山・海・都会別、雷の危険回避方法
春から夏にかけて、積乱雲の発生する場所にはカミナリがつきもの。
毎年、雨宿りのつもりで入った樹木、テント、ビーチパラソル、屋根付きのベンチなどで落雷被害に遭った例が数多く報告されています。カミナリが近づいたと感じたら、まずはそういう物から十分な距離(4m以上)を置くことです。また近くに4m以上の高い樹木や、電柱、建築物があった場合、側撃雷が届かないとされる4mを超える場所から、見上げて45度の範囲内は「保護範囲」とされていますが、あくまで避難が間に合わないといった状況の場合に限ります。さらに30m以上の鉄塔などの建築物は保護範囲が30mの距離までとされ、4m~30mの範囲がカミナリからの保護範囲になります。建物内に入ることが出来ない場合には庇(ひさし)などの側撃雷を受ける危険な場所に留まらないように注意しましょう。
建物に入ってからも注意が必要です。カミナリが建物を直撃した場合に備えて、壁や天井、柱などから1m以上は離れましょう。外部にアンテナなどで接続されているテレビや無線機などからは2mの距離を空けておきましょう。避雷針などのない山小屋などで、壁にもたれかかっていて、カミナリの直撃を受けてしまって亡くなった例もあります。もし自宅でカミナリから家電を守りたかったら、避雷機能を持った電源タップなどを使用しておきましょう。カミナリの被害から自宅の電気設備を守るためには、家庭用分電盤や、電話線、アンテナそれぞれに避雷器を設置するのが理想です。カミナリが激しい場合にはコンセントなどを抜いておくことも家電を守るためには必要です。
カミナリが鳴ったらどういう体勢がベストなのか?
「カミナリは高いところに落ちる」からといって、絶対に地面に伏せて、腹這いになって地面に伏せてはいけません。カミナリは上から来るとは限らないからです。近くに落ちたカミナリは地面を伝わって周囲に広がります。そのとき地面と接している面積が大きいと感電の可能性が高くなります。両足をつけてしゃがんで、体を丸め、耳の穴を指でふさぎます。これによって体内に電流を流れる可能性が低くなります。決して手をついてはいけません。耳の穴をふさぐのは近くに落ちた時に聴覚を守るためです。これは「雷しゃがみ」と呼ばれる姿勢で、アメリカのかみなりの多い地方で広く子供たちに教えられている方法。あくまで雷撃の可能性を低くするためのものなので、屋内や車の中にすぐに避難できない場合に備えて覚えておきましょう。山・海・都会でのそれぞれの場所での危険回避
登山中に急に天候が変化し、雷鳴が轟くことはよくあります。特に稜線や山頂付近ではカミナリの事故が多いので、自分も危険回避のため、何度か登頂を断念した経験があります。そういう時のために山小屋や避難小屋などの位置を把握しておきましょう。前述のように、木の近くでは側撃雷の可能性があることも忘れてはいけません。また、10数名のサーファーが波待ちをしていて、一度に雷撃を受けた事故を記憶しています。この時、20mの範囲内の水中にいた人が雷撃を受け失神して溺れてしまいました。ウェットスーツなどで防御できるものではありません。海上でカミナリの危険がある場合はすぐに陸上の建物内に避難しましょう。遮るもののない屋外において、カミナリが発生しているときは、常に雷の危険があると思いましょう。また、カミナリが近づいたらストックや傘などを上にかざすことは大変危険です。よく貴金属や時計などを外すと良いという話をする人がいますが、全くの迷信です。高電位のカミナリは身につけたものや、衣服の違いにも全く左右されませんので、屋内退避、退避姿勢をとることだけを優先しましょう。また、ビルの乱立する都会ではカミナリの被害に遭う可能性は無いように思えるかもしれません。建築基準法で20m以上の建物に設置が義務づけられている避雷針は、カミナリを誘導して地面に逃がし、建物への被害を失くすためのものです。これも周囲への落雷をゼロにするものではありません。避雷針が本当に有効に設置されているかどうか、自分が安全な保護範囲にいるかどうかは、その場ですぐに判断できるものではありません。安全のためにも、カミナリの音や光を確認したら一刻も早く避雷針が設置されていると思われる建物内に避難することが必要です。またよく言われる「稲妻の発光と音の間隔があいたら安全」「稲妻の音が遠くになったら安全」という迷信には根拠はありません。天候が完全に回復するまでは落雷の危険は常に残っていると考えてください。
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