春画イベントで、男女について考えた
『春画のいろは~一夜限りの春画 Bar~』ヴィジュアル。
東京都・木場EARTH+cafe&barで『春画のいろは~一夜限りの春画 Bar~』というイベントがおこなわれた。これは、株式会社TENGAが、「女性らしくを、新しく。」のコンセプトのもと、発売以来、人気を博している女性用セルフプレジャーアイテムirohaと、江戸時代に誰もが見て楽しんだ春画のコラボレーション企画として開催したもの。
この日は、春画展日本開催実行委員である浦上 満氏と、美術出版社『美術手帳』編集部の望月かおる氏がゲストで、春画の解説や江戸時代と現代の性具比べなどもおこなわれた。2015年12月23日新発売のiroha+(イロハプラス)のお披露目もあり、会場は女性だらけ。
春画の余波? 男たちへの不満
会場は女性だらけで、熱気ムンムン。
おもしろかったのは、会場で偶然出会った友人や初対面の女性たちと、春画の余波で「男女論」が始まってしまったこと。
ある女性は、春画展にパートナーと一緒に行ったのだが、「全然盛り上がらなかった」と不満を述べた。
「もともと淡泊な人だから、少しでも刺激になったらと思って一緒に行ったのに、数枚見たところで、『もういいや』って。女友だちと行ったときのほうがずっと盛り上がった」
別の女性が深くうなずく。
「わかるー。私も彼と行ったんだけど、彼は途中からどんどん気持ちが盛り下がっていってるのがわかりましたもん。男は春画が嫌いなのかなあ」
「春画の中の大きな性器にコンプレックスを抱いちゃったのかな?」
私が茶々を入れると、女性たちがわっと笑う。
女たちは「もっともっと求められたい」
春画展日本開催実行委員 浦上満 氏。春画のコレクターでもある。
春画展日本開催実行委員 浦上氏は壇上でそう話していた。
男性には、この楽しいファンタジーが理解できないのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。
春画に描かれている女性たちの、愉悦に満ちた表情は、女たちを興奮させる。
「あんなふうに楽しいエッチができたらいいなあ、と思いますよ」
「子どもに授乳しつつ、後ろから男性を受け入れている春画があって、ああ、日常的に愛されているんだなって思った。セックスってこうあるべきなんじゃないか、と……」
女性たちは、非常に細かく春画を見て楽しんでいるのだなとつくづく感じた。そこにあるのは、女性たちの「もっともっと求められたい」という気持ちなのかもしれない。
「強引に、求められ……」春画のなかのシチュエーションに、女性たちは理想を見ている?
「ぐいっと引き寄せられて、有無も言わさずちょっと強引に……なんていうのに憧れますよねえ」
そう、女が求めているのは、「強い愛情」なのである。
江戸時代に描かれた春画には、男に強く求められ、自らも「気持ちがいい……」と素直にセックスに没頭する女のかわいらしさがあふれている。
「求められて応じて、こっちからも求めて。そうやって触れあっていくうちに、愛情ってどんどん濃くなる気がするんですよ」
そう言った女性もいたが、肌を重ねることによって、身も心も馴染んでいく男女のよさは、確かに何ものにも代えがたい心地よさがあるだろう。
春画に描かれた性と、現代のセックスレス事情
現代よりも、江戸時代のほうが、男女の愛情を深く理解していたのでは。
男も女も生きもの、つまりは「なまもの」だ。
刻々と、考え方も気持ちも体調も変化している。だからこそ、常に愛情を確認しあわないと、気づいたら関係が腐っていることもある。そのことを江戸時代の人たちは体で承知していたのかもしれない。
若い男女のみならず、高齢の男女も春画には描かれている。いくつになっても、「気持ちいいことは楽しいこと」。男女の和の基本は肌を重ねること。春画は、そんな基本的なことを私たちに教えてくれる。
「それにしても、初対面でこんな話ができるところがすごいですよね。これも春画が引き寄せてくれた縁なのかな?」
そう言った女性がいた。女同士が、春画を通して自分たちの恋愛や性を語れることも本当に楽しいことだ。こういう気運がもっと高まってくることを願ってやまない。