しかし、クレジットカードの海外旅行保険には落とし穴があります。1つ目は最高○○円の落とし穴。2つ目は利用付帯の落とし穴です。
最高○○円の落とし穴
「海外旅行傷害保険(最高5000万円)」と書かれている多くのカードの「最高」は、「傷害死亡・後遺障害」の最高額となります。つまり、ケガや携行品の盗難でも最高5000万円まで補償してくれるわけではなく、あくまでも「傷害死亡・後遺障害」の最高なのです。あるカード会社の一般カードとゴールドカードに付帯する海外旅行保険を見てみましょう。
例えば、北米旅行中に盲腸で入院した場合は、入院日数が2泊3日程度でも200万円を超える場合もあります(※1)。盲腸の場合は「傷害死亡・後遺障害」ではなく、「疾病治療費用」となるため、一般カードの場合は150万円以上の自己負担となるということです。もし、骨折して、緊急搬送があった場合は1000万円を超えることもあります(※2)。この場合はゴールドカードでも自己負担となることがわかるでしょう。
海外旅行時のトラブルとして多いのが「治療にまつわるもの」です(※3)。クレジットカードの海外旅行保険は、一番トラブルの多い、傷害治療費用、疾病治療費用、救援者費用の補償額が低いという事を覚えておいてください。
【参考データ】
※1 海外での盲腸手術の総費用
※2 海外での事故例
※3 海外旅行で身近に起こるトラブル
利用付帯の落とし穴
次に、クレジットカードを持っていて、海外旅行中に入院し、帰国後に保険の申請をしようとしても「対象外です」と言われてしまう場合があります。これはクレジットカードの旅行保険が自動付帯と利用付帯に分かれているためです。利用付帯は、旅行代金の一部をそのクレジットカードで支払わなければ補償しません、という事です。残念ながら一般的なクレジットカードは利用付帯の場合がほとんどです。
例えば、海外旅行でクレジットカードをたくさん使うからといって、限度額オーバーにならないようにと旅行代金をすべて現金で支払ったとしましょう。何かアクシデントがあったとしても、この場合はクレジットカードの海外旅行保険は利用できません。旅行中にそのクレジットカードで沢山買い物をしていたとしても、旅行代金を払っていない場合は対象外となるのです。
また、利用付帯の一般カードとゴールドカードを保有していたとして、ポイントがたくさん貯まる一般カードで旅行代金を全額支払ったとすると、保険金額の高いゴールドカードの補償は受けられなくなってしまいます。
中には、クレジットカードを保有しているだけで自動的に海外旅行傷害保険が付帯するカードもあります。これが自動付帯といわれるもので、旅行代金をそのカードで支払わなくても補償が受けられるというものです。
この利用付帯と自動付帯のカードを上手に組み合わせることで、補償を手厚くすることができます。
まずは利用付帯と自動付帯を組み合わせて補償額をアップ!
海外旅行傷害保険の場合は傷害死亡・後遺障害以外の補償はすべて合算可能となっています。例えば、自動付帯のクレジットカードと利用付帯のクレジットカードを保有していたとします。旅費は利用付帯のクレジットカードで支払います。この場合は、傷害死亡・後遺障害は一番高いクレジットカードの金額が使われ、それ以外は合算が可能となるため、次のような金額となります。
ゴールドカード1枚持つよりも、自動付帯と利用付帯の一般カードを組み合わせると、補償を手厚くすることも可能となります。
利用付帯のクレジットカードを複数持っている場合は、旅費の一部をそれぞれで支払うようにしておきましょう。例えば、成田エクスプレスの料金を支払うカードと、パッケージツアーの代金を支払うカードを別々の利用付帯カードにすると、どちらのカードも旅費を支払っていることになるため、利用付帯のカードでも保険金額が合算されるのです。
まずは、クレジットカードの海外旅行保険を最大限活用する方法を紹介しました。しかし、利用付帯・自動付帯のカードを複数組み合わせても、正直言って満足できる補償額にするのは難しいかもしれません。
そこで、クレジットカードの海外旅行保険のウィークポイントをカバーし、さらに補償額をレベルアップさせる方法があります。>>
取材協力:ジェイアイ傷害火災保険株式会社