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株高・円安で家計の金融資産は最高の1717兆円

日本銀行が四半期ごとに公表する資金循環統計によれば、2015年4~6月の家計が保有する金融資産残高は4四半期連続して過去最高を更新しました。継続している株高・円安を背景に保有株や投資信託が値上がりしたこと、緩やかながらも賃金が増えていることも追い風となったようです。その内容を見ていくことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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19四半期連続の増加

最高額を更新した家計の金融資産

最高額を更新した家計の金融資産

2015年9月17日に公表された同年6月末の家計が保有する金融資産残高は、1717兆円となりました。同年3月末と比較すると17兆円、1年前の2014年6月末との比較では72兆円も増えたことになります。家計全体のマクロ統計から見れば、家計の金融資産は右肩上がりで増えていると言えます。

ただし、株式や投資信託が家計に占める割合は金融資産全体の16.3%に過ぎないことから、投資を行っている人は金融資産を順調に増やしている反面、投資を行っていない人は資金循環統計の伸びほど金融資産は増えていないと言えそうです。なぜなら、1年前と比較して家計の金融資産全体は4.4%増えていますが、現金・預金の増加率は2.2%に甘んじているからです。

家計の金融資産残高が前年同期を上回るのは今回で19四半期連続となりましたが、8月中旬から中国の景気後退懸念などを背景として世界同時株安が進みました。2015年6月末の日経平均株価は2万235円ですから、20四半期(5年)連続の家計の金融資産増加は途切れるかもしれません。

現金・預金の伸び率も高い

それでは、2015年6月末の金融資産残高の内訳を見ていくことにしましょう。

株高・円安を背景として株式・出資金、投資信託は二桁の増加率となっています。同年3月期よりも増加率は鈍化していますが、投資信託の伸び率は19.5%、株式・出資金の伸び率は16.1%となっています。伸び率こそ二桁となっていますが、金融資産全体に占める割合は株式・出資金が10.6%、投資信託に至っては5.7%しかありません。

依然として金融資産全体の52%を占めているのが現金・預金です。徐々にその割合は低下しているのですが、2015年3月末より0.3%その割合は増加しています。6月は早い企業の夏のボーナスが支給された時期であることから、増加したのかもしれません。また、伸び率も2.2%と2013年10~12月期以来の高さであることから、一過性なのか継続するのか継続して見ていきたいところです。

金融資産全体に占める割合で2番目に多いのは保険・年金準備金です。2015年1~3月期の伸び率が5四半期振りに2.1%と高かったのですが、今回は1.7%に鈍化しました。貯蓄型保険が超低金利により売り止めとなった影響(前期は駆け込み加入)があったのかもしれません。ただ、保険好きと言われる日本人ですが、生命保険文化センターの2015年の実態調査によれば、世帯主が保険に加入している割合は89.2%で、比較できる2003年以降では最も低かったのです。

海外投資は加速

株高・円安を背景に家計の金融資産残高は増加しているのですが、家計の外貨建て資産の保有残高、その割合は2015年3月末より低下しています。金額にして4000億円、割合にして0.1%なので誤差の範囲と言えるかもしれません。反面、投資信託は2015年の上半期(1~6月)で、6兆6000億円も海外投資を行っています。海外の株式や社債、REIT(不動産投資信託)などに投資する商品を中心に残高が増えています。NISA(少額投資非課税制度)が2014年から始まったことも影響しているようです。

一方、残高を減らし続けているのが債券です。2015年4~6月期は、対前年同期比で10.4%も残高を減らしているのです。一時期、残高の減少にブレーキがかかりつつある状況でしたが、再びその勢いは加速しているようです。債券の利率が低いことが残高減少に歯止めがかからない要因ですが、日本銀行が金融緩和を続けている以上、残高は減少し続けるでしょう。財務省としては、個人向け国債の販売額が伸びないことに頭を抱えているのではないでしょうか。

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