見た目とは裏腹なじゃじゃ馬!
走り出してすぐに驚かされるのは、そのレスポンスのよさ。一見するとゆるそうなスクランブラーですが、一瞬で期待を裏切ってくれました。ツインエンジン特有のパンチ力と野太いトルク、それでいてスピーディな走り出しと、想像していたものとは異なるエッジのきいたキャラクターです。ただ、これまでスポーツバイクを手がけてきたドゥカティであることを考えれば、大いに納得してしまうところ。
スクランブラーのエンジンは、ドゥカティ モンスター796に採用されているL型2気筒2バルブデスモドロミック 空冷エンジン。ネイキッドモデルながらソリッドなスポーツバイクに仕上げられているモンスターを思えば、なるほどと言ったところ。エンジンのセッティングはモンスターよりもマイルドにしているそうです。これについては伊ドゥカティ本社の関係者曰く、「街中を走る際に求められるセッティングにした」のだそう。
ノウハウが落とし込まれた足まわり
そこで気になるのが、エンジンを支える車体……特に足まわり。スクランブラーには専用設計のフレームとスイングアームが採用されているのですが、その構造とデザインたるや。パワフルなエンジンが生み出す駆動を支えるのはこの高剛性スイングアームで、車体左側に備わるモノショック(一本のリアサスペンション)もハイグレード仕様。試乗の際、走行中にスタンディングして体を上下に揺らすと分かりますが、モノショックとスイングアームがしなやかに動いてくれています。やってみると、病みつきになるかもしれません。これ、ドゥカティのスーパースポーツモデル「パニガーレ」に見られる構造で、メーカーのノウハウが反映された好例と言えるでしょう。
ホイールは、こちらも専用設計の軽合金10本スポークホイール仕様。タイプ違いの『CLASSIC』は違うタイプのスポークホイールが備わっているので、ぜひ見比べてみてください。タイヤもピレリが設計した専用のブロック型タイヤで、
という構造。フロント18インチ / リア17インチでリアタイヤ幅180mmというこのサイズ、現代のスポーツバイクのそれですね。それでいてスクランブラーらしさを演出するブロック型のデザインでまとめています。専用設計のタイヤ開発は並大抵のものではありません。タイヤはいわゆる消耗品ですので、既存のタイヤに合わせてバイクが設計されることも。そう考えると、どう見てもスクランブラーにしか似合わないタイヤをゼロから開発したというところに、ドゥカティのスクランブラーにかける意気込みが伺えます。[フロント] 110/80 ZR18
[リア] 180/55 ZR17
ブロックタイヤで一般道を走るとグリップしにくいイメージがありますが、その点についても不安なし。ほとんどロードモデル仕様とも言えるほど設置面がありますし、スポーティな仕上がりながら、飛ばさずとも味わい深さを楽しませてくれるので、グリップに依存する必要もありません。見た目と性能がバランスよくミックスしている点ですね。
最高峰のストッピングパワーを生むブレーキ
前後には最高峰と言われる品質を誇るブレンボ製がひとつずつ備わります。そのストッピングパワーに疑いの余地はありません。試しにそこそこのスピードで、前後それぞれのブレーキングを試してみましたが、フロントが実に強力、リアはフロントほどではないものの、法定速度内ならばバランスを崩すことなく停止できます。急な状況対応を要する際でも、ライダーに不安を抱かせないブレーキングを備えているのです。またスクランブラーにはABS(アンチロック・ブレーキングシステム)も備わっているので、鬼に金棒ですね。
続いては、ハイウェイやダートの試乗インプレ、そして知っておきたい隠れポイントについてご紹介します。
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