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部分廃止が発表されて注目を集める 留萌本線の旅

JR北海道の中でも輸送密度が少ない留萌本線。本線とは名ばかりのローカル線である。かつては映画やドラマの撮影地となり、にぎわっていた時代もあったが、近年は目立った動きもなく、地味なローカル線のひとつとして忘れられた感があった。しかしJR北海道が2016年度中に留萌~増毛間の部分廃止を発表し、にわかに注目されるようになった。そんな留萌本線の現況をレポートしよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

留萌本線の起点深川駅

留萌本線の列車

深川駅に停車中の留萌本線の列車


留萌本線は、函館本線の特急停車駅深川から分かれ、留萌から日本海側に沿って増毛に至る66.8kmの路線で、全線単線非電化。1両のディーゼルカーが1日に数往復しているだけである。所要時間は、列車により異なるものの、深川から増毛まで1時間半ほど。車窓は平原あり山あり海ありと変化に富んでいる。

深川駅4番線が留萌本線のホームである。札幌からやってくる特急列車が到着する3番線と同じホームだから乗換はスムーズだ。特急が旭川に向けて去っていくと、増毛行き列車は、やおらエンジンをうならせて発車した。
テーブル席をはさんで相対する座席

テーブル席をはさんで相対する座席


列車はステンレスに赤帯というディーゼルカー2両編成。ただし、後部1両は回送扱いとのことで、乗ることはできなかった。車内中央にテーブル付きの4人掛けボックス席があり、それ以外は固定式のクロスシート席。俗に集団見合い式と呼ぶ不思議な座席配置だ。窓と座席の間隔が合っていないので、座る場所によっては車窓がよく見えないはずれ席もある。幸い空いていたから席が選べたけれど、混んでいると不満が残るかもしれない。

留萌本線の車窓から(深川~留萌)

函館本線の札幌方面へ向けて走りだし、すぐに右にカーブして函館本線と分かれる。しばらくは、平野の中をのんびりと進む。広大な田園地帯は、いかにも北海道の車窓である。
明日萌の駅名標が残る恵比島駅

ドラマで使った明日萌の駅名標が残る恵比島駅


北一已(きたいちやん)、秩父別(ちっぷべつ)といった不思議な名前の駅が続く。石狩沼田を過ぎ、次第に山が迫ってくると恵比島(えびしま)。明日萌(あしもい)という駅名標も立っている。これは、1999年に放映されたNHK朝の連続テレビ小説「すずらん」のロケに使われたセットが残っているもので、一時は賑わったのだけれど、今はすっかり寂れてしまった。また、ドラマでSL列車が使われたことから、その後、復活した蒸気機関車を使った「SLすずらん号」が留萌本線で運転されたけれど、2006年を最後に中止となっている。
最後尾からの展望

山中を走る列車の最後尾からの展望

峠下駅に停車中の列車

峠下駅に停車中の列車


列車は山越えにかかり、カーブが連続し、エンジン音を轟かせながら進む。留萌までの間で上下列車のすれ違いができる唯一の駅峠下を経て、周りは次第に人家が目につくようになる。留萌川が寄り添うようになると、ようやく街並みが現われ、深川から約1時間かかって留萌に到着した。
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