松尾芭蕉も絶賛!渓流に耳を傾け、風光明媚な景観に見惚れる
今から1300年前の奈良時代に東大寺の大仏造立の実質的責任者として知られる高僧・行基によって開湯されたと伝わる山中温泉。その山中温泉に寄り添うように流れる大聖寺川の約1.3kmに渡る渓谷が鶴仙渓(かくせんけい)です。ちょっと変わった名前の由来は明治時代の書家・日下部鳴鶴から。砂岩の浸食によって形成された多数の奇岩怪石が見られる北陸随一の景勝地で、「おくのほそ道」の旅の途中で立ち寄った松尾芭蕉も“行脚の楽しみここにあり”と手を叩いて喜んだとか。
渓流沿いには遊歩道が整備されており、その芭蕉が絶賛した風景の中をそぞろ歩くことができるようになっています。鶴仙渓に架かるこおろぎ橋・あやとりはし・黒谷橋の3つの橋もデザイン・素材ともにそれぞれ違って個性的なので、できれば全部渡ってみてくださいね。
四季折々に違った表情を見せ、1年を通して楽しめる鶴仙渓ですが、先に紹介した那谷寺同様、紅葉の名所として知られ、目の覚めるような鮮やかなオレンジや朱、紅に染まった景観は圧巻のひと言。
例年11月中旬~下旬が見頃で、ちょうど温泉の季節でもあるので、芭蕉が有馬・草津と並ぶ扶桑の三名湯と讃え、「山中や菊は手折らじ湯の匂ひ」と詠んだ名湯に癒されながら紅葉狩りなんていかがでしょう。
とは言え、毎年4月~10月まであやとりはしの袂に川床がお目見えし、山中温泉出身で和の鉄人として有名な道場六三郎氏のレシピによる絶品スイーツを味わうことができるほか、11月~3月までは温泉街の町人旅人亭前で同じく道場氏監修のこだわりの食材で作ったかに汁大鍋が毎日振る舞われるので(1杯200円)、例え紅葉の時期に行けなくてもがっかりする必要はありません。
また、黒谷橋の袂には松尾芭蕉を祀った芭蕉堂、こおろぎ橋近くには古九谷や加賀蒔絵、千利休ゆかりの茶道具を展示している加賀藩家老だった横山家の書院を移築した無限庵があり、周囲の見所も多い散策スポットになっています。
■鶴仙渓
住所:〒922-0127 加賀市山中温泉下谷
TEL:0761-78-0330(山中温泉観光協会)
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