コンパクトでありつつカジュアル過ぎないカバンを探して
基本、男性用の普段使いのバッグの多くは、A4の書類を持ち歩く目的で作られています。プライベートにも使えるカジュアルなカバンでさえ、雑誌などのサイズのせいもあるのかA4ファイルサイズのものが中心だったりします。そうでなければ、ボッディバッグやウエストポーチ、かなりカジュアルなショルダーバッグやトートバッグということになります。最近、ようやくA4を対象にしないブリーフケースも増えてきて、それらは、このガイド記事でも紹介してきました。書類はスキャンしてデジタル化し、ノートパソコンは普段使う事が無く、タブレットを持ち歩き、本や雑誌もデジタル化するか電書で購入するといったガイド納富の場合、仕事用にはB5サイズ程度のカバンがとても重宝するのです。小振りのブリーフケースのメリットについては、過去の記事を参照していただくとして、ただ、それらの小型ブリーフはいかにもビジネス然としているというか、遊びの要素が少ないので、プライベートで使うのには、ちょっと面白くない場合もあります。
小振りのブリーフケースとして使えるミュージックケース
出来れば、カジュアル過ぎず、大人が持てる質感を保ちつつ、ビジネスの匂いが薄い小型のカバンがないものかと探していたところ目に付いたのが、吉田カバン80周年記念モデルとして発売されたPORTER MUSIC CASEのシリーズでした。ミュージックケースというのは、イギリスなどの音楽学校のスクールバッグのようなもので、元は楽器と一緒に楽譜を持ち歩くためのカバンとして使われていたデザインを踏襲したものだそうです。一本手のハンドルを真鍮のバーに通してフラップを固定するという独特のスタイルが特徴で、これは、留め金や鍵などで一緒に持ち歩く楽器に傷がつくのを防ぐ構造だということ。真鍮のバーはカバンを綴じた場合に体側に来るので、外側は柔らかい素材だけになるということなのでしょう。その機能はともかく、簡単な操作でフラップが固定できる、逆に言えば、簡単に開く事も出来て、でも、持ち歩いている間はフラップが開く事がないという構造は、中々面白いものです。
ガイド納富が購入したのは、今回発売された5つのサイズの丁度真ん中になるMサイズで、W320/H215/D80mm、iPadサイズとして作られたもののようです。これよりワンサイズ大きいLサイズはA4ブリーフケースの大きさ、LLサイズはB4ファイル対応、SサイズとSSサイズは女性のパーティーシーン向きというサイズ展開になっています。つまり、Mサイズはガイド納富が探していたサイズそのものだったのでした。
タンニンなめしの牛ステアにマットガラス加工を施しているという、ドレッシーな仕上げと、シンプルで遊び心のある構造とデザインという、ともすればチグハグになりそうな組み合わせなのに、落ち着いて見えるのは、さすが伝統のデザインという事でしょうか。細いハンドルが一本なので、上部がスッキリ見えるのも軽快に感じる要因でしょう。この細いハンドルが中々持ちやすいのですが、それは多分、バーに引っ掛けて一本で支える際に少しだけハンドル自体が傾く、その角度が持つ手に丁度合うからだと思いました。そのあたりは計算されているのではないと思うのですが、そういうカバンとしての動きが使う人とピタッと合うのも、カバンの魅力の一つだと思っています。
必要なものだけが収納できる過不足無いサイズの魅力
ガイド納富はこのカバンに、iPad mini、ノート、筆記具、ポケットwifi、デジカメ、イヤフォン、名刺入れ、財布、必要な場合は折畳み傘やモバイルバッテリーを入れて遊びに出たり、打合せに行ったりしています。PFUの「ScanSnap iX100」も入るので、A4サイズの書類を受け取っても、その場でスキャンすれば大丈夫。これ以上の荷物を持ち歩く際は、別のカバンを使いますが、これ以上の荷物が必要な日よりも、これだけで充分な日の方が圧倒的に多いので、とても重宝しています。特に、夏場の服が薄い時は、ショルダーストラップだと服を引っ張ってしまうので、カバンは手に持ちたいものです。その際、なるべくコンパクトで、やや固めというか自立するタイプだと、電車の中でも横にはみ出さず、持ち歩きやすく、カフェなどでもカバンを机の上に立てて中のモノを出し入れできるなど、とても扱いやすいのです。
幅320mmくらいというのは、確かにA4サイズは入らないのですが、スキャンしたり二つ折りにすれば問題なく扱えます。雑誌や新聞は電子版でタブレットで読めます。となると、持ち歩くのに丁度いいサイズだと思えます。これより小さいと、傘やスキャナが入らないし、タブレットも10インチクラスのものが入りません。案外、このiPadサイズというのが、カバンの一つのサイズの基準になるのではないかと思っています。
ガイド納富の「こだわりチェック」
もちろん、A4サイズのブリーフケースの使いやすさは変わりませんし、それがショルダーバッグでも、まだまだ主流となるサイズだと思います。ただ、選択肢として、コンパクトなサイズがあるといいと思うのです。少なくともガイド納富は、この「PORTER MUSIC CASE」のMサイズは、とても欲しいと思っていた大きさでした。傘やスキャナが入る80mmの奥行きがまた嬉しいのです。この奥行きに関しては全サイズ共通、つまりA4サイズ対応のタイプでも、これだけの奥行きがあれば充分と見なされた大きさ。といっても、Mサイズでも特に奥行きが大き過ぎる感じはしません。この奥行きと、三つに分かれたコンパートメントのおかげで小物を、かなり沢山、整理して入れておくことができます。
ミュージックケース自体は、ヨーロッパのカバンの伝統のデザインの一つなので、いくらでも安いものから高いものまで、多くのメーカーが作っています。革製で国産だと比較的高価なものが多いですが、ヨーロッパ製のものだと、それこそ元々学生用ですから、1万円程度で買えたりします。ただ、この「PORTER MUSIC CASE」の場合、吉田カバン80周年記念商品ということもあり、本当に、贅沢に作ってあるのです。
革の質はもちろん、何度も薄く顔料を塗って光沢感が微妙にあるけれどマットに仕上げるという離れ業を見せていたり、見た目の高級感の割りに持つと軽く仕上がっていたり、吉田カバンやポーターの刻印が、使用時には見えないようになっていたり、革の曲げ方が見事だったりと、良く見ると、いちいち感心するポイントが多いのに、パッと見にはシンプルなミュージックケースにしか見えない、そのさりげない贅沢がとてもカッコ良いのです。
<関連リンク>
・公式サイトの吉田カバン「PORTER MUSIC CASE(M)」情報(オンラインストアでの扱いはありません)
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