【台風の影響について確認しました】
2019年10月23日追記高水三山ハイキングコースへの台風の影響について、青梅市観光協会に電話確認したところ、下記の回答でした。
「直接、現地を確認しに行ってはいないが、ハイキングコースを実際に歩かれたお客さんによると、一部、土砂崩れが起きている箇所があったが、歩くことはできた」
とのこと。お出かけの際は、充分ご注意ください。
奥多摩エリアの人気ハイキングコース
今回は、東京の奥多摩エリアの人気ハイキングコース「高水三山ハイキングコース」を歩いてみたいと思います。登山やハイキングというと、遠くまで出かけなければならないイメージがあるかもしれませんが、高水三山ハイキングコースは、JR中央線と青梅線を乗り継ぎ、新宿からおよそ1時間半ほどの「軍畑(いくさばた)」駅からスタート。都心からも比較的近く、充分日帰りOKです。
このコースの一番のおすすめポイントは、豊かな自然が手つかずに近い状態で残されていること。ケーブルカーもなければ、途中に売店や自動販売機もありません。
仲間と一緒に歩くのももちろん良いですが、鳥の鳴き声や木々の葉ずれの音など、自然の音に耳を傾けながら一人で歩くのにもおすすめ。新鮮な空気を胸一杯に吸い込みながらハイキングを楽しみましょう!
高水山登山口を目指して
高水三山ハイキングコースは、高水山(たかみずさん・標高759m)、岩茸石山(いわたけいしやま・標高793m)、惣岳山(そうがくさん・標高756m)の3つの山が連なる尾根道を、およそ4時間半~5時間かけて歩くコースです。コース中の最高峰・岩茸石山の標高も793mと、ハイキング初心者でも無理なく歩けます。
ただし、コースに入ると山道が続き、食事をするお店はありませんので、弁当を持参するのをおすすめします。また、飲料水を買う自動販売機などもないので、飲み物は持参するか、駅前のお店や自動販売機でペットボトルを買っておいてください。
なお、トイレは高水山のふもとのお寺と頂上付近のお寺の2ヶ所にありますが、なるべく駅のトイレで済ませておきましょう。
さて、それでは出発しましょう! 駅前のポストの隣に道標が出ているので、「高水山」を目指して歩きはじめます。このコースは道標がしっかりしているので、まず迷うことはありません。
踏切を渡り、都道193号に出て、まずは青梅線の鉄橋が見える方向とは反対に進みます。1kmほど先で脇道(平溝通り)に入ると、周囲を山々に囲まれた風景の中、道の脇を清流が流れ、早くも山里に来た雰囲気。
このあたりの地名は二俣尾(ふたまたお)といいますが、たしか村上春樹氏の小説『1Q84』に出てきた地名だな、なんていうことを思い出しながら、のどかな風景の中を歩いて行きます。
高水山の登山口にあるのが、高源寺という禅寺。門前には、昭和の前半に立てられたと思われる、登山口を示す古い石塔があります。
昔は、山歩きを楽しむというよりも、古来から山は信仰の対象でした。高水山の頂上には常福院龍学寺というお寺もありますので、おそらく、お寺への参詣者のために立てられたものなのでしょう。
高水山へ登りましょう
最初は、舗装された坂を少しずつ登っていきます。後ろを振り向くと、先ほどの高源寺の境内が見えます。10分ほど歩くと石段があり、石段を上った先には周囲を圧倒するような存在感を示す砂防ダムが現れます。
山あいに住むということは自然の恵みを享受するのと同時に、自然の脅威と闘わなければならないのだということを、改めて教えられるような気持ちがします。
さて、ここからしばらくは、木立の中を歩いて行きます。
山の中腹まで来ると、一面にススキが生えた場所があります。この辺りは、周囲の山々の様子を見渡すことができ、ちょっと一息いれたい気分になります。
山頂を目指して、ふたたび歩きはじめます。高水山は、各合目ごとに古い石塔が立っており、今、どの辺りを登っているかが分かるので、ペース配分がしやすいと思います。
登山口から1時間半ほど歩くと、高水山の頂上付近にある常福院龍学寺に到着。山の上にあるということで、もっと寂れた感じを想像していましたが、とても立派で清浄感のただようお寺です。
境内の石碑によれば、平成6年には、ご結婚1周年の記念登山で、皇太子さまと雅子さまが来山されたそうです。
本堂の裏手にはトイレがあります。この先、ハイキングコース内にはトイレがありませんので、こちらで済ませておくようにしましょう。
お寺から少し登ると高水山山頂に到着。山頂はあまり眺望はよくありませんが、ベンチや東屋が設置されているので、ここで休憩やお昼にするのも良いでしょう。
コース内でもっとも眺望の良い岩茸石山へ
高水山山頂を過ぎると急な下り坂になります。木の根でできた天然の階段をロープにつかまりながら下りる所もあります。こういうのは、山にでも来ない限り、大人になるとなかなか体験できませんよね。尾根伝いに歩いて行くと、途中、展望が開けた場所があり、幾重にも山の峰々が連なっているのが見えます。東京都内とは思えない景色です。
次の岩茸石山までは距離が短く、30分ほどで到着します。山頂の手前の登りが急なのでちょっときついかもしれません。
それでも、山頂に到着すると、苦労して登った甲斐のある絶景が広がっています。東のほうを眺めると、先ほど登った高水山の向こうには、関東平野が雄大に広がっています。
また、北から西へ目をやると、秩父の峰々が! 東京といっても、ちょっと北へ行けば、もう埼玉県との県境です。
山の回廊を歩く
さて、絶景を楽しんだら、今回のコースの最後のピーク、惣岳山を目指します。惣岳山への道は、山の斜面の回廊を、右へ左へと山を巻くように歩いて行く感じです。いつの間にか午後の陽射しになり、時折、木立の間から差してくる木漏れ日が、光のシャワーのように地面に降り注いでいます。
岩茸石山から惣岳山まではおよそ40分ほど。惣岳山の手前で、このまま山頂を目指す道と、山頂を迂回してJR「御岳」駅を目指す「まき道」が分かれます。もし、疲れてしまったなと思ったら、無理せずまき道へ進みましょう。
じつは、ここから惣岳山の山頂までが、このハイキングコースの一番の難所。急な坂道を岩の出っ張りや木の根をつかみながら登っていきます。ちょっとしたロッククライミング気分です。
惣岳山の山頂は広場になっており神社がまつられていますが、木立に囲まれ、眺望はほとんどありません。それでも、山頂で標高を示す看板を見ると、今日は3つも山を登ったのだなと思い、達成感もひとしおです。
さて、後はひたすら下るのみ。1時間ほど歩くと、青梅線の「御岳」駅に出る道と、「沢井」駅に出る道の分かれ道があります。もちろん、どちらへ進んでもかまいません。
ハイキングを楽しむ上での注意事項
秋から冬にかけては、日が短くなりますので、暗くならないうちに下山できるよう、余裕を持った計画を立ててお出かけください。高水山付近では、ツキノワグマが目撃されたことがあります。一人歩きのときは、持ち物に鈴を付けたり、ラジオを流しながら歩くなど、なるべく人の存在が分かるようにしましょう。
コース中には、手を使いながら岩場を登る場所や、雨後は滑りやすくなる場所もあります。動きやすい服装、リュック、登山靴は必要です。登山用ストック(杖)なども用意すると楽に歩けます。
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