日本代表・Jリーグ/Jリーグ 最新コラム

データから見るJ1昇格の条件

J1リーグへの昇格を争うJ2リーグが、残り10試合を切った。自動昇格圏の2位以内はもちろん、昇格プレーオフに出場できる6位以内を巡る攻防も熾烈だ。J1リーグとは違う面白さのあるJ2の最終盤を展望する。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

大宮のJ1昇格は濃厚か?

J1の優勝争い同様、J2の昇格争いも熾烈だ。

J1の優勝争い同様、J2の昇格争いも熾烈だ。

今季から2ステージ制となったJ1リーグとは異なり、J2は22チームによる1シーズン制だ。各チームが42試合を消化して順位を決定し、上位2チームがJ1へ自動昇格する。さらに3位から6位が、J1昇格プレーオフを争う。トーナメント方式のプレーオフは、1チームのみが昇格の権利を得る。J1へステップアップを果たすことができるのは、合計で3チームだ。

9月23日に第33節を終えた今シーズンのJ2は、残り9試合となった。現在の上位陣の成績は以下のとおりである。

1位:大宮アルディージャ(勝点71)
2位:ジュビロ磐田(勝点61)
3位:セレッソ大阪(勝点58)
4位:アビスパ福岡(勝点57)
5位:東京ヴェルディ(勝点52)
6位:愛媛FC(勝点52)

ここまで首位の大宮は、29節から32節まで4試合連続で勝利から見放されていた。31節で水戸ホーリーホックに、32節でセレッソ大阪に競り負け、今シーズン初の連敗を喫した。バイオリズムの低下が危惧されたなかで迎えたのが、33節の東京ヴェルディ戦だった。

プレーオフ圏内のヴェルディには、20節のホームゲームで0対2と敗れている。さらに今節のゲームは、攻撃の中心となる家長昭博(29歳)、展開力のあるミッドフィールダーのカルリーニョス(32歳)が出場停止だった。

シルバーウィークに伴う連戦の疲労ものしかかるなかで、試合を決めたのは途中出場のフォワード富山貴光(24歳)だった。後半終了間際に今季初ゴールとなる決勝弾を突き刺し、チームに5試合ぶりの勝利を呼び込んだのだ。また、リーグ戦今季初出場のゴールキーパー塩田仁史(34歳)も好セーブを連発し、最後方からチームを盛り立てた。

これで大宮は、勝点を「71」に伸ばした。J2リーグが現在と同じ22チームで行われている2012年以降の、第33節終了時の首位チームの勝点は以下のとおりである。

2012年:ヴァンフォーレ甲府(勝点67)
2013年:ガンバ大阪(勝点70)
2014年:湘南ベルマーレ(勝点84)

昨年の湘南は、9月23日開催の第33節で2位以内を確定した。チョウ・キジェ監督(46歳)が率いるチームは、この時点で26勝6分1敗という驚異的な成績を残していた。別格と言っていい強さを見せつけたわけだが、2013年のガンバも、2012年の甲府も、そのまま首位を守って自動昇格を勝ち取っている。

さらに言えば、38試合で争われた2010年と2011年も、残り9試合の時点で首位だった柏レイソルとFC東京が、順位表の一番上を譲ることなくゴールテープを切った。残り9試合から首位チームが変わったケースもあるJ1リーグとは異なり(前回更新分を参照)、J2リーグはこの時点での順位が説得力を持っているわけだ。1シーズンでのJ1復帰を目ざす大宮が、ファン・サポーターと歓喜を分かち合う瞬間は近づいていると言っていいだろう。


データを頼りにするなら磐田も昇格するが……

残り9試合で2位につけているチームはどうだろうか。

2012年の第33節終了時に2位だった湘南は、そのまま自動昇格圏内の2位をキープした。13年のヴィッセル神戸、14年の松本山雅FCも同様である。過去3シーズンのデータを頼りにするなら、今年のジュビロ磐田も自動昇格圏内の2位を保つことができるわけだ。

気になるのは、3位チームとの勝点差だろう。12年の湘南は勝点5差、13年の神戸は勝点12差、昨年の松本は勝点8差のアドバンテージを持っていたが、磐田と3位のセレッソには勝点差が「3」しかない。1勝で順位が入れ替わる計算だ。しかも、勝点で並んだ場合の順位決定要素となる得失点差は、セレッソが磐田を上回っている。

得点源となる選手のコンディションも気になる。磐田は得点ランキング首位のジェイ(33歳)が、セレッソはチーム得点王の玉田圭司(35歳)が、それぞれ戦列を離れている。彼らの復帰時期も、チームの今後に影響を及ぼすはずだ。


プレーオフは何かが起きる!

プレーオフ出場を巡る戦いも、サバイバルの様相を呈している。33節終了時ではセレッソ、アビスパ福岡、東京ヴェルディ、愛媛FCにプレーオフ出場の権利があるが、6位の愛媛(勝点52)と7位のジェフ千葉(勝点50)は勝点2差で、8位のV・ファーレン長崎(勝点49)と愛媛も勝点3差だ。千葉と長崎も、プレーオフ出場のチャンスがあると見ていい。過去3シーズンのプレーオフ進出チームを見ても、33節終了時点で8位以内にいることが条件となっている。

千葉や長崎には、心強いデータもうひとつがある。残り9試合の時点で3位から6位を占めた4チームが、すべてプレーオフに進出したケースは過去3シーズンで一度しかない。昨年は33節終了時で7位の千葉が最終的に3位へ、同8位のモンテディオ山形が6位に順位をあげ、それぞれプレーオフに進出した。そして、リーグ終盤に6位に食い込んだ勢いそのままに、山形が磐田と千葉を撃破してJ1昇格を果たした。

J1リーグだけでなくJ2リーグも、ここから先は1試合の重みが増していく。重圧と背中合わせの攻防は、予想もしないドラマを生み出していくのだ。
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