2000年(平成12年)に「住宅品質確保促進法」が施行され、新築物件の柱や基礎など構造上重要な部分に欠陥が見つかると、販売会社には引き渡し後10年以内は補修を行うなどの「瑕疵担保責任」ができました。
ただ販売会社によっては欠陥を認めない例も多く、交渉が長期化したり弁護士に依頼する必要が出たりするケースもあります。
それでは家づくりを考えている人は何を手掛かりに信頼性を確認していったらよいのでしょうか?
家のはたす役割とそのチェック法はまだ不十分
改めて、家のはたす役割を考えてみると、家は家族の生命や生活を守り、快適な環境をつくり出して日常生活を支えることが求められます。この家のはたす役割は、ある意味不動産の価値でもあります。整理すると次の4つの項目にまとめることができます。
- 生活の利便性
- 居住性
- 災害に合う可能性
- 構造の安全性
この中で1と2は自分で体験することができますし、ある程度のイメージはできます。3も地域のハザードマップなどを見れば調べることができます。
では4はどうでしょうか?土の中、基礎の鉄筋、そして柱と筋違いなどかなり専門的な知識が必要で、調べてもなかなかわかりづらいところがあります。わかりづらいので、たとえば現場の人に「きちんと所定の間隔で配筋しましたよ」あるいは「杭を打ちましたよ」と言われても、その人や会社を信用するかしかありません。
つまり建物の構造上の安全性をチェックしたり、保証するという仕組みがまだまだ不十分だということです。
では、どうすればいいの?
さらに人が手がける仕事にミスはつきものです。そのミスをなくすためには、第三者による住宅の検査が重要です。一番怖いのは設計・施工を一体で行っている家づくりです。「うちの会社はこんな体制で、全体の流れの中でこんなチェックをして進めています」と説明されても所詮、身内での検査です。何棟もつくる中では甘さもでてきてしまいがち。そうではなく施工と設計・監理を分けて進めることが大切で、そうすることで第三者のチェックが入り、ミスは防ぎやすくなるのです。
近年は監理だけを請け負うホームインスペクター(住宅診断士)の事務所もあります。
目に見えない箇所に配慮しよう
家づくりで目に見えないものは、光,風,空気,臭い,音,そして土の中です。特に土の中は建物の性能を確保するために最も重要なところです。ですが耐震壁の工夫などはよく見られるものの、とくに木造住宅では地盤に対しては多少関心が薄いように感じます。「コンクリート住宅などは重いのでしっかり基礎はつくるが、木造は軽いから大丈夫」というイメージがあるのでしょうか?いずれにしてもこれからは、建物の間取りやデザインだけではなく、地盤はどのようになっているか、そしてその確認やチェックはどういった体制で施行するのかがとても重要になってきます。そのため、あたり前ですが地盤と建物は一体なものととらえて下さい。
ガイド佐川旭のメッセージ
インターネットの普及で誰にでもたくさんの情報が入り、このデザインが良いとか、この会社が気に入ったと簡単に比較できるようになりました。しかし家は他の商品とは違います。私はやはり、施主が満足して知り合いを紹介することが住まいづくりの依頼先選びの原点であるべきと考えています。「ファン」すなわち「信者」になった人からの推薦が一番信頼できるのです。信者をつなげると「儲ける」になります。この儲けるにはたくさんの意味が込められていて、単にお金の儲けるだけではないのです。
住まいはつくって終わりではなく、育てていかなければなりません。育てていくには時間、家族のメンテナンス、そして職人によるメンテナンスもあるでしょう。
そうして長い目で信頼をよせて協力し合えることも儲けなのです。住まいづくりを考えている人は、ぜひそうしたや家づくりをしている会社や人との出会いを求めてください。きっと愛着のある家に育っていくことでしょう。