アウディのデザイン、技術を象徴するモデル
アウディTTが3代目にスイッチした。アウディA3、フォルクスワーゲン・ゴルフをベースにクーペに仕立てた初代アウディTTは1998年に登場したが、外観デザインのインパクトで大きな衝撃を受けた人も多いだろうし、少なからず他のライバルメーカーにも影響を与えたはずだ。
2代目は2006年のデビューで、個人的には初代のような驚きはデザイン面ではなかったが、走りはかなりスポーティになり、FFもしくは4WD(クワトロ)のスポーティクーペで存在感を発揮。
こうなると、3代目は非常に難しい気がする。もちろん個人的見解だが、初代や復活モデルがデザイン面で大きな衝撃を与えると、それを超えるのは難しい。
ジャンルこそ違うが最近では初代日産ムラーノ、2代目フィアット・ムルティプラ(復活モデル)、5代目クアトロポルテ(復活モデル)など、デザイン面での超える「次のモデル」が出てきていない気がする。
インパクト大のメーターグラフィックス
しかし、3代目アウディTTは革新的なインパネという回答を持ってきた。見た目で分かりやすいのがメーターだ。メーターに表示されるグラフィックスは年々複雑なものができるようになっていて、新型アウディTTの「アウディバーチャルコクピット」も各技術展で見られそうな技術ではあるものの、市販化を決断したのはいかにも先進技術を積極的に採用するアウディらしい。
メーターの表示パターンは、通常モデルで大きく分けて2つあり、TTSにはスポーツモードも用意される。ナビが12.4インチのメーター内で大きく表示されるのは「メーターからナビへ」の視線移動が皆無とはいえ、見るのに慣れが必要だ。
ナビが大きく映し出される12.3インチの「アウディバーチャルコクピット」が目を惹くが、エアコンの各吹き出し口(ダイヤル)にデジタル表示部を設け、そのダイヤルで温度設定や風量調整などをする新しいアイディアも盛り込まれている
操作についてはどうだろう。MMIのコントローラーおよび表示パターンはステアリングスイッチでも可能で、アウディからの乗り替えなら比較的難しくないかもしれないが、視認する以上に操作には慣れが必要だろう。
この手の次世代インターフェイスで完璧にユーザーにマッチする操作系はどこのメーカーも手にしていないし、機能が増えるほどユーザーフレンドリーな操作ロジックを実現するのは容易ではないとも感じさせられた。
さて、そういえば、「技術によるアウディ」を掲げるメーカーだったな、と眼前に広がるメーターを見る前に、エンジンスイッチを押すとアウディのCMで最後に流れるお馴染みの効果音(ドクンドクン♪という心臓の鼓動のような音)が流れる演出もあり、オーナーの所有欲を満たしてくれそうだ。
次ページは、新型アウディTTの走りについて