就職率の高さが自慢
産業医科大学は一般的な医科系大学と違い、「働く人の健康と環境を守ること」を重視しています。医学部なら産業医、看護学科なら産業看護師、産業保健師の育成に力を入れているところが大きな特長です。最寄り駅はJR鹿児島本線博多駅から約40分、小倉駅なら約15分の折尾駅。ここからバスで10分ほどのところにあり、大学、大学院、病院など全ての施設が集約されています。
看護学科の定員は70人。そのうち保健師コースに進むことができるのは、他の県内大学と同じ約18人。選抜時期は2年の終了時で、選抜の指標となるのは、それまでの成績です。参考までに、これまで毎年20人ほどが産業保健師として就職していたそうなので、保健師コースに入ることができれば、保健師として就職できる可能性はとても高いといえます。
これは一般的な自治体保健師を目指す大学と圧倒的に違うところで、毎年就職シーズンになると、日本を代表する大企業からの求人が集まるので、就職で困ることはほとんどないといいます。
産業看護をしっかり学ぶカリキュラム
保健師コースの講義は、一般的な地域看護はもちろん、前述のように産業看護を意識した内容が詰まっています。座学、実習とも「産業看護」と表記される科目があることも産業医科大学ならではのものです。行政なら地域性により変わる保健師活動が、産業なら産業特性により大きく変わることを学び、適用される法律も職場により異なること。産業保健に欠かせないメンタルヘルス関連の講義がしっかり組み込まれているのも特筆すべき点です。また、保健師コース選抜前の時点から、看護学科の学生全員に「産業看護学概論」などを必修としていることも、大学の特長をよく表しています。
授業料の安さと寮の充実も見逃せない
実習は、産業看護関連が3週間、行政実習が4週間の計7週間を予定し、他大学の平均的な日程より2週間多めです。実習先は全国に広がり、北関東まで行くこともあります。と、書くと、実習にかかる費用が高くなると心配するかもしれませんが、産業医科大学では費用の一部を大学が負担し、できるだけ学生に負担をかけないよう配慮しています。ちなみに、授業料も私立大学としてはかなり低額といえるでしょう。卒業後の一定期間、指定の職務に就くことで全額返還免除となる「修学資金貸与制度」も用意されています。
なお、同大学では遠方からの女子学生のための寮(112室)が大学敷地内にあり、医学部との共用ながら、全個室で寮費はなんと月額8000円という安さ! 大学敷地内で生活、講義、実習がまかなえる利点があり、大学周辺は安心・安全な学術研究都市として、親御さんから「安心して子どもを任せられる」との評価も聞きます。
先生からのメッセージ
今回の取材では、保健師教育を担当する産業・地域看護学講座主任の中田光紀教授と、同講座で主に地域看護を担当している原賀美紀准教授から、次のような メッセージをいただいています。「本学では産業看護学をメーンに、科学的マインドを持った社会に貢献できる産業保健師を育てていくことを推し進めています。2014年には大学院に産業衛生学専攻も開設しました。今は修士コースのみですが、今後は博士まで取れる体制を目指しています。これにより、産業保健師、産業看護師の方々に新しい道が開け、現場で主役になることが増えていくと思います。本学で学びながらそれを実感してください。また、国内のみならず国際的にも活躍していただきたいと願っています。もうひとつ、本学は日本産業看護学会の事務局でもあります。つまり、大学や大学院での教育、学会としての研究と現場の両立。これらが集約されていることも強みです。参考までに、保健師国家試験の合格率は、3年連続(2012~2014年度)で100%です」(中田光紀教授)
「保健師の仕事に正解はありません。自分が考え、企画・実行し、評価を直に受け止め次に行く。それが醍醐味だと思います。なので、私たち教員も授業の中で、自分達で保健師活動を考えていけるような素材を、できるだけたくさん提供していきたいと思っています。考える力を伸ばしていってください」(原賀美紀准教授)
(大学データ)
産業医科大学産業保健学部看護学科産業・地域看護学:中田光紀教授/中谷淳子准教授/原賀美紀准教授/高波利恵講師/宇井秋子助教/石橋理恵助教
定員:70人
保健師コース定員:約18人
保健師コース最終選抜時期:2年終了時点