古民家/古民家探訪

有名建築家ヴォーリズ設計の洋館「駒井家住宅」(2ページ目)

京都市左京区に保存されている駒井家住宅を見学してきました。この家はウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の設計で、京都市の有形文化財に指定されています。どんな住まいなのか、紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド


空間をつなげて面積以上の広さを感じさせる

この家の特徴のひとつは、部屋が細かく区切られておらず、各部屋がゆったりとしていることではないでしょうか。2階には、主寝室(下の写真)がありますが、ここにもサンルームが隣接して設けられているので、広く感じます。
2階の主寝室(手前)とサンルーム。実際にご夫妻が使われていた家具なども展示されていました

2階の主寝室(手前)とサンルーム。実際にご夫妻が使われていた家具なども一部展示されていました

ちょうど1階のサンルームの上ですが、建築当初はガラスの入っていない半屋外空間だったようです。そのためか、足元まで窓になっており、自然光がふんだんに入ります。ロッキングチェアに座って日向ぼっこができそうな明るい部屋です。

インテリアは1階も2階も全体的に控え目で上品な印象を受けます。強烈に個性を主張するデザインが施されているわけではなく、色彩も温かみを感じさせる白に近い色が基調となっています。その分、家具やカーペット、カーテンなどで華やかさを演出していたのかもしれません。こういった手法は真似できそうですね。

印象的だったベンチ付きの出窓

駒井家住宅を見学して、私が一番気に入ったのは1階リビングのベンチ付き出窓。ベンチに腰掛けて庭を眺めたり、本を読んだりするのにもよさそうです。リビング・ダイニングにおいてもフォーカルポイントになっていて、とても印象に残りました。
2種類の上げ下げ窓を組み合わせて張り出したベンチ付きの出窓は、ご夫妻にとってもくつろぎのスペースだったのでしょう

2種類の上げ下げ窓を組み合わせて張り出したベンチ付きの出窓は、くつろぎのスペースだったのでしょう

このベンチ付き出窓の部分は、2つの上げ下げ窓の組み合わせです。外から見ると、1階だけでなく、2階にも同じ上げ下げ窓が使われているのがわかります。

80年以上も前に建築された建物ですが、今でも変わらず美しいと思える住まいでした。そして、リビング・ダイニングなどのつながりは、そのまま現代の家づくりにも取り入れられるアイデアだと思いました。

駒井家住宅(駒井卓・静江記念館)
住所:京都府京都市左京区北白川伊織町64
交通案内:比叡山電鉄・茶山駅より 徒歩約7分、
市バス「伊織町」下車 徒歩約2分、「北白川小倉町」または「上終町京都造形芸大前」下車 徒歩約4分
電話:075-724-3115
開館日:毎週金・土曜日(ただし、7月第3週~9月第1週・12月第3週~2月末まで原則として休館)
開館時間:10時~16時(入館は15時まで)
入館料(維持修復協力金として)大人500円、中・高校生200円、小学生は無料(ただし保護者同伴のこと)、(財)日本ナショナルトラスト会員は無料
駐車場:なし

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます