野茂英雄以来、日本人2人目の快挙
今季11度目の先発で、大リーグ初完投。内容は、116球を投げ、三振7、併殺打1を含む内野ゴロ11、邪飛を含む内外野への飛球8、四球3だった。ちなみに今季4勝目(2敗)で、防御率は3.86。
今季の大リーグでは、ヘストン(ジャイアンツ)、シャーザー(ナショナルズ)、ハメルズ(当時フィリーズ、現レンジャーズ)に次いで4人目のノーヒッター。マリナーズでは、2012年にヘルナンデスが完全試合を記録して以来で、日本人投手としては、野茂英雄(ドジャーズ時代の1996年とレッドソックス時代の2001年の2度)以来2人目の快挙となった。
抜群の制球力から「コントロール・アーチスト」の異名を持つ右腕がこの日、唯一のピンチを背負ったのは、2点リードで迎えた四回だった。先頭のマチャードに四球、二死後、2013年の二冠王(本塁打と打点)で、今季もリーグトップの31本塁打を放っているデービスを歩かせ、一、二塁としたが、パレーデスを空振り三振に仕留めて切り抜けた。八回を投げ終えて、球数は107。スタンドからは「イワクマ」コールが巻き起こり、九回二死、パーラを中飛に打ち取ると岩隈はナインにもみくちゃにされた。
「気持ちいっぱいでいった。自分のボールを全部出していこうと気持ちで投げた。すごくうれしいという気持ちしかない。僕ができるなんて思ってもいなかったので、させてもらったチームやファン、家族の支えに感謝したい」
岩隈の去就が今オフの目玉になる?
楽天からFA(フリーエージェント)としてマリナーズへ移籍した2012年に9勝を挙げ、2013年に14勝、2014年に15勝と順調に勝ち星を伸ばし、今年はサイ・ヤング(最優秀投手)賞の有力候補に挙げられるなど大いに期待された。しかし、開幕直後に右増帽筋を痛めてDL(故障者リスト)入りし、約3カ月間も戦列を離れた。今季終了後には契約が切れるため、7月には「トレード市場の主役のひとり」として注目を集めたが、結局、移籍は実現しなかった。開幕直後の故障により、「岩隈との再契約にはリスクがある」と判断されたことが大きかった。
しかし、このノーヒットノーランという大仕事をやってのけたことにより、不安や心配や雑音を払しょく。来季の去就に俄然注目が集まることになった。
メジャー通算42勝22敗の「コントロール・アーチスト」は、34歳ながらまだまだ伸びしろがある。シーズン終盤に向けての活躍で、オフの「目玉」に躍り出そうだ。