相続・相続税/生前贈与・贈与税の基礎知識

教育資金の一括贈与で対象になるもの・ならないもの

平成25年4月からスタートした「教育資金贈与の非課税制度」が人気ですが、「何が対象で何がダメなのか分からない」という声も多いようです。教育資金贈与の対象か否かの判断基準や例をまとめてみました。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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教育資金贈与の制度自体は良いが、分かりづらい面も

子や孫の教育資金を1500万円まで非課税で贈与できる「教育資金の一括贈与制度」。平成25年4月に始まり、その人気から申込期間が平成31年3月まで延長されたほどです。更に2019年度税制改正により、期間が「2021年3月31日まで」に延長されます。

 
教育資金の一括贈与の非課税対象となるか否かで贈与金額を検討しよう

教育資金の一括贈与の非課税対象となるか否かで贈与金額を検討しよう




しかし、申し込んだはよいが実際にスタートしてみると、「何が非課税の対象で何がダメなのか分からない」といった声を多く聞くようになりました。
 

教育資金贈与の対象は「支払先」によって違う

まず支払先で見てみましょう。原則として以下のとおりとなります。

・学校等へ直接支払い:1500万円までの対象
・学校以外(指導者)へ支払い:500万円までの対象
・学校以外(学生等の大部分が支払うべき業者等)へ支払い:500万円までの対象
・学校以外(個人的に選んだ業者など)へ支払い:対象外
※2019年度税制改正により、受贈者が23歳に達している場合の2019年7月1日以降の学校以外への支払いは、教育訓練給付金の支給対象となるもののみ教育資金の対象となります。
 

対象になる? ならない? 迷いやすいケース

非課税の対象となるかどうか、判断に迷いやすいものの例を見てみましょう。

●学費関係等
・受験料はOKだが、入学願書はNG
・入園料、入学金、保育料、授業料、施設設備費、通信教育費(指導が行われているもの)はOK
・保育所一時預かりの費用はOK
・大学生協の出資金はNG

●付随する費用等
・ランドセル、通学かばん、教科書、制服、上履き、体操服、その他の学用品の購入代金はOK
・健康診断はOKだが、予防接種はNG
・通学定期代、留学渡航費、入学等に必要な転居の際の交通費は、平成27年4月1日以降の支払いならOK。
・留学の費用でも、空港までの交通費や現地での滞在費はNG
・給食費、スクールバス代はOK
・遠足費、修学旅行費はOK
・部活動費はOKだが、同窓会費はNG
・生徒会費、PTA会費はOK

●その他の費用等
・学校への寄附金はNG
・奨学金の返済はNG
・学校等の寮費はOK、下宿代はNG
・卒業写真代、アルバム代はOK
・行事として行われる卒業パーティー、謝恩会はOK
・各支払時の振込手数料や引落手数料はNG
 

塾や習い事にかかる費用は対象になるのか

スポーツ又は文化芸術に関する活動、物品にかかる費用の例を見てみましょう。

・音楽教室やスポーツなどの指導料はOK
・ピアノ、グローブなどの購入代金は、指導者からの購入はOK。ただし個人的に購入したものはNG
・合宿代、遠征費用はOK
・スポーツジムの費用は、指導を受けるものはOK、単に施設を利用した際の使用料はNG
・資格試験の受験料、大会の参加費用はOK
・自動車学校の費用、免許の検定料や更新料はOK
・車の購入は、当然NG

何のために使ったかだけでなく、支払先にも注意が必要です。
 

贈与した教育資金を使いきれないと贈与税がかかる恐れも

なお、必要以上の贈与をしてしまうと、使いきれず残った額に贈与税がかかる可能性もあります。上限の1500万円ではなく、これらの支払金額の見込みにあわせた一括贈与をお勧めします。
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