うなぎ/東京近郊のおすすめうなぎ店

鰻屋でせかすのは野暮というもの 新御徒町「やしま」

鰻は裂きたて蒸したて焼きたてに限るという。注文が入ってからひとつひとつ裂いて焼くため時間がかかるため、蒲焼が出てくるまで新香で酒を飲むというのが昔ながらの粋というもの。「鰻屋でせかすのは野暮」という言葉もここからくるものだ。今回は新御徒町「やしま」を訪問いたします。

山室 賢司

執筆者:山室 賢司

うなぎガイド

注文を受けてから鰻を裂く「やしま」

都営大江戸線、新御徒町駅近くの「やしま」に行く。新御徒町駅からは歩いて2分ほどだが、時間がある日はちょっと歩きたい、JR御徒町駅からは約10分。テーブル4卓とお座敷6卓。手入れの行き届いた純和風の内装でホッと落ち着く店内だ。

メニューはシンプル、うな重上2900円、特上3500円の二種類でそれぞれ香の物と肝吸いが付く。グレードで鰻の大きさが違うとのこと。白焼き、冷奴、板わさなどの酒の肴もある。うな重上2900円をお願いする。注文を受けてから活鰻を裂くため時間がかかるとのこと、急ぐ用事もないことだし一杯やりながらのんびり待つことにする。
「やしま」外観

「やしま」外観


出来上がりまでの過ごし方

とりあえず瓶ビールでスッキリしたい、お通しには煮大豆に山葵と青海苔が添えられている。これがなかなかいいツマミになるのだ。厨房の隙間から店主が鰻を裂く作業を見ながら、さらに冷酒と冷奴を注文する。冷酒は兵庫のお酒で、古くは西からの「くだりもの」として旨いと言われたそうだ。冷奴はおろし生姜と小ネギが添えられた木綿豆腐。他のお客さんもやってきた。30代くらいの女性のお一人様は、冷酒に上うな重ご飯少なめでと注文すると文庫本を読み始めた。さらに40代くらいの女性のお一人様は瓶ビールに上うな重を注文し仕事の資料に目を通している。女性でも気軽に楽しめるお店のようだ。近所の奥さんが「美味しかったよ」と言いながら出前用の竹かごを返しに来る、粋な雰囲気だ。出来上がりまでの待ち時間をどう過ごすかは人によっていろいろだ。
冷酒と木綿豆腐の冷奴

冷酒と木綿豆腐の冷奴。昔は酒とお新香で出来上がりを待ったという。


裂きたてのうな重に癒される

タレ焼のいい香りがしてくる、そろそろだ。待つこと30分、うな重登場。皮はやや厚めでプリッとした感じを残しているが柔らかい。身は厚めでフワッとトロッとした食感。程よい脂のノリで、川魚の風味も楽しめる。タレはキリッとしたあっさり醤油系辛め。見た目の色はうすめだが、焼はやや強めで鰻の旨味とあっさりめのタレがよく合っている。ちょっと時間はかかるが裂きたてをいただけるのは嬉しい。

店主のお話によると、この地で創業31年目になり、ずっとこの裂きたてのスタイルを貫いているという。鰻に泥臭さがあるのは脂が酸化することによるもので、事前に白焼きまで済ませてもいかに脂の酸化を抑えるかがポイントの一つなのだそうだ。注文ごとに活鰻から裂きたてを提供するのは大変な仕事だろうが、そこに「やしま」のこだわりがある。
「やしま」うな重上

裂きたて焼たての「やしま」うな重上。

■やしま
住所:東京都台東区小島2-18-19
営業時間:11:30~14:00(L.O.13:15)17:00~20:00(L.O.19:15)
定休日:日曜・祝日・土曜不定休
地図:Yahoo!地図情報
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