日本の輸入車市場に本格的ディーゼル時代が到来か!?
21世紀に入ってから、欧州車の定番エンジンといえば、ディーゼルターボだった。日本でプリウスのハイブリッドパワートレインがもてはやされたように、ヨーロッパは新世代のディーゼルで一色になったのだ。日本の欧州車ファンは、早くからその事実に気づいていて、日本市場への早期導入を待ち望んでいた。並行輸入車を買ってひとアシ早く、新しいディーゼル車の魅力を楽しむ待ちきれないユーザーもいた。
日本市場への本格導入がなかなか進まなかった背景には、日本の排気ガス規制がアメリカと並び世界一厳しいものであったこともさることながら、とはいえ日本全体の自動車マーケット規模に比べてまだまだ小さい輸入車市場において、既存のガソリンラインナップに加えてディーゼルラインナップを導入するということがインポーターへの大きな負担にもなったため、消極的にならざるをえなかった、という事情もある。出せば、ある程度の人気が出るとは、みんな知ってはいたのだけれど……。
そんななか、わが国において欧州製新世代ディーゼルを広める先駆者となったのは、やはり、輸入車界の雄 メルセデス・ベンツだった。2006年のことである。
メルセデスが果敢にディーゼルモデルを投入したことによって、国産勢を含む他ブランドのディーゼル導入が覚醒し、現在のディーゼル人気、特にBMWやマツダ、を呼び込んだのだった。
もっとも、人気の主流は、従来のディーゼル搭載車イメージと実際の効率化メリットが見事に合致したクロスオーバーSUVを中心とする展開になっており、それゆえ、小型ハッチバックから大型クーペまで、ほぼすべての日常的乗用車領域においてディーゼルターボ化の進むヨーロッパに比べると、まだまだ本格導入が進んでいるとは言い難い。
もちろん、そこには、日本におけるディーゼルエンジンと道路・社会環境のマッチングが、欧州ほど強力ではないこと(=たとえば、ディーゼルの経済的環境的メリットが極端に現れる長距離高速移動需要の少なさなど)も、大きな要因の一つとして挙げることができるわけだが……。
SUVやミドルサイズセダン&ワゴンに限らず、たとえばスペシャリティモデルのディーゼル搭載車が発売され人気を博してこそ、本物のディーゼルムーブメントがやってきたといえるのではないか。筆者は常々、そう思ってきた。
というわけだったから、4ドアサルーンとはいうもののスペシャリティ度の優れて高いCLSクラスに、4気筒ディーゼルターボ搭載グレードが追加されたということは、少なくとも日本の輸入車市場において本格的なディーゼル時代がいよいよ到来か、と感じさせるに十分なものがあった。
今回、CLSクラスとEクラスに追加された220ブルーテックは、最新世代の2.2L 4気筒ディーゼルターボだ。7速ATと組み合わせる。特筆すべきは、いずれのクラスにおいても220は魅力的なエントリーモデルという位置づけであること。特にCLSクラスにおいては、これまでガソリン350ユニット搭載グレードが最廉価で、それでも1000万円級だった。それが、この220では、車両本体価格が800万円を割り込む。セダンはもちろん、美しいCLSシューティングブレークがその値段、しかも乗って楽しく経済的なディーゼルターボ搭載となれば、人気の出ないはずがない。