整理の重要性を気づかせた先輩講師の失敗
整理・整頓が大好きではなく、ものすごく几帳面でもないAll Aboutビジネス文書ガイドとして人気の鈴木真理子さんが“整理”に目覚めたのは、アシスタント時代に目撃した先輩の失敗。しかし、それが思わぬ展開をして鈴木さんを人気セミナーの講師に押し上げました。(インタビュー第1回『お金がムダなくガッツリ貯まる「整理術」とは』より続きます)整理整頓でお金持ち体質になるコツを鈴木真理子さんにおうかがいしました
――整理整頓や片づけが得意だったのですか?
鈴木真理子(すずきまりこ)さん そんなことはありません。むしろ子どもの頃から掃除や片づけは好きではありませんでした。ただ、お金については家計簿をつけたり、エクセルで預金などの金融資産を一覧にしたりしていました。お金の記録はOL時代から残していましたが、それを見るとムダ遣いはしていますが使途不明金はないんです。昔からお金は管理できる人だったようです(笑)。いま考えると、そうやってお金を管理していたことが、私の「整理術」というビジネススキルの根底にある気がしています。
――仕事として整理や片づけが重要だという意識を持つようになったのは、どうしてですか?
鈴木真理子さん 強く意識するきっかけになったのは、アシスタント時代に先輩講師の失敗を目の当たりにしたことでした。後輩の私にとても優しくしてくれた先輩が研修の日に忘れ物をしたんです。それはデータを入れたUSBメモリーでした。別の先輩は企業から預かった大事な書類を紛失してしまいました。お二人とも整理整頓が苦手のレッテルを貼られ、見ていて気の毒なほどでした。
――ひとつのミスが取り返しのつかないことになるのですね。
鈴木真理子さん 会社員の頃は気がきく後輩のおかげで何度も助けてもらいました。でも本当は自己管理すべきでそれがプロですよね。そして思ったことは“いまのままではマズイ”ということでした。
日々の積み重ねが、私を“整理術”のプロにしてくれた
――どんなことに気をつけるようにしたのですか?鈴木真理子さん 会社や講座の内容ごとに、いただいた資料などはすべてZ式ファイルに挟み、自分で書いた反省点などのメモもすべて一緒にまとめておくことにしました。こうしておけば次にお仕事をいただいたときは、このファイルを持参すればいいので準備の時間も短縮できます。たったこれだけのことですが、私の仕事が順調に増えたのはここに理由があったようなのです。
――資料を整理しておくだけで仕事につながったということですか
鈴木真理子さん あるとき「まだキャリアも浅い私に仕事をくださるのはどうしてですか」と担当者に聞いたら「キミは資料をファイルしているから」といわれたんです。私としてはプログラムがいいからなど内容についていってほしかったのですが、そうではありませんでした。クライアントの方は打ち合わせに行ったとき、どんな資料を用意しているか、前回のことをどう整理しているかということを、さりげなくチェックしていたんですね。信用というものは、こうした小さなことの積み重ねで得るものだということを実感しました。
――それが進化して“整理術”のエキスパートになったんですね。
鈴木真理子さん 当初はビジネス文書やメールの書き方といったテーマが多かったのですが、あるとき取引先から「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)をテーマにしたセミナーをやって欲しい」と依頼されました。私が書類をきちんと整理しているのを見て、できるだろうと思われたようです。当初は自分の中に漠然とあることを整理したり、ビジネス書を読みまくったりして、系統だったものにするのに必死でした。しかし、これが人気セミナーとなって、大勢の方が研修にいらっしゃるようになりました。本を書く仕事や、こうして取材を受ける機会も増えました。皆さんも整理術を身につけると、きっと人生が上手く回り始めますよ。
★次回からは、整理する方法を具体的に教えていただきます。すぐに役立つ“整理術”のヒントがいっぱいです。
教えてくれたのは……
鈴木真理子(すずきまりこ)さん
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取材・文/鈴木弥生 イラスト/本山浩子