若手にチャンスを与える時期に、イチローが出場する理由
イチロー外野手(41)が所属するフロリダ・マーリンズは、9月13日(日本時間14日)のナショナルズ戦に敗れた時点で、19試合を残し、地区優勝もワイルドカードでのプレーオフ進出の可能性も完全消滅した。ということは、ベンチ入りの枠が40人となったおかげでマイナーから上がってきた若手にチャンスを与え、来季に向けた戦いに入っていなければいけない。ところが、そのスタメンに41歳のイチローが名を連ねている。
イチローは9月17日(同18日)のナショナルズ戦で、ヤンキース時代の2013年以来2年ぶりにシーズン400打席に到達した。イチローは今季、年俸200万ドル(約2億4000万円)の1年契約。そして、300打席以降は50打席ごとに40万ドルのインセンティブ(出来高)が付帯している。これによって、300打席で40万ドル、350打席で80万ドル、400打席で120万ドルの出来高をクリア。この時点で年俸総額は320万ドル(約3億8400万円)となった。
マーリンズのジェフ・ロリアオーナーは極端なお金の使い方をする人物で、大判振る舞いをすると思ったら、急に渋くなったりと気分屋な面がある。しかし、どちらといえば渋いと評判。すでにシーズンの大勢が決まっているというのに、イチローの打席数のような出来高も見過ごして、9月21日(同22日)現在、イチローがチーム最多の142試合に出場していることからもわかるように、その実力を“買っている”。つまり、10月22日に42歳になるイチローが来季もマーリンズのユニホームを着る可能性は高いということだ。
「控え」から必要不可欠な存在になった今季のイチロー
マーリンズは今季、「メジャー最強の外野手トリオ」といわれたスタントン、イエリッチ、オズナでスタートし、イチローは第4の外野手として「控え」だった。ところが、フタを開けてみると、トリオが故障や不振で、イチローは「控え」どころではなく、最も多くの試合数を数えた。たとえ打撃が不振でも、高い守備力や走力を見せ、マイアミのマーリンズ・パークではイチローコールが起こり、地元メディアからも高い人気を誇っている。もちろん、数々のマイルストーンを打ち立てていることも魅力になっている。今季序盤にGМから監督へと異例の転身を果たしたジェニングス氏が今オフにGМ職へ復帰する可能性が高い。イチローの実力を高く評価しているジェニングス氏のGМ復帰は、間違いなくイチローの残留に“追い風”だ。さらに球団自体で「若手の手本」として背番号51を見ている。メジャー通算3000安打という一大イベントは、来季、マーリンズのユニホームを着て迎えることになりそうだ。