日本代表・Jリーグ/日本サッカー最新コラム

2015年の日本サッカーを5つのワードで振り返る

年末恒例の新語・流行語大賞が、今年も発表された。サッカー界からのトップテン入りはなかったが、今年を表す言葉はもちろんある。2015年の日本サッカー界を、キーワードで振り返っていこう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

日本代表は受難の1年に

2015年のサッカー界を、5つのキーワードで振り返る。

2015年のサッカー界を、5つのキーワードで振り返る。

年末恒例の新語・流行語大賞が、今年も発表された。サッカー界からのトップテン入りはなかったが、今年を表す言葉はもちろんある。2015年の日本サッカー界を、キーワードで振り返っていこう。

■「契約解除」

日本サッカー協会は、2月3日にハビエル・アギーレ監督(当時)との契約を解除した。メキシコ人のアギーレ監督は、ブラジルW杯後に日本代表の監督に就任した。しかし、スペイン・リーガエスパニョーラのレアル・サラゴサを率いていた当時、八百長に関与したとの疑惑を浮上する。14年12月にスペインの検察当局に告発され、15年1月14日には裁判所が告発状を受理したと報道された。これを受け、アギーレ監督のもとで参加したアジアカップ終了後の2月3日、日本サッカー協会は契約解除を発表したのである。

アギーレ監督の通算成績は6勝2分2敗で、アジアカップはベスト8に終わった。ちなみに彼は、6月からUAEのアル・ワハダというクラブの監督を務めている。


■「デゥエル」
アギーレ監督の辞任を受け、日本サッカー協会は3月12日にヴァイッド・ハリルホジッチの日本代表監督就任を発表した。

昨夏のブラジルW杯でアルジェリアを束ね、ベスト16入りへと導いた63歳は、3月27日のチュニジア戦から采配をふるった。日本代表監督としての所信表明で「各ポジションでの競争を期待している。私にはあらかじめ決まったベストメンバーはない」と語り、「2018年のロシアW杯へ向けて、『これが我々の道だ』というものを見せたい」とも話した。

日本代表はこれまで、ショートパスをつなぐ攻撃スタイルで世界に挑んできた。ブラジルW杯で采配をふるったアルベルト・ザッケローニ元監督も、アギーレ前監督も、日本人が持つ技術の高さを尊重し、パスサッカーを戦略の中心に据えた。

ハリルホジッチは違うアプローチを提示した。奪ったボールを素早く前線へ運ぶ「タテに速いサッカー」を提唱する。同時に、彼が強調したのが「デゥエル」である。

フランス語で「決闘」を意味するこの単語に、旧ユーゴスラビア出身の指揮官は「球際で激しくプレーせよ」とのメッセージを込めた。テクニックに優れるアタッカーにも、「戦えるところを見せてほしい」と繰り返し訴えた。技術に寄りかかった試合運びとならないためにも、サッカーのベーシックな要素である「球際の激しさ」に、改めてスポットライトを当てたのである。


■「イズワン」
ハリルホジッチ監督の就任から約3か月後、日本はロシアW杯アジア2次予選に臨んだ。6月16日、埼玉スタジアムにシンガポールを迎えた。

日本のスタメンには、長谷部誠(31歳・フランクフルト/ドイツ)、香川真司(26歳、ドルトムント/ドイツ)、本田圭佑(29歳・ACミラン/イタリア)らの主力選手が並んだ。格下相手のゴールラッシュが期待されたが、シンガポールのゴールキーパーが日本に立ちはだかる。イズワン・マフブドである。

日本は23本のシュートを浴びせながらも、イズワンの守るゴールを破ることができなかった。まさかのスコアレスドローに終わり、試合後の埼玉スタジアムはブーイングに包まれた。

敵将ベルント・シュタンゲ(67歳)が語った「誰も期待していなかった結果」は、その後の日本の戦いに影を落としていく。カンボジア、アフガニスタン、シリアとの2次予選で、実力差を見せつけられないゲームが続いていった。

ここまで6試合を消化してグループ首位に立っているが、2位のシリアとは勝点1差だ。来年3月のシリア戦で負けるようなことがあれば、首位での最終予選進出が危うくなる。

イズワンの呪縛から解き放たれるのは、いつになるのか……。


Jリーグは矛盾を抱え…

■「2ステージ制」
今シーズンのJ1リーグは、2004年以来となる2ステージ制で開催された。第1、第2各ステージの優勝チームに加え、両ステージの合計勝点が上位のチームが出場するチャンピオンシップによって、年間王者を決定する。日本のプロ野球と同じように、レギュラーシーズンとポストシーズンの二段構えで争われることになったのだ。

欧州の主要リーグが採用していない2ステージ制とチャンピオンシップの導入は、人気回復の起爆剤に他ならなかった。果たして、第2ステージの終盤とチャンピオンシップは、全国ネットの地上波で生中継された。放映先がBSとCS、それに地方局に集中するJリーグを、サッカーに興味のない人にも観てもらえる環境が生まれた。テレビ中継の増加という意味で、新たなレギュレーションは一定の成功を収めたと言える。

とはいえ、ポストシーズンは構造的矛盾をはらむ。レギュラーシーズンでもっとも多くの勝点を獲得したチームが、チャンピオンシップで敗れたら──レギュラーシーズンの価値が薄れてしまう。今回は年間勝点1位のサンフレッチェ広島がチャンピオンシップを制し、誰もが納得できる結末に着地したが……。

その一方で、第1ステージ覇者で年間勝点2位の浦和レッズが、年間順位では3位に転落した。ガンバ大阪とのチャンピオンシップ準決勝で敗れてしまったからだ。勝点63のガンバ大阪が2位で、同72の浦和が3位というのは、やはり違和感を覚えてしまう。トーナメント方式のチャンピオンシップに波乱を求めるのではなく、年間勝点上位チームが優遇されるレギュレーションを二重三重に構築するべきである。


■「3年連続」

川崎フロンターレの大久保嘉人(33歳)が、J1リーグ史上初の3年連続得点王を獲得した。所属する川崎Fは攻撃力に優れており、ストライカーに与えられるチャンスも多い。それにしても、3年連続である。快挙と言っていいだろう。

J1リーグにおける通算得点も、歴代3位の156まで伸ばした。首位の中山雅史(48歳)に、あと1点差まで迫っている。

中山と肩を並べた現役選手もいる。佐藤寿人(33歳)だ。2004年から12年連続で2ケタ得点をマークしており(そのうち2シーズンはJ2リーグ)、在籍11年目のサンフレッチェ広島では現在も得点源として君臨する。今季はフル出場する試合が少なかったものの、12ゴールをマークした。

ベテランと呼ばれる年齢になってもなお、国内最高レベルのパフォーマンスを維持する──若手や中堅を刺激する大久保や佐藤の存在は、間違いなく日本サッカー界を支えている。
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