シューティングブレークのメリットはスタイルと後席居住性
価格はベーシックグレードの180が360万円、180スポーツが428万円、CLA250が492万円、4WDモデルとなるCLA250スポーツ 4マチックが545万円。ハイパフォーマンスモデルのメルセデスAMG CLA45は862万円
2011年に登場した第3世代のBクラスが、MFA(メルセデス・フロントホイールドライブ・アーキテクチャ)プラットフォームの第一弾だった。二重フロア構造だった従来のメルセデスFFシリーズに比べると、ごくオーソドックスなエンジンレイアウトとフロア構造になっており、モジュール・プラットフォーム戦略のもと、Bクラス以降も、AクラスやGLAクラス、CLAクラスといった派生モデルを多数生み出してきた。
矢継ぎ早のモデル展開は、市場ニーズの多様化に合わせてのことだが、これだけ種類が増えてくると、別モデルというよりは“MFA”クラスに集まったいろんなカタチのグレードたち、という時代を先取りした商品展開であると言えなくもない。新たなカタチが登場するたびに、最も目立たないカタチから少しずつ忘れさられ、注目を再喚起するために早めのブラッシュアップ・チェンジを行なう。近々ではAクラスが本国においてフェイスリフトした。そういう“目先をめまぐるしく変える”という戦略に、どこまで消費者が付いて行けるのか、今後、見物ではあるだろう。
それはさておき、今回の主役は、CLAクラスに新たに追加されたカタチ、シューティングブレークだ。シューティングブレークは同じ4ドアクーペでCLAの兄貴分となるCLSクラスに初めて設定され人気を博している。CLAクラスに設定されない方がおかしい。
シューティングブレークの出自は、狩を楽しむ人と機材を積み込むためのワゴン(ブレーク=荷馬車)。転じて、実用性とスポーツ性の高い荷室付きモデルのことを、そう呼ぶようになった。自称こそしないが、フェラーリFFなどは、貴族がフィールド遊び用に使うという意味で、本義的に最もシューティングブレークに近い内容と言っていい。
話をCLAに戻すと、シューティングブレークとなって、メリットというか良くなった点をいくつか先に挙げておく。まずは、後席の居住性だ。
CLAは、デザイン優先の4ドアクーペである。ルーフ後方が絞り込まれており、FFであるにも関わらず後席がやたらに狭い。ところが、CLAシューティングブレークでは、格段に過ごしやすくなっている。相変わらずサイドの眺めは窮屈だけれども、頭上にスペースがあって、これなら大人も大丈夫。
後席を倒せば1354Lとそれなりの積載量を稼ぐが、後席そのままでは4ドアクーペの+25Lで“広くなった”という印象はないから、ワゴンというよりはむしろ、よりセダン的に使えるモデルとして注目するのがいいかも知れない。
もうひとつ、シューティングブレーク化のメリットがスタイリングだ。「FFベースのクーペモデルに美しいモデルはない!」が持論であるが、実際、CLAクラスを真横から眺めると不格好のひと言(何といってもCLSよりフロントオーバーハングが長い! FFだから仕方ない、というのは正に“ハナ”から分かっていたことだ)だったけれども、ルーフ後端~リアセクションに増えた“マス”のぶん、前後のバランスが取れて見えるようになった。もっとも、それでも決して美しいクルマだとは、思えないけれども。
日本仕様は、他のMFAモデルとほぼ同様に、180(1.6Lターボ:122ps)と250(2Lターボ:211ps)、そしてAMG45(AMG2Lターボ:360ps)という3モデルを基本のラインナップとしたうえで、180にはノーマルとスポーツ、250にはノーマルとシュポルト4マチックを、それぞれ用意する。