典型的な調整局面に入った米国株
三尊天井?下落基調に入りつつあるニューヨークダウや米国株急落!今後、いつが買いのチャンスとなるのか?などでもお伝えしてきたとおり、中期的なNYダウの趨勢を見てみると、三尊天井から株価は大きく下落。また、50日移動平均線が200日移動平均線を下に突き抜けるデッドクロスが発生し、一旦の反発があるも、再び安値を更新する、という典型的な調整局面に入っています。NYダウは年初来▼10%安となり、2013年末~2014年初めのレベルに戻りました。この1年半分の上昇を一瞬で消し去ったことになります。なお、ナスダックは比較的ましであり(年初来▼1.1%安程度)、デッドクロスもまだ完成しておりません。年初来▼6.7%安のS&P500指数は両者の中間くらいのチャートの様子です。
雇用統計は見方が分かれるが・・・
さて、米国株の先行きに大きな影響のある雇用統計ですが、9月4日(金)に発表された8月の米国雇用統計は、+17万3千人の増加で予想を大きく下回る数字でした。しかし同時に、6月、7月分の速報値が大幅に増加されたことや、失業率が2008年4月以来の最低となる5.1%にまで低下したのは景気が強いことを示唆しています(ただし労働参加率が低下したのは悪材料ですが)。強弱入り混じる結果で、FRBがこの結果をどう受け止めたのか、はっきり分かる人は居らず、想像によってまるで正反対の意見が飛び交っています。しかし、今の株価の様子がFOMCの9月16日~17日まで続くのであれば、どれほど経済データが良くても株価が優先され、利上げは見送られるでしょう。最優先は経済データでなく(FRBはデータが優先されると公言していますが)、金融市場に対するインパクトと思います。20~30年以上も前の中央銀行は(日本や西ドイツなど)、株価が落下しているにも関わらず、利上げを強行しましたが、これらは典型的な失敗例として現代の中央銀行に刷り込まれているはずです。二度とこのような事はしないものと思われます。
ただ、現時点では利上げを株価に織り込みながらも、9月利上げなのか、あるいはいつの時点で利上げするのかの観測が、真っ二つに別れています。この場合、「利上げなし」となった場合に、FOMCを起点として、ここまで続いた一連の下げ相場からの一旦の反発に繋がる可能性も高いと見ています。この一旦の反発は1ヶ月程度であり、過去で言えば、2007年9月末の米利下げへの大転換、そして2008年3月のベアスターンズ破綻時の緊急利下げによって、それぞれFOMCを起点に1ヶ月程度、大変強い相場が起こったのと同じと思います。今回は利下げでなく利上げですが、1年以上も前から言われ続け、織り込んでいる利上げがなくなることで、過去の例に近い効果も出るのではないかと思います。
参考:米国株通信
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