝し、グランプリファイナルにも進出しています。

さらに、ソチ五輪金メダリストである女子シングルのアデリーナ・ソトニコワ(ロシア)は足首靭帯の怪我から復帰し、ペアのタチアナ・ヴォロソジャール&マキシム・トランコフ(ロシア)はトランコフの肩の怪我、手術を経て、1シーズンのブランクののちに、試合に戻ってきました。


シニアデビューの男子2人が大活躍

昨シーズンの世界ジュニア選手権の1位・宇野昌磨、2位・ボーヤン・ジン(中国)が、今シーズンからシニアデビューしました。

グランプリシリーズ全6試合のうち、1試合目のスケートアメリカで宇野が2位となると、3試合目の中国杯ではジンが2位に。4試合目のエリック・ボンパール杯(フランス)に出場した宇野は、ショートプログラムで1位に。その後パリで同時多発テロが起こったため試合は中止となり、ショートプログラムの順位が最終順位となったことから宇野は優勝となりました。6戦目のNHK杯ではジンが2位となり、シニアデビューのシーズンに、2人ともグランプリファイナルに進出することになりました。

そのグランプリファイナルで、宇野は銅メダリストに輝いています。またジンは、シーズンを通して、ショートプログラムでは2種類の4回転を、フリーでは3種類4つの4回転を予定してトライして、フィギュアスケート界を驚かせ続けています。


羽生結弦が、史上最高得点を何度も更新

NHK杯とグランプリファイナルで、羽生は史上最高得点を更新しました。

それまでの男子シングルの史上最高得点は、ショートプログラムは101.45点(2014年ソチ五輪、羽生結弦)、フリーは196.75点(2013年エリック・ボンパール杯、パトリック・チャン)、総合得点は295.27点(2013年エリック・ボンパール杯、パトリック・チャン)。

11月下旬のNHK杯で羽生選手は、それまでショートプログラムに1つ入れていた4回転を2つにしたり、フリーで4回転を3つ入れたり、コンビネーションジャンプを3つとも難しい種類で後半に跳んだりしたうえで、すべてのエレメンツ(ジャンプ、スピンなど)の質がとてもよかったことなどから、とても高い得点が出されました。
(参照:羽生結弦選手の高得点の理由:ショートプログラム編羽生結弦選手の高得点の理由:フリー編

そして、NHK杯とグランプリファイナルで、いずれもショートプログラム、フリー、総合の史上最高得点を更新するという、ものすごいことを成し遂げています。

羽生のNHK杯とグランプリファイナルの得点は以下の通りです。

NHK杯
ショートプログラム 106.33点
フリー 216.17点
総合 322.40点

グランプリファイナル

ショートプログラム 110.95点
フリー 219.48点
総合 330.43点


10代のロシア女子選手が次々に活躍

ロシアの10代の女子シングル選手たちが次々に登場して、シニア、ジュニアで大活躍しています。

ソチ五輪金メダリストのソトニコワ(19)、ソチ五輪団体金メダリストのユリア・リプニツカヤ(17)、現世界チャンピオンのトゥクタミシェワ(19)、グランプリファイナルで優勝したエフゲニア・メドベージェワ(16)、3位のラジオノワ(16)、アンナ・ポゴリラヤ(17)。

ジュニアでも、ジュニアグランプリファイナル1位のポリーナ・ツルスカヤ(14)、2位のマリア・ソツコワ(15)などいますし、まだまだこのあとも素晴らしい選手たちが登場してくるでしょう。

12月末に行われたロシア選手権では、1位・メドベージェワ、2位・ラジオノワ、3位・ポゴリラヤとなり、現世界チャンピオンや来年3月の世界選手権に出場できないことになりました。

10代選手たちが次々に台頭してくるが、その後ずっとトップに君臨し続けることが難しいということを問われたラジオノワは、「マオ(浅田真央)のように長く高いレベルを保っていられる選手をとても尊敬しています」とコメントしています。


日本にも、ペア、アイスダンスの組が増えている!

リンクの数があまりないこと、リフトやスロージャンプ(女性を投げるジャンプ。ペアの技)などのあるペアやアイスダンスは危険を伴うために、あまり混み合ったリンクでは練習できないこと、そして指導者も多くないことから、日本ではペアやアイスダンスの組の数が、非常に少ないのが現状です。

ですが、今シーズンからペアもアイスダンスも組が増えており、四大陸選手権や世界選手権での活躍も望めそうです。

全日本選手権で優勝したのは、ペアは、須藤澄玲&フランシス・ブードロ・オデ、アイスダンスは、村元哉中&クリス・リード。4人ともそれぞれに他のパートナーとのペアやアイスダンスカップルとして、国際大会に出場した経験を持っています。シーズン後半の四大陸選手権や世界選手権での活躍が楽しみです。
(※)アイスダンスは、世界選手権出場のミニマムポイントを超えた組がいないため、村元組もしくは平井絵巳&マリオン・デ・ラ・アソンションが今後の試合で超えた場合、その組が代表となります。両組とも超えた場合は、全日本チャンピオンである村元組が優先されます。


日本のジュニアの女子選手たちに有望選手が多いことや、新しいリンクができたりリニューアルオープンしたりしたこと、様々な選手たちの引退、5度ペアの世界チャンピオンになったアリョーナ・サフチェンコが新しいペアを結成して大会に戻ってきたことなどなど……2015年も、上記で書ききれないくらいいろいろなことがありました。

全日本選手権も終わり、1年をゆっくり振り返る時期の今、フィギュアスケートに関しても、ちょっと演技を振り返ったり、自分的フィギュアスケート思い出シーンを書き記しておいてみたりするのも楽しいかもしれません。
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