確実にグレードアップしたフォーティーエイト
ファクトリーカスタムモデルとしての強烈な個性を有していたXL1200X フォーティーエイト。クラシカルなレーサースタイルを指すボバースタイルが特徴的で、ハーレーにしか生み出せない独特のスタイリングと雰囲気が人気を呼び、ハーレーのラインナップでも高い支持を得ています。
グラフィックも新しくなり、9スポークホイールやオリジナルシートなどカスタム色を前面に押し出してきた新型フォーティーエイト。そんな同モデルの注目ポイントは、前後サスペンションのパワーアップでしょう。フロントフォークは、ダイナモデルと同じ49mm(以前は41mm)となって剛性アップし、リアサスペンションもアジャスタブル機能付きのものが備わりました。
このフォーティーエイト、スタイリングは申し分ないものの、実際に乗ってみると操りづらい点がいくつかあるという弱点を抱えていました。そこで今回の前後サスペンションのパワーアップなのですが、フロントフォーク剛性をアップさせるもフレームはそのままだし、リアサスペンションもストロークの短い仕様ではたしてどこまで効果が出せるのか、試乗の前から懐疑的なところがありました。
それだけに、乗り出してまもなく飛び込んだ道路のギャップをしなやかにクリアしてくれたとき、「まさかこれほどとは!」と驚きを隠せませんでした。ステップが前方に突き出したフォワードコントロールを採用しているため、ライダーの体重や走行時に起こるGがすべてリア(リアサスペンションやスイングアーム)にかかってしまい、リアタイヤを中心とする部分への負担が大きいのがフォーティーエイトなのです。確かにフォワードコントロールは踏み込みづらいですが、かなりの荷重がかかっているにもかかわらず、ライダーの体を大きく跳ね上げることなく柔らかくクリアしたというのは大きな改善ポイントと言えます。。
そしてフロントフォークおよびトリプルツリーの剛性アップにより、太いタイヤが災いしてのコーナリング時の切れ込みが解消されていたのです。フォークそのものが太くなったためやや重ったるいところがありますが、切れ込みという悪癖が解消されるならこれで十分。もう、「フォーティーエイトは乗りづらい」とは言えなくなるかもしれません。
惜しむらくは、新しくなったシートか。カスタム色を前面に打ち出したオリジナルデザインながら、なかの素材がかなりやわらかいせいか、乗車時に体が沈み込んでしまうのです。もう少し反発力のある素材にしてやれば、性能がアップしたリアサスペンションの恩恵をもっと感じられるのではないでしょうか。
トータルで見れば、しっかりと弱点を克服したことからも大きく評価したいグレードアップでした。現オーナーが乗り比べると、その違いは歴然かと思います。幸いなことに、このリアサスペンションはハーレーダビッドソン正規ディーラーで単品販売もされるとのことなので、現オーナーもこのサスペンションに交換することが可能です。
それでは次ページにて、同じくリニューアルしたスポーツスター XL883N アイアンの感想をご紹介しましょう。
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[HARLEY-DAVIDSON XL1200X SPECIFICATIONS]
全長/2,160mm
全幅/845mm
全高/1,085mm
ホイールベース/1,495mm
加重時シート高/710mm
車両重量/252kg
エンジン型式/Air-cooled, Evolution
排気量/1,201cc
フュエルタンク容量/7.9L
フロントタイヤ/130/90 B16 M/C 73H
リアタイヤ/150/80 B16 M/C 77H
■メーカー希望小売価格(消費税込)
[ビビッドブラック]150万円
[モノトーン] 152万2,000円
[ハードキャンディーカスタム] 154万4,000円
(2015年9月現在)