本格装備のストリートモタード DトラッカーX
250ccクラスのシェアを広げるためにカワサキは2008年に三台のバイクをリリースしました。ニンジャ250R、DトラッカーX、KLX250です。ニンジャ250Rはフルカウルを纏った250ccスポーツモデルとして瞬く間に人気モデルとなり今日の250ccスポーツモデル流行の礎となりました。
ニンジャ250Rが大ヒットとなった結果、DトラッカーXやKLX250は若干影に隠れる形となりましたが、実はモタードバイクのDトラッカーX、オフロードバイクのKLX250も確実に250ccクラスのファンを獲得しました。
そもそもDトラッカーXの前モデルであるDトラッカーは1998年にオフロードバイク・KLX250の派生車種として誕生。今でこそオフロードバイクをベースに前後ホイールを小径の17インチタイヤに換装してオンロードタイヤを装備しサスペンションのセッティングを変更するモタードバイクというジャンルは一般的となり、各社オフロードバイクを販売しているメーカ-はモタードバージョンも販売していますが、日本ではカワサキがリリースしたDトラッカーが先駆者となります。
モタードバイクとしてデビューしたDトラッカーは排気ガス規制などの影響を受けてアナログなガソリン噴射システム・キャブレターを捨てコンピューター制御のガソリン噴射システム・インジェクションを採用することでストリートでの乗りやすさを進化させました。
下道での移動には抜群の機動力を持つはずのモタードバイク・DトラッカーXは期待通りの性能を持っているのか?今回も一週間都内の通勤で試乗してインプレッションをお届けします。
DトラッカーXの装備は走るための本格装備を纏っている
DトラッカーXの装備を確認して驚いたのがサスペンションです。プリロード調整機構を備えているバイクはありますが、減衰力の調整機構まで備えているバイクは非常に稀です。
特にリアサスペンションは伸び側と圧側の両方の減衰力調整が可能となっています。難しい話は省きますが、サスペンションが沈み込む際の硬さと沈んだサスペンションが元の長さに戻る強さを制御できる機構で、セッティングを変更すればまるで違うようなバイクに感じる事もあります。
スポーツ走行を楽しむ人はもちろんですが、自分にとって理想的な感触のセッティングができるので非常に有効な装備と言えます。ですが通常は後から充実したセッティングができるサスペンションを買おうとすると、10万円以上はするのでほとんどのユーザーは手を出せないアフターパーツです。
フロントとリアのブレーキはディスクブレーキを採用しており、フロントブレーキには2ポッドキャリパーを装備しています。250ccクラスのバイクとしては標準的な装備と言えますが、DトラッカーXは車両重量が138kgしかないため、標準的なブレーキ装備でも強力なストッピングパワーを体感することができました。
また、モタードバイクに乗る上で気になるのがシート高です。シート高の高いオフロードバイクをベースにしているために、一般的なバイクに比べてシート高は高め。DトラッカーXは860mmとかなり高めに設定されています。
身長165cmの私が跨るとようやく足のつま先が地面につく程度ですので決して足つきは良いとは言えません。ですが車両重量が非常に軽いためにあまり不安はありませんでした。
シート下にはスペースがないためにテール部分にツールバッグが装着されています。直接車体にボルト止めされているため外れる心配はありませんが、いたずらされる心配を考えると町乗りバイクとして使うならリアキャリアとリアボックスを装着して車体工具と書類はそちらに移しておきたいところです。
それでは次のページでは街中で試乗した際のDトラッカーXのインプレッションをお届けします。