ブラックアウトしたニクいヤツ ファットボーイロー
大きなヘッドライトに風変わりなホイール、そしてマッシブなボディサイズ。ファットボーイはその名にふさわしいハーレーダビッドソンの代表的モデルとして、四半世紀もラインナップに君臨し続けています。今回紹介するFLSTFB ファットボーイローはその弟分的モデルで、ブラックアウトされたグラフィックとローダウンしたスタイルが特徴的。映画『ターミネーター2』(1991年)で一躍人気モデルの仲間入りをはたしたファットボーイ。その後、エンジンやフレームが新しくなって以前のスタイルとは随分変わりましたが、それでもファットボーイらしいディテールはそのままで、年配者のみならず若年層からも支持されるハーレーダビッドソンであり続けています。
ファットボーイローの見どころのひとつが、ダークカスタムモデルとしてのダーティなグラフィックでしょう。登場したのは2010年で、現代の流行であるこのダークカスタムを先取りしたモデルでした。兄貴分のファットボーイと見比べればはっきりと分かるほど、要所要所をブラックアウトしています。それも、ただ黒く塗っただけではなく、ツヤありブラックとツヤなしブラックを操りつつ、クロームパーツを取り入れてコントラストを強めることでダーティな演出を際立たせているのです。このあたりは、さすがハーレーと唸らされるセンスと言えますね。
ハーレーのなかでも古き良き時代のシルエットを今に受け継ぐリジッド型フレーム「ソフテイルフレーム」を軸とするソフテイルファミリー。なかでもハーレー特有のスタイルとして知られるのがFLスタイルで、前後16インチ径ホイール&ファットタイヤを備えたものを総称してFLと呼びます。FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシックやFLSTN ソフテイルデラックス、FLS ソフテイルスリムがFLの正当後継者で、このファットボーイ & ファットボーイローもモデル名に「FL」を冠してはいるのですが、2007年にマイナーチェンジをはたした際、前後ホイール径が16インチから17インチへとサイズアップしたのです。
伝統のFLスタイルから逸脱した理由としては、「ディッシュホイールそのもののインパクトを増すこと」「クルーザーモデルとしての能力を高めるため」などがあるようですが、大きな要因は「16インチ×200ミリタイヤだと、接地面が大きすぎてまともに曲がらない」というところでしょう。古いハーレーファンからは「16インチじゃないファットボーイはFLじゃない!」なんて声が聞こえてきそうですが……。
そんな現代版ファットボーイロー、いよいよそのライドフィールを探りに行くこととしましょう。
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